「目覚めの時」
ああ、懐かしい香り。
君と同じ香り。
優しい香り。
もう…目覚めてもいいの?
ああ、あの時と同じだ。
サヤサヤと揺れる。
草木が揺れる。
優しい、優しい風に。
サヤサヤと揺れる。
揺れる葉音。
あの時と同じだ。
ただ、違うのは。
目を開けた時に見る姿。
君ではなく、君に似た人。
「待っていたよ。主殿。君を守ろう、どんな最悪からも。それが君に似た人の願いだから。」
主となった君に似た人は優しく微笑んで手を私の額に静かに翳(かざ)し、契約の術を施した。
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"サヤサヤと揺れる草木の葉音。優しい、優しい風。守り抜こう。君に似た人。"
「私は眠る」というのを上げていたのですが、それの続きのようなものです。
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