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ラーニング・ジャーナル(リベラル・アーツ編)

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リベラル・アーツに関する学習記録
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#波頭亮

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』34

読んだ本読書マインドマップ読書メモあとがき 著者にとっては、2冊めの社会論 →『成熟日本社会への進路』を書く4~5年前から、市場主義的経済政策を強力に推進しても、世の中はハッピーにならないのではないか、という疑念があった 人間が幸せになるための非経済的価値は、経済学の対象とは別物として軽く扱うことのできない社会が確実に到来しつつあった 1冊目の『新幸福論』とは、幸せに生きるためのテーマが全く逆 『新幸福論』:個人 『成熟日本社会への進路』:他者や社会 これからの日

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』33

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 四 国民が変わらなければならないこと ヴィジョンを実現するには戦略が必要 →戦略を実行するには適切な組織と制度が必要 →その組織と制度は、掲げられたヴィジョンを希求する意思と価値観によって支えられていなければならない(でないと、戦略も組織も土台から崩壊する) 日本は世界で最も弱者に厳しい国 「自力では行きていけない人達を国や政府が助けるべきだ」 →「そうは思わない」が38%に達している 共同体のメンバーの間で

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』32

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 三 官僚機構の改革戦略 メディアへの期待 日本の政治を変えるには、官僚機構を本来のポジションに戻し、本来あるべき役割を果たしてもらうようにすることが必要 メディアの援護射撃が不可欠 大きく政治が変わるときには、メディアは重要な立役者 →例:ベルリンの壁の打ちこわし 日本のメディアは、発行部数の多さも、ニュースソースの役割も、他国と比べて圧倒的に大きい →社会的影響力、世論形成力は極めて大きい 日本のマスメディ

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』31

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 三 官僚機構の改革戦略 ②特別会計の解消 官僚組織が好きなことができるのは、ヒトや組織の強さとカネの面での強さが両輪としてうまく回っているから →一方だけにメスをいれられても、もう一方が残っていると復元力が働く →人事権の掌握とともに、特別会計の透明化も必要となる 民主党の失敗 国家予算を一般会計と特別会計予算を合わせた207兆円とした →政権についた途端、旧来の予算編成の仕組みとやり方に乗っかってしまった →こ

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』30

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 三 官僚機構の改革戦略 ①人事権の掌握 まずは人事権の掌握だけを狙う →官僚機構の全面改定を目指したり、様々な法的権限を剥奪しようとしたりしない 政治主導とは、政治家が官僚機構を使いこなすこと 官僚主導の政治になってしまった最大の要因 →官僚が大臣に従わなくなったこと →組織の構成員は、自分のポジションと処遇を決める人に従う →この仕組みをかえることがクリティカルポイントになる →具体的には、官僚の仕事と能力の

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』29

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 三 官僚機構の改革戦略 官僚機構の改革は困難なテーマ →解決策は全くないのかというと、そうではない 官僚機構改革の2つのポイント 官僚機構と対決するには戦略的でなければならない(✕全面対決) 政治=官邸/内閣が官僚の人事権を掌握すること 特別会計を透明化・解消すること 官僚機構の意向と明らかに異なる方向の政策を実現できたのは小泉内閣だけ →上記の2点で有効な手を打ったから(革新派のメンバーを集める/特別会計

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』27

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 二 官僚機構を構成している四つのファクター (3)ブラックボックス化した特別会計による「莫大な資金力」 特別会計:官僚機構がやりたいことをやり、自己増殖を遂げていくための資金源として、複雑かつ緻密に作り上げた会計制度 官僚のサイフ 国会のチェックがほとんど入らない 一般会計ほどには厳しいチェックを受けない 「巨大」「複雑」「自由自在」という特徴をもつ 特別会計の特徴 金額の巨大さ:特別会計は一般会計の4.

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』26

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 二 官僚機構を構築している四つのファクター (2)人事自治権と共同体ルールによる「組織的結束力」 「組織の結束力」は、官僚機構の類い稀なる最大の強み 日本の官僚機構は、軍隊型の強みに加えて、柔軟性ももつ 省益が侵されるのを嫌い、他省庁とは組まない →官僚機構に対する侵害や攻撃には、一気に団結する 全体としては上意下達 →局所局所で官僚一人一人が状況に応じた適切な判断ができる 官僚機構の結束力を実現させているも

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』25

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 二 官僚機構を構築している四つのファクター (1)行政裁量権とデータの独占による「実質的な政策決定権」 補助金や許認可権 →官僚のパワーの最大の根拠の一つ →国会で法律をつくっても、現場の担当行政官がハンコを押さない限りは何も実現しない 日本の行政裁量の範囲は、効率化の範囲を超えている 現場の担当者に大きな裁量の範囲があると、政策は利権のネタになる 利権といっても、カネではなく気分(威張る利権、お追従を言っても

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』24

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 二 官僚機構を構築している四つのファクター 大前提:官僚はベストアンドブライテスト →こういう人たちが作り上げて守ろうとしているのが、官僚機構 頭脳明晰 努力する能力に長ける コミュニケーション力や人間関係構築力も高い (多くの人は)人格も優れている 日本の官僚機構を構築している四つのファクター 行政裁量権とデータの独占による「実質的な政策決定権」 人事自治権と共同体ルールによる「組織的結束力」 ブラ

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』23

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 一 行政主導政治の仕組み (2)三権分立の頂点に立った官僚 日本の官僚と官僚機構が凄いところ 国の政治機構の中で頂点の位置を占めることに成功したこと フェイルセーフの仕掛けを十重二十重に張り巡らせたシステムを築き上げていること 大臣よりも、国会よりも、司法よりも上位に官僚機構を位置づけることに、官僚は成功した 官僚による立法権の乗っ取り →法案を官僚がほぼ独占的に書いた 大臣には従わない →大臣が、行政の方

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』22

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 一 行政主導政治への仕組み (1)官僚の二つの本能 ― 「変化の排除」と「自己増殖の追求」 官僚制度はよくできている →大いに官僚的だからこそ変えなければならない 二つの本能に基づいて常に変化を排除ながら増殖している 歴代の行革は官僚によって骨抜きにされた 例:日本郵政 →郵政民営化も、たった2年後には、官僚OBが着任した 平成の大合併でも公務員の数はほとんど減っていない 私企業の場合は、合併をしたときのス

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』21

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 どのようなしくみに改めるべきか?、がテーマ 行政改革がうまくいかなかった原因 行政機構の部分的な手直ししかできなかった 独特の予算会計制度を改められなかった 政治や政策を抜本的に変えるには、行政のしくみをセットで変えなければならない 新しいしくみの基本理念 「国民生活の安全と保障」の実現 "医・食・住の保障"というヴィジョン ヴィジョンを実現するための、"産業のシフト"、"分配論"重視、"市場のメカニズ

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』20

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 企業の経営戦略の実行プロセス 「ヴィジョン」の設定(ありたい姿の設定) 「全体戦略」の策定(ヴィジョン達成のための統括プラン) 全体戦略を「個別戦略」に展開(具体的なアクションプランに落とす) 個別戦略の実行 「戦略」の特徴にあった「組織体制」や「制度・ルール」についても考えておかなければならない ヴィジョンや戦略のタイプによって、戦略の実行に適合する組織や制度は大きく異なってくる ヴィジョンや戦略を本当