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アカデミック読書会(第47回)- 長い16世紀は資本主義の始まり -

読書会概要

8月11日(木)、20:00~21:30、オンライン(Zoom)にて、アカデミック読書会(第47回)を開催しました。参加者は1名、ファシリテーター1名の読書会でした。

アカデミック読書会(第47回)マインドマップ

課題本は、フェルナン・ブローデル『地中海III』「第II部 集団の運命と全体の動き」「第8章 結論にかえて ―― 変動局面と経済情勢」です。テーマは、「長い16世紀とはどんな時代だったのか?」です。『地中海』の第II部の最終章です。

今回の読書会では、16世紀の経済活動、特に産業や資本主義の発展について、対話しました。16世紀は、貨幣経済や資本主義の伸びが著しい時代でした。商業資本主義、産業資本主義、金融型の資本主義が現れました。しかし、農業が主たる産業だったため、得られた利益の有用な投資先が見つからず、戦争や掠奪、贅沢品くらいしか投資先がなかったという指摘が、読書会でありました。

スペインの繁栄ののち、世界経済の中心がオランダやイギリスに移り、世界規模での分業体制が整っていきます。長い16世紀とは、世界経済成立の序となった時代なのかもしれません。宗教改革、市民社会、国民国家など、近代国家への概念が少しずつ生まれてきたとも考えられます。

第II部では、世界帝国(スペイン、トルコ)の内部の様子、貨幣経済と資本主義の始まり、経済と戦争の関係、などをざっと概観してきました。16世紀の地中海地域のキリスト教圏側では人口が増加し、物価上昇(価格革命)も起こり、経済が発達します。その一方で、スペイン帝国では、徴税を金貸しに任せていたことや官職や爵位が売買されていたこと、山賊や海賊が増えたことなどなどがあり、広大な帝国を統治しきれていなかった様子もわかりました。

今回の読書会で、「第II部 集団の運命と全体の動き」は終わりとなり、次から「第III部 出来事、政治、人間」を読みます。今回ご参加されたみなさまには、厚く御礼申し上げます。

読書会詳細

【目的】

読書会のはじめにこの読書会の目的を設定しました

【問いと答えと気づき】

問いの中心となったのは、16世紀の地中海地域の経済情勢でした

【対話内容】

16世紀は経済が発展したものの、産業が農業中心であったため、ゼロサムゲームになってしまいました
16世紀は資本の蓄積が始まるものの、有用な投資先がなく、戦争と贅沢品くらいにしか使い道がありませんでした

【気づきと小さな一歩】

読書会で得られた気づきと気づきを活かした小さな一歩です

【板書PDFファイル】

読書会の板書をひとつにまとめたPDFファイルです。ダウンロードしてご利用くください。

次回の読書会のご案内

【開催日時・場所】

  • 2022年10月上旬(木)20:00~21:30 @ZOOM

【テーマ】

  • 未定

【課題本】

  • フェルナン・ブローデル著、浜名優美訳『地中海IV 出来事、政治、人間』「第1章 一五五〇ー一五五九年 世界戦争の再開と終結」

【詳細・申込み】

※詳細が決まり次第お知らせします

※『地中海I』「第I部 環境の役割」まとめ動画:


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