初デートではコッソリ「本棚」を見て、どんな人かを知る
よしもとばななの「キッチン」という小説では、 家と住人の好みを、どこで判断するのかと聞かれた主人公が、「キッチン」と答える。
かつて私は、いい感じな人や彼氏などの家に初めて誘われたら、まずはコッソリと「本棚」を見ていた。
漫画や本が好きな私は、本棚を見て、その人と合いそうかどうかをまず、探る。
別に高尚なものが置いてなくてもいい。
なんとなく、合いそうかどうかだ。
私が彼氏として付き合う人の中で、なぜか持っている本率が多かったのは「ジョジョ」だ。
初めての彼氏(24歳デスメタルボーカル)もジョジョを集めていた。
彼は「頭文字D」と「ああっ女神様」なども持っていたけど、私がいいなと思ったのは、彼が持っていた中でも「寄生獣」「ドラゴンヘッド」と「ジョジョ」だ。
この辺のチョイスを見て、なんかこの人とは合いそう!と思った。
そのあと、何人かの本棚を見たら、なぜか私がいいなと思う人の本棚は、ジョジョ率が高いことに気づく。
「ワンピース」でも、「ドラゴンボール」でも「こち亀」でもなく、ジョジョだ。
バキでもなくジョジョなところがポイントだ。
グラップラー刃牙は嗜む程度でいい。
刃牙は嫌いじゃないけれども。
判断に困ったのは小林よしのりの「おぼっちゃまくん」を全巻集めていた彼氏(23歳大学生)だ。
これはナイと思うべきか、逆にハイセンスと思うべきなのか。
その彼が集めていたのは他にも「シティハンター」「よつばと」「ケロロ軍曹」「よんでますよ、アザゼルさん」など、判断になんとなく困るものが多かった。
しかしその彼とは長く続いたので、きっと私の中で「おぼっちゃまくん」全巻は「逆にハイセンス」だったのだろう。
そしてもちろん「ヴィンランドサガ」はありだ。
ひとめ、一番センスが好きだと思った彼氏(24歳歌舞伎町界隈言えない仕事)の本棚には、ナンシー関の本があった。
吉田戦車の漫画もあった。抜群のチョイス。
この彼氏とは一番気が合って、映画を一緒に見ても、ゲームをしても、喋っていても、何をしても楽しく過ごせた。
やっぱり本棚を一目見て、いいなと思う人とは気が合うと確信したものだった。
以上は私が付き合った、いいなと思った人の本棚だが、逆に「あんまり好きじゃない」と思った本棚もある。
それは、「自己啓発本」ばかりある人の本棚だった。
とある人とデートした時、その人の家に招かれると、小綺麗なマンションは購入済みで、キッチンはたくさんのスパイスや調味料が並び、部屋はモノトーンでオシャレにまとめられていた。
そして彼の部屋には少しだけ本が置かれ、どれも自己啓発本だった。
なんとなく、好きになれなかった。
私にはその部屋はカタログからとびでたような部屋に見えて、本はつまらなくて、その人はひどく、中身が無いように見えてしまった。
実際に話しても、いまいち話が盛り上がらなかった。
その人は、どんな映画をみたか、次々とタイトルを並べることはできたが、その映画のどこが面白かったか尋ねても、話すことができなかった。
どこに旅行して何をしたかは話すことはできても、その旅行で何が一番楽しかったかは、話すことができなかった。
その人は、決してスペックが低いというわけでもなく、ちゃんとした仕事、ちゃんとした家柄、ちゃんとした学歴と育ちの人だったと思う。
だけど私には、まったく魅力的ではなかった。
なんだかとても、つまらない人に思えてしまった。
やはり、物語を読む人がいいと思った。
自分をなんにも高めてくれない、ただ面白いだけのものを、楽しめるひとがいい。
なんとなく、そんなことを思った。
余談だけど、私が付き合った人のなかには、全く本を読まないし、字は小学校の教科書以来読んでないし、部屋に一冊の本もないと言う人もいた(27歳ペンキ屋)。
しかし彼の話は面白かった。
彼は身近な人をよく見ていて、その人たちの話を面白おかしく、物語のように語ってくれた。
本棚には何があるか?
物語がいい。面白いものがいい。
もしくは何も無くてもいい。
一番大事なことは、その人の中に、中身のつまったお話があるかどうかということなのだ。
さらにどうでもいいことだが、私の当時の部屋の本棚には、「軍鶏」「殺し屋イチ」「最強伝説黒沢」があった。
自分が一番、女子としてモテなさそうな本棚なのだった‥。←絶対モテないチョイス
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