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「禁止」をほじくってみたら

小学生の頃「パティシエになる!」と言っておかし作りにいそしんでいたけど、シュークリームを失敗させたことを機にさっさとその夢を放り出したことがある。

高校生の頃、プロダンサーになろうと思ってダンスの道に進むことを決意したけど、紆余曲折あって今では「あれは受験勉強回避のための言い訳でした」と自虐ネタにかつての夢を語っている。

一瞬でも本気になった「その時の私」がかわいそうに思えてくるくらい、私はこれまで夢もやりたいことも全部手放してきてしまっていた。

きっかけ

以前have toはがしをして脳内ひろゆきを大量発生させていたのと同時に、自分の「want to」、つまりやりたいことについてもコーチングで考える機会があった。

なぜwant toについて考えたかというと、自分のゴール設定をするため。(ゴール設定の重要性については以下記事をぜひ)

認知科学コーチングにおける「ゴール」は、「将来こうなりたいという自分の姿、その時見えている世界」のことを指していて、そしてそれには必ず以下の条件が必要らしい。

ゴール設定の条件
(1)心の底からやりたいこと(want to) であること
(2)「現状の外側」に設定すること
(3)人生の複数の領域にオールライフで設定すること
いのっちさん「認知科学コーチングとは」参照

今日はその中でも(1)についての話。
かつての私のように「やりたいこと見つかってない」という方に、少しでも参考になったら嬉しい。



そもそもwant toって何?

・自分が心の底からやりたいこと、止められてもやってしまうこと
・きづいたらやってしまっていること
いのっちさん「認知科学コーチングとは」参照

これだけを聞いたとき、私は割と本気で
「心の底からやりたいことなんて、正直何もないんだよなあ」
と思った。

なぜなら私は、これまでやりたいこと模索し続けてきた生粋の「迷い人」だったからだ。「やりたいこと見つけた」と思って実際にやってみては辞め、を何度も繰り返してきたのである。

冒頭のパティシエ、ダンサーと続き、物書きだったり、秘書だったり、だいぶフラフラゆらゆら。

その後も色んな書籍(例えば以前話題になった『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』)も読んで実際に試してみたけど、やっぱりしっくり来なくて、ずっとフラフラゆらゆら。(本は1ミリも悪くない)

会社員時代は最終的に「『誰かのやりたいことを形にすること』が私のやりたいことだ」という、誰かのwant toを借りないと生きていけないような、他人任せな思考に至ってしまっていた。

だけど、そんな私でもやりたいことが見つかった。

以下、どんなアプローチで何をやってきたのかを記載していく。


want toはどこにあるのか

そもそもの話。というか今日の結論。

want toは「自分自身にとって権威となる人(親、パートナー、上司など)から禁止されたり止められたりしてもやってしまう行為」に潜んでいる可能性が高いらしい。

まずこの考え方が目からウロコだった。

だってどの本にも割と「自分がやっていた楽しいと思うこと」とか「好きなこと」とか。あとは「人から言われた特技(=森逸崎これ上手いよな)」とか、そんな軸で考えるようなことばかり書いてあったから。

ほげー、である。


早速それを整理していく。


禁止されたフレーズでwant toを抽出する方法について、コーチから先に「大枠こんなイメージ」と共有があった。

▼want to抽出事例
父:好きな習い事を見つけなさい
自分:習い事をすぐにやめていた。好きな習い事が見つからず、その日に思いついた遊びをしていた。
→一般的な遊びではなく、自分で思いついた遊びをやりたい。
→選択肢がある中から選びたくない。
→自分で決めたい。
→want to【自己決定】
ふむふむ

では、より具体的にやってみよう。



①リストアップ

まず、以下の項目をシートに記載していく。

・年齢
・関わった人物/その人との関係性(親、先生、親友、など)
・行動を禁止または強制されたセリフ
・その言葉に対して「●●した」という具体的行動 


全項目一気にと言うよりは、以下の流れでやると書き出しやすい。

1.まず各年齢ごとに重要な存在だった人の名前をリストアップ
2.その人から禁止/強制されていたセリフを記載
3.それらの禁止/強制されていたセリフに対しての自分の具体的行動を記載



私の場合、ざっくりこんな感じ。

年齢:0〜5歳
関わった人物:ーー(本名で記載)
関係性:叔母
禁止/強制された時のセリフ:「ちゃんとやって」
自分の行動:従わずに逃げた。覚えている中での、最古のトラウマ。5歳の従兄弟・4歳の姉・2歳の私の3人でポンポンを持って従兄弟十数名の前でダンスをしないといけない状態で、練習も何もしてないのにいきなり大勢の前に立たされて嫌になって泣いて逃走。
年齢:0〜5歳
関わった人物:ーー(本名で記載)
関係性:幼稚園の先生
禁止/強制された時のセリフ:「来年から小学生になるんだからしっかりしないとダメだよ」
自分の行動:従った。言われた瞬間毎日5時に起きて夜8時に寝る、大人の言うことをきく子になる。
年齢:6〜12歳
関わった人物:ーー(本名で記載)
関係性:姉
禁止/強制された時のセリフ:「泣くな。あんたもう眠いんだよ。早く布団に行きなよ」
自分の行動:従わなかった。私の泣き声がうるさいからさっさと寝かせたいための言葉だってことを幼な心にわかってて、「ちげーよ眠くねーよこういう理由で泣いてんだよ」と心の中でめっちゃ叫んでた。

スプレッドシートに直近29歳までのをずらりと書いた。

意外と思い出せなくて、めっちゃ大変だった。

しかも気づいたら「これ禁止じゃなくただの印象に残った言葉だわ」ってものも羅列してしまったりもした。

禁止されたことや言葉が思いつかない場合は、「その人がよく言っていた言葉」「その人の信念」「自分に対しての強い希望」などを書くといいらしい。



②行動の背景の記載

次に、行動の背景としてどんな理由・欲求があったかを記載していく。

ここで大事なのが、記載したwant toが「行動を引き起こす源にある欲求になっているか」ということ。
つまり「認められたい」という「行動によって得られる結果」や、誰にでもある生理的欲求/心理的安全性はwant toに該当しないようである。

年齢:0〜5歳
関わった人物:ーー(本名で記載)
関係性:叔母
禁止/強制された時のセリフ:「ちゃんとやって」
自分の行動:従わずに逃げた。覚えている中での、最古のトラウマ。5歳の従兄弟・4歳の姉・2歳の私の3人でポンポンを持って従兄弟十数名の前でダンスをしないといけない状態で、練習も何もしてないのにいきなり大勢の前に立たされて嫌になって泣いて逃走。
.
背景:心理的安全性の確保
→want toか?→ NO
年齢:0〜5歳
関わった人物:ーー(本名で記載)
関係性:幼稚園の先生
禁止/強制された時のセリフ:「来年から小学生になるんだからしっかりしないとダメだよ」
自分の行動:従った。言われた瞬間毎日5時に起きて夜8時に寝る、大人の言うことをきく子になる。
.
背景:自立欲求?
→want toか?→ NO
年齢:6〜12歳
関わった人物:ーー(本名で記載)
関係性:姉
禁止/強制された時のセリフ:「泣くな。あんたもう眠いんだよ。早く布団に行きなよ」
自分の行動:従わなかった。私の泣き声がうるさいからさっさと寝かせたいための言葉だってことを幼な心にわかってて、「ちげーよ眠くねーよこういう理由で泣いてんだよ」と心の中でめっちゃ叫んでた。
.
背景:正確な意思の伝達
→want toか?→ YES⭕️

行動の背景を書き出した後、割とwant toに該当しないモノが多いことに気づく。

そうして書き上げてから、改めて精査した項目だけを並べてみると、こんな感じ。

自分の行動の背景サマリ
正確な意思の伝達
アイデンティティの追求
自己表現
自己理解
個性に合わせたコミニュケーション
個性の提示

ほうほう。

何やら「個性」とか「個人ごと」にフォーカスした欲求がありそう。

でもまだこの時点ではしっくりきていない。



③見直し

その後、日にちを置いて何度かシートを見直していく。
さらに記載したwant toに対して、「目的は何か?」もしくは「何かのための手段か?」を考える。

もしも手段としてwant toになっているものが出てきたら、それは下位ランクのwant toと考えるらしい。

逆に目的はなく「純粋にやりたいから」というものがあれば、それがいちばん上位のwant toの可能性がある。

これを自分がしっくりくるまで、何度か見直しながらやってみた。



すると、

あれ?

私の場合、「自己表現」というwant toが「意思表示」や「伝達」の手段なんじゃね?

ってことにある日、思い至った。

あ、そうかも。
そうなのかも。

そうなのかも!!!!!!!




そうなのだ。
そのまた後日、見返してみても、

しっくり来てるのよ、これが。


正直、禁止ワードを羅列したばかりのときは「これが私の欲求なのかあ」とピンときていない部分もあった。

でもシートを見返したり見直していくうちに、「こ、これだ…」と確信じみた欲求であることに気づくのだ。

それに、例えば私の「正確な意思の伝達」の場合、
「小さい頃から口下手で誤解されやすくて誰かに正確に意思表示したいずっと思っていたなあ」
「家族や友人の考えていること感じていることを汲み取ったり言語化できたときにものすごい喜びがあったなあ」
「人の個性をもっと知りたいなあ」

といった具合に、それにまつわる背景や欲求がどんどん浮かんでくるようになった。

しかもびっくりしたのは、本当の本当に、それらは自分の「心の底から思っていること」だと言い切れていること。

人の目を気にした「こうありたい」「こう見せたい」じゃなくて、紛れもなく心の底から私がやりたいこと、思わずやってしまうことだった。

これはhave toと違って本当に人それぞれだから共感は得にくいかもしれないけど、伝われこのしっくり感。



気付き

このwant toの整理をしていて気づいたこと。
すごいアホらしいんだけど、やっぱり私はこれまで、やりたいことを「手段」でしか考えてこなかったんだなあ、ということ。

・パティシエになること
・ダンサーになること
・物書きになること

小さい頃から掲げていた「なんとなくこうなりたい」ということについて、私は手段から目的を模索するように整理していたから、すごく迷子になりやすかった
だって、目的はその時の自分の気分や環境によって、いくらでも後付けできてしまう


あとは逆に、want toが見つかったら、手段が無限大に広がったということ。

自分を含めて誰かの気持ちが正確に伝わるように言語化したり、個性に合わせたコミニュケーションが取れるような仕事はたくさんある。

最近心理カウンセリングの勉強を始めたのもそれが理由だったりするし、おそらくもちろんおかし作りもダンスも文章も、それをする上での手段のひとつだったんだと思う。


.
want toの抽出方法にもきっといろんなアプローチがあるから、もちろん今回の方法が全員にフィットするかはまた別の話だと思うけど、
少なくとも私は、今自分がいちばん納得するwant toが整理できた。

これまで育成に関して「禁止」とか「強制」とかよろしくないって話を聞いたりもしていたけど、悪いことばかりじゃない。そのおかげでやりたいことが見つかるってこともあるんだな、と思った。

ゴール設定するのがますます楽しみになってきた今日この頃。

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