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フェルナン・ブローデル『地中海』を読む読書会

長い16世紀のヨーロッパと現代日本の類似点

16世紀のヨーロッパは時代の転換点でした。世界規模の分業体制が確立した時代です。(アカデミック読書会は、第34回まで、イマニュエル・ウォーラーステイン『近代世界システムI―農業資本主義と「ヨーロッパ世界経済」の成立』を読みました。

その「長い16世紀」を地中海を中心に描いたのが、フェルナン・ブローデルの『地中海』です。ブローデルは、長期(環境・気候変動など)・中期(経済や王朝など)・短期(突発的な出来事など)の、3つのスパンに分け、地中海の歴史を描きます。

『別冊NHK100分de名著 「平和」について考えよう』の第2章では、水野和夫氏が、ブローデルの地中海について解説し、長い16世紀と現代に、類似点があると指摘します。日本やアメリカ、ヨーロッパなど、繁栄を続けてきた国々が、衰退に向かっています。

ブローデルの言う「 長い十六世紀」とは、一 四五〇年から一六五〇年くらいまでの二百年ほど、中世 から近代へと時代が移り変わった時期を指します。 それ 以前、 中世の地中海 は、世界中の富が集まってくる、世界で最も豊かな地域 でした。

斎藤 環; 水野 和夫; 田中 優子; 高橋 源一郎. 別冊NHK100分de名著 「平和」について考えよう (Kindle の位置No.607-609). NHK出版. Kindle 版.

ところが、「 長い十六世紀」の間に、 世界は大きく変わります。いわゆる 大航海時代(*) を迎えて、 大西洋から新大陸に至る貿易ルートが開拓され、 地中海は世界の中心ではなくなりました。イタリア諸都市の繁栄は終わり、 スペインやオランダ、イギリスにとって代わら れ ます。

斎藤 環; 水野 和夫; 田中 優子; 高橋 源一郎. 別冊NHK100分de名著 「平和」について考えよう (Kindle の位置No.617-620). NHK出版. Kindle 版.

しかし、 バブルの崩壊をきっかけにそんな幻想は崩れ、経済は停滞を続けたままです。日本に限らず、アメリカやヨーロッパなど、繁栄を続けていた近代国家が、 同じような苦境に陥っています。繁栄していた社会に陰りが差し、衰退へと向かっていく。 その構造において、「長い十六世紀」と現代の間に、大きな類似点をいくつも見いだすことができたのです。 世界は いま、「 長い二十一世紀」に入っている ─ ─ 私はそう考えています。

斎藤 環; 水野 和夫; 田中 優子; 高橋 源一郎. 別冊NHK100分de名著 「平和」について考えよう (Kindle の位置No.624-628). NHK出版. Kindle 版.

ブローデル『地中海』を読む読書会

水野氏が指摘している類似点とは何でしょうか。フェルナン・ブローデル『地中海』に、その答えがあるかもしれません。

アカデミック読書会では、第35回より、フェルナン・ブローデル『地中海』を読みます。656ページという大著ですが、2週間に1章のゆっくりしたペースで読み進めていきます。みんなで読むので、一人で読むときよりも、いろいろな視点から本を読み、理解が深まります。

第35回は、「第I部 環境の役割 第1章 諸半島 ― 山地、高原、平野」、第36回は、「第I部 環境の役割 第2章 地中海の心臓部 ― 海と沿岸地帯」を読みます。いずれも、長期の地中海の歴史について、読書し、対話します。

以下のページに詳細があります。ご興味持たれた方はご覧いただき、Peatixよりお申込みください。

アカデミック読書会(第35回)

アカデミック読書会(第36回)


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