マガジンのカバー画像

連作短編 | 揺られて

16
『連作短編|揺られて』前編7話・後編9話 🍀創作大賞2024 🍀恋愛小説部門 参加作品 各話さくっと読める短さの恋愛小説です。 読んでいただけたら嬉しいです😊
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

連作短編|揺られて(前編)①|貴也

「いってらっしゃい」 朝の見送りが習慣になっている妻は、いつもと変わらず美しい。頬がほんの…

須木本りく
1か月前
51

連作短編|揺られて(後編 )❾|未来へ (最終話)

後編❽はこちら 矢田麻里になる 今日は大安だから、式を挙げる組数が多い。控室フロアにはウ…

須木本りく
4週間前
21

連作短編|揺られて(後編)❽|麻里

後編❼はこちら まさか支店長宅にまで押し入ってくるなんて、お見合いはぶち壊しにされたと諦…

須木本りく
4週間前
27

連作短編|揺られて(後編)❼|吾輩はみた(特別編2)

後編❻はこちら 朝からパパさんもママさんも忙しそうだ。 いつも休みの日のパパさんはソファ…

須木本りく
4週間前
26

連作短編|揺られて(後編)❻|桜子

後編❺はこちら 就職率97%の大学だから当たり前に就職できると思っていたのに、一般企業へ就…

須木本りく
1か月前
26

連作短編|揺られて(後編)❺|江上

後編❹はこちら 大学生のときに、ルナちゃんと出逢った。 女性と知り合う機会が欲しくてマッ…

須木本りく
1か月前
22

連作短編|揺られて(後編)❹|彩乃

後編❸はこちら 都内の平日ランチタイムはどの店も混雑している。このオムライス専門店も予約なしでは入れない。 ちょっとフェミニン寄りのオフィスカジュアル、憧れだったフェラガモのハイヒール、勝ち組ともいえる有名企業の同僚たちとのランチタイム。理想としていた人生は始まっていた。 ◈ 大学三年生の終わり頃から就職活動を始めた。大学の就活支援センターでは、この成績では絶対に無理だと言われたけれど、とにかく有名企業にばかりエントリーシートを送った。 送っても、送っても、不合格に

連作短編|揺られて(後編)❸|矢田

後編❷はこちら 入社試験は簡単だったから成績は良かったはずだ。今は支店に在籍だけれど、い…

須木本りく
1か月前
24

連作短編|揺られて(後編)❷|アキラ

後編❶はこちら 知られてしまった。 麻里だけには知られずに、いつか必ず就職してプロポーズ…

須木本りく
1か月前
27

連作短編|揺られて(後編)❶|麻里

前編⑦はこちら ある日、応接室にくるよう支店長に呼び出された。職場の全員が耳をそばだてて…

須木本りく
1か月前
26

連作短編|揺られて(前編)⑦|吾輩はみた(特別編1)

前編⑥はこちら この家にきて三年になるボクは、外の世界のことはあまり覚えてない。 たまに…

須木本りく
1か月前
25

連作短編|揺られて(前編)⑥|明日へ

前編⑤はこちら 月の半ばは融資の取り引きも比較的落ち着いている。ここ数日は外出予定もほと…

須木本りく
1か月前
22

連作短編|揺られて(前編)⑤|桜子

前編④はこちら 急に強く腕を掴まれ一緒に死のうと言われた時は、あまりの驚きと腕を振りほど…

須木本りく
1か月前
26

連作短編|揺られて(前編)④|アキラ

前編③はこちら 「逢いたいわ」 カナコさんからのLINE電話を切ると、慌てて身支度をし家をでた。少し早歩きで駅まで向かい電車に乗り込んだ。 今日は火曜日だから、旦那にはバレずらいのだろう。人妻の秘め事は平日の昼間に限る。 平日の下り電車の乗客は少なく、窓ガラスからは暖かな陽が差し込んでいる。眩しくてスマートフォンの画面が見えずらいので角度を変えた。 ─ 803号室にいます ◈ マッチングアプリでアクセスしてくる人妻は多いが、たいがいは普通のサラリーマンの妻だ。目立