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食への夢、現実、今から。

ただ単純に食べることが好きだ。
食べることで誰かが幸せになる瞬間を想像することも好きだ。
けれど、きっとそれだけではない。
これが最近の私の発見。

私はありがたいことに家族で食卓を囲む機会が人より恵まれていたと思う。お袋の味というものが思い出せるわけではないけれど、朝夕の食の場に会話とアイコンタクトを込めたコミュニケーションがあった。どんなに意見を対立させたり、怒られたとしても、食事の場で涙したことなど一度もない。

ただしこれは世間一般で見ると思うようにうまく行っていない。
私たち10代を取り巻く食の環境は他のどの世代よりも大きな変化を遂げているのだろう。それはファストフードやコンビニの売上高はもちろん、グルメの価値を見た目重視に置き換えてきたトレンドの功罪からも読み取れる。
決して一概に悪いこととは言えないかもしれない。より多くの人々が手軽にお腹を満たせるようになったし、女性たちは面倒くさい家事からも解放されつつある。それでも、私は今の状況が正しい世界だとは信じられない。

なぜ、お腹を空かせる地球の反対側で、大量の食べ物が捨てられているのか
なぜ、農民が不作に苦しんで飢えているのに、牛がメタンを吐き出しながらモノのように育てられるのか
なぜ、私が食べることで誰かが苦しんでいるかもしれないと想像できてしまうのか

今の状況を流しそうめんに例えてみると、日本とかアメリカとかが大きなスプーンで先に余剰が出るくらい確保しようとしている。
でも理想は、各国が少しずつ、でも十分な量を必要なだけ得ることができるお箸を配ってその場を楽しみながら、分け合えること。
難しそうにいうと私は食の産業化に対する問題意識がある。今の食システムの問題とは先進国・新興国と発展途上国に明らかな流通の格差がある点。

その原因は、私たち消費者でも大企業でも政府でもない。
ただ、極端な資本主義がちょっと怪しいかもしれない。そもそも何を買うかなんてほとんどの人には選択肢がない。もし私が毎日放牧で育った牛さんとオーガニック食材だけで生きてみたらすぐ破産してしまうだろう。だから私はちょっとずつでもみんなに優しい資本主義にアップデートしていきたい。そしてそのために、ビジネスが生まれるから〜とかではなくて、それぞれらしい食の存在についてみんなが興味を取り戻してもらうことが一歩なのではないかなと思っている。


世界の覇権を握っているわけでもない私に、何ができるのか模索しながら、学んで少しずつ動いてみています。
なのでここでは今私が考えていることの繋がりをご紹介します。

私がこうやって食に興味を持ったのは、地域の子ども食堂にお世話になってきたからです。子ども食堂を一言で表すと理想的な小さな食システム
お金を目的とせず、廃棄予定のものが近所の方や農家さんから自然と集まり、みんなで美味しくいただく。貧困を救うというイメージが強いかもしれないけど、食べながら、相談したり、語り合ったり、新しいコミュニケーションの場、本当に居場所が生まれる。肩書きなんかなしに、目の間にいる出逢ったばかりの人と一緒に食と向き合う。
そんな温かいところに惹かれて、関わっていくうちに、現実世界の違和感にも気がつくようになりました。誰もが小さな頃は当たり前に持っていた食への興味を再発掘、もっとクリアにしていくのが私なりの還元です。
だから今、子ども食堂のそんなあり方を正しく知ってもらいながら、食システムを考え直していく、ということを目標にしたイベントを企画しています
今言えることはとりあえず、行ってみて下さいだけ。エッセンスは伝えたつもりなので後は自分なりに気がついてもらった方が早いと思います。

あとは、課題解決につながる新しいテクノロジーをもっと身近に、価格などのハードルを下げようとしています。代替肉を販売しているネクストミーツさんとのコラボイベントや消費者とつなぐプラットフォームを開発しています。

表紙に入れさせてもらった写真は出張料理人・ソウダルアさんのお料理を撮影させていただいたときのものです。机の上を覆った和紙に直接ソースを散りばめられた瞬間は私の中の食の制限をいとも簡単に壊して下さいました。何よりも食を愉しんでほしいと思っている私が、普遍的な表現しか、自分の常識の範疇でしか未来を想像できていなかったことに、気がつかせてくださり本当にありがとうございます。
一緒に見ていた10歳の女の子が「お絵描きみたいなんだよ」と言語化していたことがとても象徴的でした。食材を創る人、料理を創る人、美味しくいただく人三者の顔が今までで一番はっきりと、生き生きと視えた時間だったと思っています。

ここまで考えてみたこととか、やりたいこととかをたくさん言葉にしてみました。けれど、私はその現状を目の当たりにしたことも、自分が食べれなくて困った経験も、何もない。あるのはただ、本やインターネットから得た、誰かの目を通して知った世界への怒りと食の幸せな瞬間だけです。

だから、世界の現場をこの目で見たい。学びたい。それを自分だけじゃない、誰かの幸せを創り出せる人になるために活かしたい。まずは日本のさまざまな食の形を学びに、たくさんの人に会いに行きます。面白い子だなと思ってくれた方、助けていただけると嬉しいです。


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