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《映画感想》ゴジラ-1.0

最初から最後まで面白かった。
久々にこんなに興奮する映画を観たと思う。
興奮冷めやらない中で、感想文まとめられるかわからない。いや、本当に面白かった。


揺れ動く波のように、絶望と希望を何度も浮かんだり沈んだりを繰り返したと感じる。

特攻という絶望
不時着という生存における希望
後悔とゴジラという絶望
ゴジラから生き残った希望
東京に戻ったのに両親の死という絶望
赤ん坊という命の塊を抱くという希望
経済的に命を守ることが出来ないという絶望
新しい職につき生活が安定する希望
ゴジラの日本接近という絶望
愛すべき相手と心が通うという希望
愛すべき相手を失う絶望
対ゴジラの為のワダツミ作戦への希望
特攻への希望
作戦の成功、未来への希望


敷島が典子を失い覚悟を決めてからは、絶望側に落ちることなく、緊張感とスピード感を持って、手に汗を握りながら作戦を見守った。きっと最後は敷島の特攻でかたをつけることになるんだろうという事も織り込み済みで、ある意味安心感を持って作戦の失敗も見守った。

私自身戦争関連の知識はなく、百田尚樹さんの『永遠の0』で特攻についての過酷な状況について知るにとどまるが、特攻は十死零生の成功率の極めて低い作戦だった。
死ぬ覚悟で臨む敷島が特攻を成功させ、しかもパラシュートで生還を果たすという最大級の希望の盛り上がりを観せた。

戦争で亡くなった特攻隊員の無念さえ晴らすような大成功。
その上典子さんが生存しているという希望の上に希望を重ねるハッピーエンド。


そこで終わるのかと思いながらも、典子さんの背中の黒いあざ、海底のゴジラの肉片の拍動、エンドロールの最後に徐々に近づいてくるゴジラの足音と咆哮という、最後は絶望を感じさせながら終わるという。。。

本当に目が離せない映画だった。
キャストも全員が自然で必然なキャラクターだったのもすごく良かった。

ゴジラという絶望的な恐怖の対象でありながらも、海上を歩む姿はどこか神秘的であり。
放射性物質を放つという絶望しかない特性も鮮やかな夜光虫が光を放つような綺麗な色に光る。

波打つ海の様に、絶望と希望を何度も何度も繰り返しながら少しづつ近づいてくる様は本当に見応えがあり、ラストの最大級の希望の後に、きっと同じ振り幅の絶望が訪れるのだろうと予想せざるを得ない悔しさがある。


ゴジラ➖1.0の「マイナス1.0」の意味は戦後全てを失いゼロになった日本にゴジラが襲いかかり更にマイナスになるという意味があるとの事であった。

きっと人間はマイナスの状態からもまた立ち上がり振りかぶって前進していくのだろう。そうしてまた同様に揺り戻され、海にたゆたう海藻の様に前に後ろにゆらめきながら生を生かされていくしかないのだろう。

戦後ではないが、現在の日本の厳しい経済状況の中、今後どうなっていくのかと不安があるが、厳しい状況に追い込まれるほどに、振りかぶれるだけのムーブメントが起きるのだろうか…と。最後は現実に戻り少しだけより戻しの希望を頂いた気がした。

とても面白かったです。
ありがとうございました。

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