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『エンジニアリング組織論への招待』を読んだ

こんにちは、けんにぃです。

今日は『エンジニアリング組織論への招待』という本を読んだのでその感想をまとめようと思います。

本の概要

この本は開発組織における技術的負債や生産性が上がらない原因について、不確実性や情報の非対称性といった観点で深掘りしてくれる内容となっています。

アジャイルがうまく実施できない理由もまとめられていて、アジャイルの歴史からよくある誤解まで丁寧に解説してくれているため、アジャイル本としてもかなりオススメできる本です。個人的には『アジャイルサムライ』並みに衝撃を受けた本でした。

見えないものは怖い

この本は、組織においてコミュニケーションがうまくいかない原因を不確実性や情報の非対称性という言葉を何度も使用して説明してくれています。

人は将来、何が起こるかわからないという不安や一部の情報しか把握できていない不安と常に隣り合わせの状態でいます。そういった不安が間違った判断や対立を引き起こしてしまう、ということを歴史や心理学などを用いて非常に多角的に分析されています。

それはいわば幽霊のような存在だと私は思いました。部屋にいるとどこからかラップ音が聴こえてくるけど、その原因が分からなくて怖い、という心理状態とよく似ています。

恐怖や不安からは逃れたいという気持ちは、たとえベテラン開発者や経営者のような経験豊富な人であっても感じてしまうんだと、この本を読んで改めて思いました。人間はそれほど脆い存在だということです。私も経歴的にはベテラン開発者ですが、新しいことをするときはいつも不安になりますし、正直逃げ出したくなります。

この本を読んだか読んでないかでも情報の非対称性が生まれる

本を読んでて感じたことは、非常に深い内容でその通りだと感じるものばかりだったのですが、この本を読んだ人と読んでない人の間でも組織構造の課題に対する認知度にかなりのギャップが生じてしまうなぁと思いました。

この本を書かれた広木大地さんは Qiita などでも組織に関する課題の構造を明確にして非常にわかりやすく説明してくれるので、説明を読む前後で自分の世界観がだいぶ変わっていることを実感します。それは同時に説明を読んでいない人たちを置いてけぼりにしてしまうリスクもあるなと思いました。

つまりこの本は読んで理解できたで終わってはいけなくて、この本の伝道師として内容を周囲に伝えていかなければならないなとそう感じました。それはプログラミングと違って、知見をソースコードのように残すことができないので、内容について周囲と対話し続けることが一番大事なことのような気がします。

まとめ

組織マネジメントは難易度が高い一方で、絶対的な答えがないからいつまでも熟考できるという意味では面白い題材ですね。全力でオススメしたい一冊です。


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