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【連続note小説】日向食堂 小日向真司1歳

真司は寝返りが打てるようになった。
この頃は、現代と違って使い捨ての紙おむつなどなかった。
真司がウンチをするたびに、布のおむつを洗っては乾かし、洗っては乾かす。
子育て以外の家事は、真司が生まれる前と何ら変わらない。
それに真司のお守りが加算された。
一体何回洗濯をし続けなければならいのだろうか。
文枝は気が遠くなる思いがした。
 
誠司は真司の夜泣きに悩まされた。
朝は6時に起きて出勤し、夜は遅くまで残業する。
アパートには寝るために帰るような生活だった。
少しでも睡眠時間を確保したいのだが、真司の夜泣きで叩き起こされる。
誠司のイライラは少しずつ溜まっていった。
 
ある日曜日のことだった。
布団で昼寝をしているはずの真司がいない。
誠司は辺りを見回すと、タンスの角を頼りに真司が立ち上がっていた。
台所からやって来た文枝も真司のその姿を目の当たりにした。
二人は抱き合って喜んだ。
この一瞬で誠司と文枝のイライラは吹き飛ばされた。
親も子に育てられるというが、そんなものなのだろう。


真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。

<続く……>

<前回のお話はこちら>

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