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Future Scientists Summer Camp体験記

この度、デンマークで開催された
『Future Scientists Summer Camp (FSSC) 』
に参加する機会をいただきました。世界的な製薬会社であるノボノルディスク社とLIFE財団によって、渡航費・滞在費など全額の奨学金を支援していただき、世界12カ国の100人が招待されました。日本チームの一人として学んだことをここに残したいと思います。


文化の境界を越える

出逢い

知り方からして、このキャンプは奇跡だった。
もともとサスティナビリティや社会福祉の面で北欧に興味を持っていた私は、Instagramをきっかけにたまたまデンマーク大使館のお祭りに訪れた。
入った瞬間、日本じゃなくなった。周りを見回すとすることがなさそうな20歳くらいの外国人がいて、かっこよかったから話しかけてみた。

私にとって、はじめてのナンパ(?)は、デンマークの教育の話で盛り上がって、1時間くらい話続けていた。彼はAsian Business を学びに来日している大学生で、バイトスタッフだったという。
デンマークのヴィーガンアイスを食べていたとき、なぜだか私が科学に興味を持っている話になり、その時にFSSCを紹介してくれた。

帰宅して応募ページを見たものの、年齢制限と締め切りまで残り2日だったことがハードル上げてきた。
それでも、見れば見るほど憧れは強まって妄想だけは膨らんでいった。仮に落ちたとしても、動画を作る過程が、自分を成長させると伝えて、最終日が期末テスト当日だったものの、動画作りに集中した。たくさんの人に原稿を読んでもらって、登下校中はずっとぶつぶつと復習して、何本も取り直したあげく、ようやく動画完成した。

合格のメールが来てからも、いつ年齢制限で引っかかるかドキドキしながらそれでも絶対にいけると言う自信だけは忘れていなかった。

そして、その日が来た。

違う世界に生きてきた

ルームメイトがわかって自己紹介。”I am Rico, from Japan”
するとメキシコから来た女の子が
「Ricoはスペイン語で美味しいっていう意味だよ!」
反対側からもトルコの子が「こっちでは漁師さんだよ!」
この会話は代表の方にも大きな感銘を与えたらしく、クロージングセッションの時にはみんなの前で私の名前が呼ばれ、紹介してくださった。
言語が違う、顔が違う、バックグラウンドが違う、そのたくさんの違いがこんなに素敵な出会いを産むとは思っていなかった。

誰でも自信を持って良い。

とにかくみんな褒めてくれる。朝起きれば「今日も可愛いよ」言葉が続かなくなった時は「あなたの気持ちは伝わっているよ」
少し失敗して、自信をなくしかけたときにそう伝えられると心が救われる。相手の優しさと愛を感じると自分も返したくなっていく。次の瞬間から、私はものすごく愛を振り撒く人間になっていた。

褒め合いは日本の女子にありがちな計算高いものではなく、心から相手をリスペクトしていて、そのことをどうにか伝えたいという気持ちが読み取れた。優しさを届け合おうとする暖かい場所が本当に大好きで、私は嘘を一回もつかなかったと自信を持って言える。

日本人であって良かった。

細かいところ一つひとつへの配慮や物を大切にする姿勢は、日本に生まれ育ったからこそ身につけられた大事な宝物だと気がついた。常にオープンであり続けようとする欧米の明るさが、ときには受け止めきれないという人もいる。そんなときに私は誰よりもたくさん、気持ちが沈んでいる人に声をかけられたと思う。

最初の2日間、とっさの英語が出てこないことが多く、考えているより強い言い方をしてしまって後悔したことがあった。真夜中のガールズトークについていけずに少しだけ羨ましく思って、「静かにして欲しい」と伝えた。部屋がしんとなって、自分の中ではすごく気まずい空気になって余計に悲しくなった。それでも朝になって、むしろ向こうから謝ってくれて、「はっきりと伝えてもらえて良かった」と話してくれたときには、自分を囲んでいた氷河が完全に融けて、自然にハグできるようになった。

そんな経験があったからか、同じ空気感の中で「みんながその時間があって良かった」と思って欲しいと強く願うようになり、拙い英語でも感情の交換のような深いコミュニケーションを恐れなくなった。「英語ができる」には
・日常会話ができる
・授業や会議についていける
・気持ちを通じ合える
といった色々な形がある。1週間の中で、私は「折り紙をくれた日本人」以上になれただろうか。

ルームメイト🇩🇰に鶴を教える

海外にいて、日本人と過ごしていなくても食事の時は自然と「いただきます」が出てくる。挨拶の時は、お辞儀をする。意識をしなくても、その習慣が身についていたことがとても嬉しかったし、本当に誇りに思いたいと思う。日本語の素敵な言葉を、友達が覚えて使ってくれたことはすごく幸せで、意味の深さを改めて感じさせてくれた。

学ぶために、学ばなければ

言い訳は通じない。

対象年齢が15歳〜17歳のキャンプで、私は唯一の14歳つまり最年少だった。海外経験もなく、ダメもとで応募しているから、全てのアクティビティにハンデがあるのはわかっていた。

結果的には、何とかなる部分も、何ともならない部分もあった
人並み以上に仲良くなれたこと。英語の説明でも、実験の手順には迷いがなかったこと。
けれど、科学系の単語がほとんどわからなくて混乱したこと。話されていることを理解しているうちに、考える間もなく次のテーマに移ってしまうこと。
その場からできるだけ多くのことを吸収したいのに、消化するのに時間がかかって学ぶまでに辿り着けないことが多く、とても悔しかった。あの時、本当はこうしたかった。こう言いたかった。そんな後悔が帰りのフライトで次々と浮かんできては、暗い気持ちにさせた。

リセットできたのは、日本チームのみんながいたからだ。
「楽しかった。悔しい」だけで終わるために私たちはデンマークに行ったのではない、すでに未来を見据えて、「何度でもスタート地点に立って良いんだ」と気付かされた。留学では日本人ゼロのところにいった方が英語力が伸びて良いのだと言われてきた。けれど、日本語だからこそ話せることも多かったし、何より彼らからものすごくたくさんのことを学んだ。バックグラウンドや国籍は違っても、いつも学ぼうとしているところ、非日常な環境を存分に楽しめるところは同じだった。

世界はどんどん進んでいる。

参加者の出身国は、ケニアやコロンビアといった超成長中の国から、スイスやアメリカといった先進国まで本当にさまざまだった。特にインド人の意欲には驚かされ、彼らと戦っていかなければならないことが怖いとも思った。日本に生きているだけでは、こんなスピード感を知ることはできなかったと思う。その国に持っていたイメージが当たっている部分もあれば、新たな発見もそれ以上に探し当てて、Face to faceで会うことが本当に価値のある経験だとわかった。

🇮🇳🇰🇪🇪🇸🇨🇭🇲🇽🇨🇦🇩🇰🇨🇴🇯🇵🇹🇷🇺🇸

どこの人も信じられないくらい素晴らしい質問をして、反論が思いつかないような意見を言う。一人にその理由を聞いたとき「自分はまだ子どもだから、いつも好奇心を持っていられる」と言われたのはとても印象的だった。大人でいようとする必要はないのかもしれない。じっくりと考えようとして言葉に詰まるより、直感を駆使して考えを共有し合った方が、たどり着く過程も豊かなものになりそうだ。そう思える仲間に出会えて本当によかった。

ありがとうの先へ

私が変わっていく。

喜怒哀楽、全部の感情が交互に現れて、生きることを最高に楽しんでいると思えた1週間だった。世界1500人、日本310人の応募者のためにも、Future Scientistとして、今まで私を育ててくれた社会への恩返しをしなければならない。
キャンプでは未来に語ることも多かった。
コンピューターサイエンティストとダンサーを両立したい、スペースエンジニアになりたいと夢がしっかりと定まって目標に向かって進んでいる仲間もいた。けれど、私と同じように夢がどんどん広がって変わっていく仲間も多かった。私は今はまだ、答えは見つけられない。ゲストたちもずっと同じ仕事をしている方もいれば、仕事を何十個も経験してきた方もいた。生き方は人それぞれで良いと言いつつ、それで人生を楽しめる世界があることが大きな希望になった。

もっと貪欲に学ぶ。時間と機会、人との出会いを何よりも大切にする。

FSSCを通して私が心に決めたことだ。
日本で今学べることのありがたさ、未来を描けることの幸せさに気が付かなければならない。理系?文系?そんなのはわからないけれど、私は科学者として生きたい。

Good healthのセッション

伝えきれない感謝を。

最後に、この素晴らしい機会に関わってくれた全ての人に感謝を伝えたい。

開催してくださったNovo nordisk社/LIFE財団,
FSSCを教えてくれたAston,(デンマーク大使館のお祭りでバイトをしていた留学生に話しかけたことがきっかけ!)
アプリケーションの添削を手伝ってくれたHakkei,
受験生の夏に快く見送ってくれた両親,
超ロングフライトをガイドしてくださったKoさん,
カウンセラー/ゲストスピーカー/ドライバー…
そして、FSSC参加者のみんな!

大好きです。
本当にありがとうございました!!

英語版(もう少し詳細に日記風)はこちら↓






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