見出し画像

視察報告 東京都渋谷区 一般社団法人「政策実現のカギをさぐる-森澤恭子品川区長講演会」  尼崎市議会議員 池田りな

こんにちは。尼崎市議会議員 池田りなです。視察の報告をいたします。

テーマ: 「政策実現のカギをさぐる-森澤恭子品川区長講演会」 
日程: 2024年4月24日(水) 午前
場所: 東京都品川区

【概要】
 2022年12月就任された、森澤恭子品川区長の講演会に参加しました。お話を聞いて、特筆すべき点を3つ述べます。1つ目は、区長選挙の際、どこからも推薦公認を受けなかった無所属だからこそ、本当にやりたい政策が実現できると述べられていたことです。選挙でどの政党が推薦・公認するか、誰に応援してもらったかが、首長当選後の政策実現に大きく影響することは言うまでもありません。

 予算編成に際し、全665事業の事務事業評価を実施し、一般会計予算の1%にあたる20億円の財源を捻出されたそうです。予算編成に際して、全区民アンケートから区民ニーズを分析されたとの説明もありました。財源を生み出すには、廃止する事業が当然あります。具体的に何を廃止し、その資金が何に使われるのかを示すことで、区民の理解を得られたとも述べられました。

 2点目は、森澤区長が実現した子ども子育て事業です。子育て世代待望の所得制限を撤廃した3つの無償化(0歳~2歳、第2子保育料無償、区立学校の学校給食無償、高校生までの医療費無償)です。本来は国が進めるものですが、現在は自治体ごとに異なり、東京都23区内でも状況が異なります。首長がこの財源をどう捻出し、早急に実施するかが子育て世代からの支持を得る鍵と考えます。東京都とは財政規模が異なるため、尼崎市と単純に比較することはできませんが、尼崎市の状況と要望を述べます。

 まずは、0歳~2歳の保育料についてです。保育料は世帯年収によって変動しますので、共働き世帯の保育料は高額になることがあります。0-2歳の保育料を無償化する自治体も増えてきており、お隣の大阪市では令和8年度から無償化を発表しました。尼崎市では、令和6年度から、阪神間他都市と比較して高額となっている保育料区分の保育料を阪神間他都市水準以下に引き下げましたが、負担は依然として大きいです。

 第2子以降の保育料については、年齢の高い順に数えて、2人目の保育料は半額、3人目以降の保育料は無料になります。私の元にも多くの要望が寄せられていますので、引き続き市に要望していきます。

 次に、学校給食無償化についてです。文科省が調査した子供の学習費は、学校にかかるだけでも小学生が年間約10万円、中学生が約17万円であり、その大半は給食費用です。尼崎市の公立小・中学校の給食費は年間で、小学校が4万3,920円、中学校が5万6,730円であり、重たい負担です。2人、3人と子供がいたら、なおさら家計に大きな負担になります。給食費が無償になればかなりの負担軽減になります。

 尼崎市で小中学校給食の無償化を実施する場合、小・中学校等の給食費を無償化した場合には、試算では約14億円となります。近隣の伊丹市では、令和6年度から中学校給食を無償化しました。

 最後に、子ども医療費無償化です。尼崎市では通院対象が中学生までであり、小学生以上は自己負担が発生しますので、これを無償化してほしいという要望が多く寄せられています。松本市長が、子ども子育てアクションプランにおいて、令和8年までに医療費無償化の拡充を発表していますので、引き続き要望していきます。

 他にも0歳児見守り・子育てサポート事業を始めました。「見守りおむつ定期便」満1歳まで月1回程度、見守り支援員が訪問し、赤ちゃんと養育者の方の見守りを行い、お会いできた時には、おむつ等の育児用品をお渡しています。孤育て世帯や虐待防止にも繋がるので、尼崎市でも導入したいと常々思っています。

https://www.shinagawa-mimamori.jp/



 3点目は、森澤区長が発表した「ウェルビーング予算」です。ウェルビーングは、個人や社会のよい状態。世界保健機関(WHO)は、「Health Promotion Glossary of Term 2021」において、健康と同じように日常生活の一要素であり、社会的、経済的、環境的な状況によって決定される」と紹介しています。

 森澤区長は、ウェルビーング予算として、人の不安や不満などを解消し、多様なニーズに応じた選択肢、幸福を感じられる施策を盛り込んだそうです。2019年、ニュージーランドのアーダン前首相が世界で初めて「ウェルビーング予算」を編成しました。ウェルビーングは既にグローバルスタンダードとなりつつあり、SDGsの次なるグローバルゴールとも言われています。

 尼崎市でも、「学びの多様化学校設置基本方針(素案)」や「尼崎市人権文化いきづくまちづくり計画 - 【令和3 (2021)年度~令和12(2030)年度】」において、ウェルビーングという言葉が登場しています。尼崎市においても、市役所からウェルビーングという考え方を広めることが重要であると考えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?