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10万個の子宮

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平凡社版の『10万個の子宮 あの痙攣は子宮頸がんワクチンの副反応なのか』の全文に加え、本書ができるまでのいきさつをつづった「10万個の子宮ができるまで」、「ジョン・マドックス賞ス… もっと読む
子宮頸がんワクチン問題について科学と社会学の視点から包括的に書いた本はこの1冊だけ、類書はありませ… もっと詳しく
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#ジョンマドックス賞

はじめに

「僕たち日本人の医者だけ、あとどのくらい子宮を掘り続ければいいんですか?」 筆者の母校、北海道大学での講演会で、最前列の隅にいた若い産婦人科医がした質問だ。 子宮を掘る 、つまり、子宮を摘出するということ。 日本では毎年、子宮頸がんによって3000の命と1万の子宮が失われている。世界では毎年、53万人が新規に発症し、27万人が命を落とすと言われる。 けれども今は子宮頸がんを予防するワクチンがあり、世界130カ国以上で使われている。近い将来、ワクチン接種率を上げた国では

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ジョン・マドックス賞受賞スピーチ全文「10万個の子宮」

Riko Muranaka The John Maddox Prize Speech 2017.11.30, London 世界では毎年、53万人が子宮頸がんと診断され、27万の命が失われている。 現在では子宮頸がんを防ぐワクチンがあり、世界130カ国以上で使われているというのに。   しかし、近い将来、ワクチン接種率の高い国では、子宮頸がんは歴史の本でしか見つからない過去の病気となるだろう。 けれども、その道のりは決して簡単ではない。 2013年4月、子宮頸がんワクチ