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【連続note小説】日向食堂 小日向真司3歳

誠司が勤める鉄工所は日本の景気に支えられて、売上を順調に伸ばしていた。
しかし給料はそれに比例して上がらない。

真司のこれから成長していけば、食費を含めた生活費も増えていくだろう。
誠司の残業は深夜に及ぶこともあったが、残業代も満足に払ってもらえない。
この当時は、現代で言うブラック企業で世の中が成り立っていた。

真司はすでに歩行ができるようになり、両親と会話もできた。
誠司がなけなしの小遣いで買ってやった三輪車を真司は毎日のように乗り回していた。
文枝にも近所に小さい子供がいる友達ができて、よく遊びに行ったり遊びに来てもらったりした。

文枝は真司と他の家の子供と比較ができるようになり、あることに気が付いた。
真司があまりにいい子過ぎるのだ。
よその家の子はあれが欲しい、あれをしてくれと駄々をこねて泣きわめくことがある。
しかし真司はわがままなことは言わず、文枝の言うことをよく聞く。
家の中にいれば大人しく積み木を積んで遊び、遊び終わるとちゃんと片付けをする。
それが文枝には不思議に思える時があった。


真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。

<続く……>

<前回のお話はこちら>

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