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法学部の学生はSEに向いています

※うまくまとっているか自信がありません。独り言です。師匠から学んだことを次の世代に伝えられず、キャリアが終わりそうなので、次の世代に伝えたいことを記事を書いています。

前々回の話で触れましたが、コンピュータシステムの要件定義をするための重要な要素スキルが「抽象化」であると考えています。法学部出身のエンジニアはこの「抽象化」が得意な学生が多いので、実は有利ではないかと私は考えています。

例えば、法学の中には法哲学という分野があって、憲法、民法、刑法等の各法典ではなく、「そもそも法とは」という議論を扱います。現在の日本の法とは「国家の強制力を伴う社会規範」と定義されるところ、政府が暴力によって打倒されてしまって、法を執行する現実的な力を失った場合、強制力がないので、現行の憲法や民法は法ではなくなります。その証拠に刑法は内乱罪の既遂を処罰していません。未遂の場合のみ処罰します。刑法は自らが内乱の既遂を処罰できないことを知っています。このような抽象的な概念の操作、推論は得意でしょう。
他にも、売買、賃貸借、雇用、請負のような契約各論の上位には、契約総論という領域があって、各契約は議論はおいて、「そもそも契約とは」という議論がそこでされます。このように法律は概念がピラミッド構造をしています。抽象化と具体化を常に繰り返します。抽象的な概念の理解が実は難しく、最初は具体的な概念を理解するということはどの分野でもあることだろうと思います。

法哲学と同じように、コンピュータサイエンスにも情報哲学と呼ぶべき分野がるはずで、個人の意見ですが、オブジェクト指向こそがこのコンピュータサイエンスの哲学だと思っています。「時間の経過によって変化する現実世界のものごと(万物は流転すると同義)」はオブジェクトで、「時間の経過によって変化しない情報(概念)」はクラスと考えると、情報とは何かを考えるということはクラスとは何かを考えることと異ならないと考えます。何度も繰り返しますが、このクラスがモジュールとなり、データモデルとなります。注射の指示は、患者さんの状態によって投与量等が変わり続けます。また、医薬品の投与によって、更に患者さんの状態が変わります。医薬品以外の原因によっても患者さんの状態は変わります。指示、指示の実行結果、患者さんの観察結果等のこれらのごちゃっとしたオブジェクトを整理して、抽象化してクラスにするスキルこそがエンジニアに求められるスキルで、そのスキルを持ったデータモデルでなければ、データ利活用もそもそもできないのではないかと考えています。医薬品の変更したグループとそうでないグループの比較などはデータベースがそのような比較するとことを考えていないと、データサイエンティストも分析できないでしょう。その意味で、データ分析スキルは大切ですが、その前提としてデータベースを設計するエンジニアもスキルも重要だと私は思います。
製薬業界で昨今課題となっているたんぱく質やペプチドの化合物の管理も、データの保存形式という問題もありますが、原子、分子、アミノ酸、ペプチドを抽象化して、データモデルを作ることが大切で、それはインフォマティクスというよりは、データエンジニアリングの領域ではないかと思っています。

加えると、ビジネスにもビジネス哲学のような領域があるでしょう。ビジネスの成果を出すためには、成果を出すための考え方や姿勢があると思います。私に限って言うと、「陽明学」がビジネスに最も役に立っていると思っています。特に、「知行合一」という考えが好きです。ちなみに、宗教や思想などの本当の「哲学」は、法哲学、情報哲学、ビジネス哲学の更に上位の人生哲学だと思います。話がそれてきたので、ここで終わります。

医学、化学等のバックボーンがなくとも、エンジニアとして活躍することは可能だと私は思っています。法学部に限らず、文系の学生でもDXを担当するようなケースが増えてくるだろうと考えています。むしろ、今まで文系の学生を大量に採用していて業界や、職種がいつまでも安泰と思うほうがおかしいでしょう。楽しい職種なので、ぜひ検討いただければと思っています。

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