見出し画像

【連載:わたしたちの「りんご音楽祭」vol.15】

「友だちが好きなものを知るたびに、ちょっとずつ世界が広がっていく気がする」

・・・

松本育ちなので、りんごは高校生のころからずっと知っていました。気になっていたけど、部活やバイトで日程が合わず、コロナもあったしいけないままだったんです。高校一年生の春休みからコロナが流行りだして、それから2年生の6月までずっと休校でした。部活の先輩たちの引退試合も、入学式も部勧誘も中止。文化祭は短縮、部活の大会も遠征も、いろんな行事が全部なくなってしまいました。人が集まる大きいイベントも、ほとんど行ったことがなくて。青春、全部持っていかれちゃいました。

2022年は、少しずついろんなことが解禁されていきましたよね。地元のお祭りの「松本ぼんぼん」も、例年よりは規模が小さかったけどようやく開催されて。でも、まだちょっと怖い気がして行けなかったんです。というより、どうしても今年こそはりんごに行きたいって決めていたので、りんごの前は大きいイベントにはいかないようにしていました。

私の大本命は、三日目大トリの浪漫革命です。もうほんとにそのステージ目当てで行きました。大学生になってからバイト先でできた友達が、浪漫革命を勧めてくれたんです。その子は、バンドが好きで、古着も好きで、すごく趣味の合う子。彼女がいいって言うならきっといいんだろうなと思って聴いてみたらもうはまっちゃって。今年のりんご来るってきいて、絶対観に行くって決めました!

母の好きなバンドのライブビューイングを映画館で観たことはあったけど、ライブもフェスも行ったことがなくて。りんごで初めて生のステージを観て……、もう臨場感が全然違いました。フェスって、疲れちゃうかなって思っていたんですけど、全然そんなことなくて。タイムスケジュールは決まっているけど、ちょっとこっちも観たい、あっちものぞいてみたいって、自分たちで好きに移動できるじゃないですか。縛られている感じがなくて、自由でした。あの会場だからできるのかな、広々として、いろんな人がいて、いろんな音楽が溢れていて、それぞれの過ごし方をしているけど、みんなで時間を共有できる。

会場のアルプス公園自体は、子供の頃は毎週のように行っていました。広いし、遊具も充実しているし、アスレチックなんかもあって、「遊び場」って感じ。その公園がフェスの会場になっているのは、すごく新鮮な感じがしました。会場を歩き回っていたら、県外から来たって話をしている人がたくさんいて。みんな、松本まで足を運んでくれるんだ、ほんとにみんなが楽しめる音楽祭が松本で行われてるんだ、って嬉しかったです。会場を歩き回って、いろんな人の話し声を聞いちゃいました。

一緒に行った友達は、中学から部活が一緒で。中学生の時はあんまり話したことがなかったけど、高校に入ってから一気に仲良くなりました。音楽とか、ファッションとか、好きなものが合う子なんです。彼女は子供の頃から家族でりんごに行ってたらしくて、「絶対好きだよ、一緒に行こう」ってずっと誘ってくれていたんです。ようやく念願が叶いました!今年もまた一緒に行こうねって話してるんです。

これから、学校も世の中も、今まで通りに大きい行事がふつうにやっていけるようになる感じがするから、10代でできなかった分、積極的にいろんなことをやっていきたいなって思っています。浪漫革命を教えてくれた友達もそうだけど、大学生になってから、人が好きなものを知りたいっていう気持ちが生まれるようになったんです。心にも時間にも余裕ができたから、人に興味が湧くようになったのかな。自分が「いいな」って思う友達の好きなものを知るたびに、ちょっとずつ世界が広がっていく気がするんです。

▷「わたしたちのりんご音楽祭」:「りんご音楽祭」は、スタッフ、アーティスト、そしてあなた、みんなで作る「祭り」です。参加者それぞれの視点から、「りんご音楽祭」について語ってもらいます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?