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mmmのリングをお迎えしました

演歌リング、ではないけれど「私、このリングだったんだ!?」と思ったその出会いは名古屋タカシマヤに出展されていた自問自答ガールズおなじみのアクセサリーブランド「mmm」さんのPOPSHOPで起こりました。

もともと、「千と千尋の神隠し」の湯婆婆、銭婆婆のように大きな石のついた指輪をつけたかった私。
でも最近はセボンスターのおまけについているようなあんな指輪はなかなかお目にかからない。私が知らないだけであるのかもしれないけれど、昔は雑貨屋とかショッピングモールの催事場にたまに来ているお店にたくさん置いてあったように思うけど最近見なくなってしまった。
昔、ガーネットの丸い小さな石をはめた細い銀メッキの指輪を持っていたんだけど、あんな指輪もよかった。断捨離ブームが来た時に処分したんだと思うけど、何で捨ててしまったんだろう。まああっても経年劣化で使えなかったかもしれないけど。
そんな中、自問自答ファッションとガールズたちを通してmmmのアクセサリーを知った。
私の目を引いたのは、宝石箱の中に並ぶ数々の石がついた指輪たち。
わあ、かわいい!これだよ、私が欲しいなと思っていたのは…そう思いながらウェブショップやインスタの画像を眺める。そう若くない私の指には似合わないだろうけど、一度は見てみたいな、そう思っていた。
しかしてお店は東京。個人的な問題でなかなか東京に行けないなあと思っていた矢先、まりかさんとインスタでやり取りする機会があり、その時に「春に名古屋のタカシマヤでお店を出しますよ」と教えていただいた。名古屋なら日帰りで十分行ける距離。私は春まで何とか生き延びよう、そう思った。(別に重篤な病気をしているわけでもないですが、何かと生き延びる理由を探しがち)
幸い、仕事は平日休みを取りやすい職種。早くから予定を入れ、せっかくなので娘も一緒に見に行かないかなと思い日曜日にも休みを入れる。このことが功を奏すわけだけれども、この時の私はまだ何も知らない。

デザイナーの茉莉華さんはことあるごとに「買わなくてもいいから試着して」と発信してくれている。その言葉の端々にアクセサリーへの愛が感じられ、おそらくリングやアクセサリーを買うのは難しいけれどもせめて今持っているアクセサリーについての話を聞いてもらえないだろうか…そう思い、思い切ってお話枠も予約した。着ていく服が気になるけれども、ボタニカルスカートに黒いシャツを合わせて行こう、そう決めてその日を迎えた。

果たして当日。
家を出る直前になり、コーディネートに違和感を感じた。
襟元のアクセサリーは好きな感じだ。肩口から袖にかけてレースが入ったシャツも気に入ってるし、先日ボタニカルスカートと合わせた時もカッコいい感じになっていいと思った。
しかしその日は何だかなあと思った。けれど他に服はない。とりあえず春物のトレンチコートを羽織り、自宅を出る。

名古屋についたのは昼前だったので、先にカフェでお昼を済ませた。その時だけ少しテンションが上がって手の写真を撮るなどする。パタリーと湯婆婆のリングはお気に入りだ。
それから再度トイレでコーデを確認する。
うーん、やっぱり何か変?シャツの裾をインしてみる。
それもなんかしっくりこない。
元に戻し、少し暑くなってきたのでトレンチコートを脱いで手にしたまま最寄りの百貨店(タカシマヤではない)に入ることにした。
そして、あちこちにある全身鏡に映る自分を見て気づく。
バランスが悪いのだ。
シャツの裾が長いのと、襟元を締めているせいで胴長に見える(実際胴長だけども)黒シャツと鈍い金色に近い布地のボタニカルスカートは合わないわけではないけど、私には浮いて見えた。
多分、自宅では夜室内で試着して決めたからかもしれない。昼間に見ていなかった。昼、日の光の下で確認したらまた違う結果になっていたかもしれない。
若干絶望的な気持ちになる。自問自答ガールズと名乗り、それなりに自問自答してファッションを決めてきたつもりだけれど全然成長していないじゃないか…。
一度自分にダメ出しをすると、百貨店の店員さんたちの目も気になった。変な格好だなと思われているだろう…だって変だもの…平日で人も少なく、店員さんはレジで事務作業をしている人も多くちらと店先を覗いても気づく人は少なかった。こちらから挨拶もしていないのだから当然なのだが、服にダメ出しをしているので挨拶をする元気もなかった。店員さんは別に何も思ってないだろうけど、卑屈になってしまうぐらいテンションが下がってしまう。

しおしおとした気持ちのまま、怯えながらハイブランドの店を通り過ぎる。バーバリーもロエベもトリーバーチもあったけれど、横目で見るしかなかった。思えば神戸の時も、さくさんが率先して入って行ってくれたから試着もできたのだ。私はまだ試着旅の入り口にも立てていない…そんなことを思いさらにしおしおしてしまう。
茉莉華さんのお話枠を予約していなかったら、mmmもあきらめてすごすごとそのまま帰っていたかもしれない。
しかし予約をすっぽかすわけにはいかない。再度時間と場所を確認した。
その時の私はなぜか、13時半からと思っていた予約時間は13時となっていた。時計は12時52分。
!?!?!??!
何で勘違いしてたんだ!?水星逆行か!?(何でも水星のせいにする)
幸い、タカシマヤは目と鼻の先だったので速足でタカシマヤに向かう。インスタで「高島屋1階の入り口のすぐそば」という情報を得ていたけれど、タカシマヤの入り口は金時計を挟んで二か所ある。どうして前もって調べておかないのか…めったに来ないからどっちにそうしたイベントスペースがあるのかもはっきり知らないのだ。いや、違う。カフェに入る前にタカシマヤに少しだけ立ち寄った。その時にいろんなPOPUPSHOPが入っていて、mmmがなかったことは確認していた。だから反対側の入り口だと思ってたのに、焦る+方向音痴もあってまたその入り口から店内に入ってしまった。
当然ながらない。
すぐさま引き返してもう片方の入り口へ入ると目の前にmmmのポスターとショーケースが見える。こんな目の前に…!!めちゃくちゃ焦った。心の準備ができていないけれど約束の時間はもう目の前だ。

接客をしているまりかさんらしき人が見える。わ、可愛い…素敵…と思いつつ、スタッフさんに挨拶させてもらうとまりかさんもこちらに来てくれたのでご挨拶をさせてもらう。
接客されているその間ショーケースの指輪を見せてもらった。
SNSでよく見た色とりどりの指輪が並んでいる。石が二つ並んだもの、楕円形の石、どれもかわいい。
ほどなくしてまりかさんが来てくれて、私がはめている指輪を見ながらいろいろとアドバイスをしてくれた。
私が気になっていたのは複数のリングの合わせ方、それと地金が細いと指のお肉がむちっとなるところ。
mmmの指輪はかわいいけど、地金が細いものが多いのでかなり太目な私がはめるとむちっとなるであろうことが気になる。
それを伝えるとまりかさんは「私もそうですよ」と自分の手を見せてくれる。そして「案外誰も見てませんよ、どんどんつけちゃいましょう!」と笑った。その明るい言葉にそうか、私が気にし過ぎなんだとようやく気付く。
そして「買わなくて大丈夫なので、ぜひ試着してみてください。この色とか似合いそう」と指輪を出してくれる。実は少し前にガールズのゆとりさんとDMでお話をする機会があり、その時にmmmにお邪魔することを伝えたらまりかさんとてもいい人だから、ぜひたくさん試着して、とおすすめされていた。これが噂(噂?)の試着タイム…!

コンセプトは?と聞かれ、慌てて森の魔法使いですと答えるといいですよね、魔法使い!じゃあ…と色々出してくれる。
スモーキークォーツなど、森っぽいイメージのある石が出てきて、こっちの色もいいかな、いやこっちかな?とまりかさんが吟味する。いろんな色の石を試すうちに、どういう形が合うか、どんな色が合うかが少しずつ見えてきた。

試着させていただいたリングの一つ。森っぽい!


まりかさんは私の肌の色を見ながらこの石がいい、これはちょっと合わないかなと惜しみなく教えてくれた。似合うのは少しくすんだ色らしい。実際にはめてみると確かに合う色合わない色もよくわかる。試着って大事だ。
ちなみにまりかさんが時々他の方の接客をされてる間に、密かにかわいいなと思っていたネコちゃんのリングを私の指にはめてみて憧れを昇華した。あの小さな世界にネコが詰まっていた…!!

アドバイスをもらう中、まりかさんがゴールドとシルバーそれぞれの指輪を出してくれた。両方をはめたり、手のひらに置いてどちらの色が明るく見えるかを自分でも確認する。
「こっちの銀の方が明るく白く見えます」
「やっぱりそうですよね!ということはりんさん、ブルベだと思います」
「!?!?!?!?」
ブルベ!?
驚く私にまりかさんは診断はできないんだけれど…と前置きしながら、ブルベだとこの色も合うんですよと出してくれた石の指輪は確かに私の肌にマッチしていた。どちらかというとブルベ夏のようだ。
そして私は唖然としていた。だってずっとイエベ秋だと思っていたから。
最近カラー診断を受けたわけではない。ただ、昔通っていた美容室のスタイリストさんが勉強をしていたということでカラー診断をメニューに挙げていて一度受けたことがある。その時にイエベだと判断されたのだ。その結果には自分も納得していた。合うと思った色は好きな色が多かったし。
そしてネットの自己診断でもイエベ秋だった。ネットの診断は自己判断なのでどこまで合っているかはわからない。けれどそこまでファッションに熱心な時ではなかったので、合う服の色がわかったからいいなという感じ。(とか言いながら黒とかモスグリーンの服も買っていたけど)
カラー診断は、地元でなかなか予約が取れなかったり今更受けてもな…という卑屈なあきらめだったり、一度見てもらってるしな、という後ろ向きな理由から2度目は受けていない。

まりかさんは診断はできないけど、と言われたけれども聞けばなるほどと思うことばかりだった。石の色もブルベの人に合う物がしっくりくる。
アクセサリーはゴールドよりもシルバーの方が合うこと、メンズのシルバーアクセサリーもいいこと、その場合はくすんだ色ではなく輝きがあるタイプを選んでほしいこと、ネイルカラーのアドバイスも。
ああ、そういえば短い爪でも似合うネイルを聞いてみたらよかったな。

こちらも試着させていただいたムーンストーンのリングとキヌガサタケ幅広リング。

しかし何と、まあ…。
試着の際、自分で選んだリングの石の色もブルベに合う色で、ちゃんとご自分でも知ってるんですよとまりかさん。その日つけていた蝶の指輪の色も地金がゴールドだけど、石の色は合っているとのこと。
湯婆婆の指輪はガラスの色は違うけど、周りの装飾でうまく合っているらしい。

そして、トップスに選ぶ服の色についてもアドバイスをいただく。
今着ている黒よりも白い方がいい、それも真っ白ではない白。他の色なら複雑な色あいがいいこと、髪色も茶色くしているけどもう少し黒めの方が合いそうだということ、白髪も活かせられること…。
何とわざわざブルベに合うカラーリストも検索して見せてくださった。神か。
(そうか、だからこの服が合わなく感じるんだ…)
脳内で「ガッテンガッテンガッテン!」とスイッチが押される。
そうか、そうなんだ…憑き物が落ちたようだった。
この黒のシャツは襟もかっちりしていてシルバーのネックレスも映える。
これを買ったのは鈍い金色に近いボタニカルスカートに合わせる色が思い浮かばなかったのもあるが、少し自分を強く尖って見せたい気持ちもあったのかもしれない。凛としたカッコいいイメージにとらわれ過ぎていたり、仕事でのうっぷんを服に現したのかもしれなかった。
暮らしぶりも投げやりになりがちだった自分のようにどこかちぐはぐなファッション。自分の心に沿っていない。ちっとも自問自答できてなかった。

それはそれとして、確かにこのシルバーの幅広リングをつけるとパッと光が広がったように見える。すごい…。
そしてまりかさんはイヤリングについての悩みも相談に乗ってくれた。ショートヘアなので大ぶりのイヤリングをつけたいがしっくりこないことを話すと、耳たぶが広いのとネックレスをつけているのでそこまで大ぶりじゃない方がいいとアドバイスをくれる。そしてイヤークリップを試着させてくれた。
えっ何これピアスみたい…つけやすいし痛くないしかわいい…!
(耳たぶが厚い民なのと夫が嫌がるのでピアスは開けてないのです)
そして不ぞろいの真珠がこんなにかわいいなんて!

イヤーカフはお隣のお店のお品です。

これは皆購入してしまうわ…。
それから、ショップのお手伝いに着ていらしたスタッフさんが美容師さんということで何とヘアカラーについてのアドバイスまでいただいてしまった。え、もうこれ無料でいいんですか…。
最近通っている美容室は子供の頃からのお付き合いで、ヘアカラーに関してはそこまで色数をそろえていない。ただ髪質をよく知ってくれているので、カットだけお願いしてヘアカラーについては専門店を探してみようと思う。何か…黒髪がコンプレックスで明るくしてたのが裏目に出てたんだなって…目からうろこが落ちまくったよね…。
アクセサリーや服のことをお話しするまりかさんはとても楽しそうで明るく、当然ながらプロだった。そして心底この仕事が好きなのだなということが伝わってきて私のしおしおとしていた気持ちもどこかへ消えてしまった。
瞬く間に1時間が過ぎようとし、私は慌ててお礼を言って日曜日にもう一度伺います、と退店する。この春から社会人になった娘がいて、mmmのアクセサリーを見て可愛いと言っていたので一緒に行く約束をしていたのだ。
そしてその日はそのまま駅に向かい、ちょうど停まっていた急行に乗って帰宅した。電車の中でふと「あのリング可愛かったなー」と思い出す。試着というか、色を見るためにはめたキヌガサタケのリングである。
SNSやガールズの画像でよく目にしていたリング。私は石がついた指輪がいいな、とあまり気に留めていなかった。
なのにじわじわとあの時の輝きが思い出される。
あの手の指輪は合わないと思ってたけど、よかったなあ…。
そう、ああいう感じの透かし彫りというか…レースみたいな感じ、好きなんだよな。
前にアクセサリーショップでゴールドの透かし彫りのリングをはめたけど似合わなくてそれから範疇になかったんだ。

そうこうするうちに電車は駅に到着。
私は駐車場から車を出すと、地元のショッピングモールへ向かった。
目的はハニーズ。
まりかさんのアドバイスを忘れないうちに一枚だけトップスを買っておきたかった。
『あのお姉さんが着ているカーディガンのような色』
隣の店員さんが着ていた服の色で教えてくれた薄めのグレー。リストで見た色合い。黒よりも白、白でも真っ白ではなく少しクリーム色に近い白。
ハニーズで見つけたのは淡い色のグレーのような、水色のようなカーディガン。
あいにくと今履いているスカートにはあまり合わないけど、もう一つのスカートなら合いそうだ。試着をして着心地やサイズ感を確かめ購入した。
あまり良くない買い方だけれど、日曜日もあるので必死だった。もうしおしおとした気持ちでまりかさんに会いに行きたくはない。

そして帰宅。
撮らせてもらったキヌガサタケリングの試着写真をしげしげと眺める。
可愛いなあ。
再びしみじみと思う。SNSで見た時は私には縁がないタイプだなと思っていたのに、あの時の自分の手と指輪が脳裏から離れない。輝いてたよな、間違いなく。確かに指輪の周りの肌が光をまとっていた。
もう一度つけてみたいなあ、でも明日は行けないし、その間に誰かお迎えしてしまうだろうか…。

ハッ…!そうだ、とガールズのSNSやnoteを思い出す。
もう一度見せてほしいと頼んでみよう。
私はまりかさんの公式LINEに突撃した。
今日のお礼を改めて伝え、そして日曜日にあのリングをもう一度見せてもらいたいとお願いしてみた。
するとあのリングはもう残り一つになったので、取り置きしておいてくれると返事が。
よ、よかった…!
自分の突発的な行動力にこの時ばかりは感謝した。
リーガルのコインローファーを見に行った時と同じだ。あの時は取り置きも何も聞くことができず、当たって砕けろの精神で買いに行ったけど今回はちゃんと希望を伝えることができた。少しだけ成長したのかもしれない。
何より、もう一度mmmを訪ねることができる。
単なる偶然ではあるけれど、何という天の配剤であろうか。
私は少しずつ貯めていたへそくりをそっと封筒にしまった。そう、またこれもお迎えできるぐらいの金額がちょうど貯まっていたのである。

それから日曜日。
コーデは黒のレースカットソーに淡いグレーのカーディガンと綿のスカート。前回とかなり印象が変わる。何よりカーディガンのおかげか顔周りが明るくなり気持ちもかなり楽になった。色合いが優しいと何だかほっとする。少し前に優しさを隠さなくていいと自分でわかってたのに、あえて隠して失敗したのだ。
わあおしゃれ!ではないけど、やわらかい色合いで前回よりはかなり心穏やかに名古屋へ向かう。ネックレスはシルバーの物を重ね付けした。一つは桜のペンダントトップ。昔、両親と家族で出かけた滋賀の長浜にある黒壁ガラス館で父が買ってくれたものだ。3月下旬から4月にだけつけるようにしている。もうそろそろ出番が終わる頃だ。

はまっていたガラスが落ちてなくなってるのは御愛嬌。


娘と再度訪れたmmmで、まりかさんは私の着ているトップスに気づいて褒めてくれた。色でこれだけ違うのだ。中は黒のトップス(別のやつ)にしたけど、これがあるだけでずいぶん違う。
そしてお願いしていたキヌガサタケ幅広リングを見せてもらう。
はめてみるとやっぱりかわいい。もう迷うことはない。
購入します、とまりかさんにお伝えした。
少しずつ貯めていたへそくりが役に立った。またコツコツ貯めて、次に備えたい。

豚に真珠の遊び心がかわいい

安くて見栄えがする物を上手に使うのが賢いやり方と思っていた私にとって、この値段の指輪を購入するのは初めてのことだ。パタリーのウェーブリボンリングを買う時にもドキドキした。
逆に言い換えれば、いいなと思っても値段であきらめてきたものも多いということだ。それをあきらめることなく迎えることができて本当に良かった。
私の制服ができるのはまだまだ先で、今もまだ試行錯誤の最中である。でもその中でもセットに入れるアクセサリーがそろってきたことをうれしく思う。そしていつか、いや必ず私の指に合う石のリングをお迎えしよう。

まりかさん、本当にありがとうございました!
またお会いできる日を楽しみにしています。

りん


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