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ラーニング・ジャーナル(リベラル・アーツ編)

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リベラル・アーツに関する学習記録
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2023年3月の記事一覧

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』25

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 二 官僚機構を構築している四つのファクター (1)行政裁量権とデータの独占による「実質的な政策決定権」 補助金や許認可権 →官僚のパワーの最大の根拠の一つ →国会で法律をつくっても、現場の担当行政官がハンコを押さない限りは何も実現しない 日本の行政裁量の範囲は、効率化の範囲を超えている 現場の担当者に大きな裁量の範囲があると、政策は利権のネタになる 利権といっても、カネではなく気分(威張る利権、お追従を言っても

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』24

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 二 官僚機構を構築している四つのファクター 大前提:官僚はベストアンドブライテスト →こういう人たちが作り上げて守ろうとしているのが、官僚機構 頭脳明晰 努力する能力に長ける コミュニケーション力や人間関係構築力も高い (多くの人は)人格も優れている 日本の官僚機構を構築している四つのファクター 行政裁量権とデータの独占による「実質的な政策決定権」 人事自治権と共同体ルールによる「組織的結束力」 ブラ

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』23

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 一 行政主導政治の仕組み (2)三権分立の頂点に立った官僚 日本の官僚と官僚機構が凄いところ 国の政治機構の中で頂点の位置を占めることに成功したこと フェイルセーフの仕掛けを十重二十重に張り巡らせたシステムを築き上げていること 大臣よりも、国会よりも、司法よりも上位に官僚機構を位置づけることに、官僚は成功した 官僚による立法権の乗っ取り →法案を官僚がほぼ独占的に書いた 大臣には従わない →大臣が、行政の方

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』22

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 一 行政主導政治への仕組み (1)官僚の二つの本能 ― 「変化の排除」と「自己増殖の追求」 官僚制度はよくできている →大いに官僚的だからこそ変えなければならない 二つの本能に基づいて常に変化を排除ながら増殖している 歴代の行革は官僚によって骨抜きにされた 例:日本郵政 →郵政民営化も、たった2年後には、官僚OBが着任した 平成の大合併でも公務員の数はほとんど減っていない 私企業の場合は、合併をしたときのス

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』21

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 どのようなしくみに改めるべきか?、がテーマ 行政改革がうまくいかなかった原因 行政機構の部分的な手直ししかできなかった 独特の予算会計制度を改められなかった 政治や政策を抜本的に変えるには、行政のしくみをセットで変えなければならない 新しいしくみの基本理念 「国民生活の安全と保障」の実現 "医・食・住の保障"というヴィジョン ヴィジョンを実現するための、"産業のシフト"、"分配論"重視、"市場のメカニズ

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』20

読んだ本読書マインドマップ読書メモIII 仕組みの改革 企業の経営戦略の実行プロセス 「ヴィジョン」の設定(ありたい姿の設定) 「全体戦略」の策定(ヴィジョン達成のための統括プラン) 全体戦略を「個別戦略」に展開(具体的なアクションプランに落とす) 個別戦略の実行 「戦略」の特徴にあった「組織体制」や「制度・ルール」についても考えておかなければならない ヴィジョンや戦略のタイプによって、戦略の実行に適合する組織や制度は大きく異なってくる ヴィジョンや戦略を本当

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』19

読んだ本読書マインドマップ読書メモII 経済政策の転換 四 この国のかたち:社会保障と市場メカニズムの両立 教育への積極的な投資 GDPに占める教育費の割合 アメリカ:7.4% デンマーク:7.3% OECD平均:5.7% 日本:5.0% 教育に対する投資が不足しているのも、日本経済の低迷の原因であると考えられる 高度知識集約型高付加価値産業を国の主力産業として育成 →国民全体の知的水準を上げ、高い知識水準の人材の層を厚くすることが必須 日本人の知的水準は

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』18

読んだ本読書マインドマップ読書メモII 経済政策の転換 四 この国のかたち:社会保障と市場メカニズムの両立 デンマーク →市場対応力が高い企業経営が可能になっている 働いている人を即座に解雇できる 生活保障が万全な形で整っている 生活手当も生活保証も手厚い 再就職のためのさまざまな職業訓練を無料で受けられる 高福祉だからこその自由経済 私企業に過剰な雇用を強制することは、資本主義のルールから逸脱している 労働者や失業者の生活を守る仕事は、政府の仕事 企業活

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』17

読んだ本読書マインドマップ読書メモII 経済政策の転換 四 この国のかたち:社会保障と市場メカニズムの両立 北欧諸国:世界最高水準の国民負担率(66%~70%) →そうでありながら、高い経済成長を達成 デンマーク →国民の幸福度に関する二つの調査でともに1位になった国 →主観的にも客観的にも、世界一幸福な国 調査①:あなたはどれくらい幸せですか? 調査②:健康、GDP、教育、景観など、社会の豊かさや国民の幸福感に寄与すると考えられる様々な項目のデータを集計したもの(

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』16

読んだ本読書マインドマップ読書メモII 経済政策の転換 四 この国のかたち:社会保障と市場メカニズムの両立 今までの議論 経済政策の軸を成長論から分配論に転換 国民の誰もが安心して生活していけるような仕組みを整える 上記の政策を行うために、 増税を行う 思い切った所得移転政策をとる 医療・介護産業と外貨を稼ぐ産業育成していく 日本はどのような経済構造を作り上げるべきか →社会保障と市場メカニズムの両立 経済活力の確保をするには? →経済効率を上げる →医療

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』15

読んだ本読書マインドマップ読書メモII 経済政策の転換 三 産業構造シフトする二つのテーマ 国際競争力を持つ高付加価値型の輸出産業の育成 →外貨を稼ぐため(内需型産業では外貨は稼げない) →石油代と食料代で27兆円の外貨が必要 内需型産業の振興・拡大ばかり叫ぶのには問題がある 内需型の振興・拡大が声高に言われる理由 輸出産業よりも需要が安定しているため 雇用の創出効果 外貨を稼ぐことができそうな産業とは? ハイテク形環境関連 太陽光発電 原子力発電 水関

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』14

読んだ本読書マインドマップ読書メモII 経済政策の転換 三 産業構造をシフトする2つのテーマ 新しいヴィジョンを実現していくための経済基盤を構築するための主たるテーマ →産業構造のシフト 「産業構造のシフト」には二つの大きなテーマがある 医療・介護サービスを担う産業内需型主力産業として拡張すること 国際競争力のある高付加価値型の輸出産業を育成すること 医療・介護サービスの拡充 社会保障機能については、日本は先進国中かなり低い水準にとどまっている 医療介護につい

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』13

読んだ本読書マインドマップ読書メモII 経済政策の転換 二 成長論から分配論へ 給付についての重要なポイント →「直接給付」であるか「間接給付」であるか →どちらを選ぶかで、所得移転の意味合いも、効果も異なってしまう 直接給付:政府が給付対象者に直接支給 間接給付:給付のプロセスに、事業者や業界団体が介在する形態で行われる給付 →就労者に渡る金額がまちまち、事業所の赤字補填に使われてしまうことも 国民に対する社会保障を目的とした給付は、直接給付でなければならない →

【読書メモ】波頭亮『成熟日本への進路』12

読んだ本読書マインドマップ読書メモII 経済政策の転換 二 成長論から分配論へ 公共事業から規制緩和へ転換 規制緩和だけで経済最適化が可能なわけではない →強者と弱者の格差が拡大し、固定化する 人口成長が止まった社会では、「成長論」だけで経済政策を続けていくことは妥当ではない 国民生活の安定の点からも 経済効率的にも 成熟のフェーズでは、「所得の分配」を決める「分配論」が経済政策の主役になる 所得の再配分:所得移転 所得の再分配を行うには、原資の徴収を拡大し