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2024.5.6 FC町田ゼルビア vs 京都サンガF.C. マッチレビュー

前節は1カ月ぶりの野津田で柏相手に2-0で勝利。絶対に連敗しないという強い意志を感じるとともに、荒木の活躍やエリキの復帰などポジティブな点があった。

中2日で迎える今節は、移動込みだが2日でどれだけコンディションが回復できるか、そして4日に帰国したU-23組がメンバー入りするかどうかが注目ポイント。そして、専スタでロングスローが使えるのかというのも裏テーマとしてある。

ということで、京都戦振り返ります。

スタメン

ゼルビア: 4-4-2
前節と全く同じスタメン。ベンチには平河、藤尾のU-23組が入った。なかなか黒田さん鬼だな…ベンチはその2人とデューク、エリキ、安井、ヘンリーと攻撃全振りのメンバー。地味に2節連続で上田コーチではなく、三田コーチがベンチ入り。

京都: 4-1-2-3
前節はアウェイでFC東京と対戦し、1-2で敗戦。前節から7人変更。ちゃんとターンオーバーしてきた。こちらの監督さんはもっと鬼で、U-23の川﨑をいきなりスタメン起用(予告通りであるが、なかなか鬼)。

恵まれていたゼルビアの攻守と京都の攻守の相性

今節は、ゼルビアの志向するサッカーと京都の志向するサッカーの相性が良かったので、3-0というスコアで勝利できたと考える。そのため、大きく2つの理由から勝利を語りたい。

トランジションが遅い京都とカウンター重視のゼルビア

この試合も相変わらず、ロングスローやセットプレーの連続でリズムを作るゼルビアだが、それに対して、京都は基本的には全員が自陣に戻って、ペナルティエリアの周辺で人数を多くする。

そのため、カウンターに出ることができず、なかなかゼルビア陣内にボールを持っていくことができない。

また、京都はボール保持時には、基本的にサイドの選手が幅を取ることはせず、SBもSHも内側に絞ってプレーすることが多い。そのために、中央に人数はいるもののサイドは手薄な状況。

ゼルビアはこれを狙ってか、ボールを奪うと、SHもFWも大外のレーンに走り込んで起点を作る。京都はこれに対して、CBが外に釣りだされる形で対応するが、潰すことはできない。アピアタウィアも麻田も空中戦には強いが地上戦には弱かった。そのためか、今節は気持ちロングボールが少なめだった。クロスもこの2人を超えたファーにオセフンが構える形だった。

ゼルビアはサイドには藤本(後半からは平河)、ナサンホがいるため、スピードを活かしつつ仕掛けられる選手が揃っており、京都の選手たちが守備ブロックを構築する前にフィニッシュに持っていく、というのは強く意識していた。

なぜ、これらの形が効果的だったかというと、上記のように、サイドの選手たちが内側に絞ってプレーするのでサイドが空いていただけでなく、京都の選手たちの攻守の切り替え、帰陣が遅かったからである。

なので、CBの選手たちが孤立し、晒されることで、独力で対応しなければならない場面が多かった。

以上のことから、1点目のように、平戸のパスコースが中央しかなく、リスクを冒して縦に刺すしかなく、そこからショートカウンターから得点、もしくは、2点目のようにナサンホが個で仕掛けて1vs1で勝って得点のような形になる。ちなみにサンホは54分にも同じように麻田と1vs1の形を作っていた。

一方で、京都がしっかりと帰陣し、守備ブロックを形成すれば、ゼルビアとしてもロングボールを中心に前進していくしか選択肢がないように見えた。ただ、京都のセカンドボールの回収やカウンターの方法の落とし込みがなされていないのに助けられ、基本的にはゼルビアは持たされるのではなく、ゴールを取るためにボールを持っているように感じることができた。

ということで、トランジション、つまり攻守の切り替えが遅い京都と、カウンター重視のゼルビアの相性が良かったというのが、私の考える勝利の要因①。

選手のアイデアと足下でのプレーを重視する京都と守備時の食いつきの良いゼルビア

京都の攻撃は上記のようなサイドの選手が内側に絞ってプレーするのもそうだが、みんな足元でボールを受けたがっており、ゼルビアが一番警戒している縦横のブロックを揺さぶるような相手選手の裏への抜け出しなどはほとんどなかった。唯一あったのは、16分に一美が抜け出したシーンだろうか。正直、これを何回もやられた方が怖かった。

ということで、なぜみんなが足元でボールを受けたがっているかは、チームとしての決まり事かは分からないが、基本的にダイレクトプレーが少なかったので、選手がその場その場で判断しているんだろうなと初見の筆者には思えた。

ダイレクトプレーが少ない、つまりボール保持者が迷いつつボールタッチ数が増える。また、足下でボールを受けるので、パスカットや奪いどころがはっきりする。そのため、ボール保持者への食いつきの良いゼルビアの選手たちが圧をかけてくる。結局、この圧を逃がすことができず、京都は中盤でボールを失うことが非常に多かった。

これが、上記のように手薄なサイドで起点を作って、ゴールに迫るプレーに繋がるのである。

特にこの試合では、柴戸が目立っており、彼は特段食いつきが良いので、こういう展開だと活きてくる。カードを貰ってしまったのは残念だが、今日の柴戸は結構良かった。

以上のことから、中盤でボールを奪い、サイドを起点にゴールへ迫るという非常に良い循環が作れていたが、京都目線ではどうしようもない時間が続くことになってしまった。特に、75分くらいからは完全に気持ちが切れてしまっていたように見えたので、これは深刻な気がする…

ただ、ゼルビアとしてはこういう相手にきっちりと勝ち点を収めつつ、デュークに結果が出たり、平河とサンホの両翼を試したりとテストもできたので非常にポジティブであった。

その一方で、持たされた時にどうするかについては改善点がまだまだあるので、そこの課題は早めに潰しておきたいところ。


試合結果

(ハイライトはアップされ次第貼ります)
町田 3-0 京都
得点者: 22' オセフン
     64' ナサンホ
     75' ミッチェル デューク

さいごに

連勝、無失点というのは良いなというのと、やっぱりデュークに結果が出たのが良かった。アジアカップで合流が遅れて、オセフンの活躍もあってサブやベンチ外に回ることが多い状況に相当ストレスを抱えているように見えていたので。これが、今の彼の状況を変えるきっかけになれば良いなと思いつつ、代表組やエリキも帰ってきたので、みんなで刺激し合いながら強いチームを作っていってほしいなと思います。

少し時間が空いて、アウェイ湘南、ホームセレッソ、ホームヴェルディと続いていくので、ゆっくり休みつつ、これからの連戦に備えていってほしいなと思います。

また、平戸にもJ1の舞台で会えたのが良かった。いろんなゼルビアの歴史的なシーンに立ち会っている選手。2019年の苦しい時に鹿島から完全移籍で戻ってきたり、2022年の苦しいシーズンをキャプテンとして逃げずに戦ってくれたことなど、感謝の気持ちがあるので、野津田にも来てくれたら良いなって思います。


今節も最後までお読みいただきありがとうございました。

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