見出し画像

こどもの声を届けること

先週、杉並区長に包括的性教育に関する政策提言を行いました。今回はその時に意見交換した内容と、私自身が考え学んだことを記録したいと思います。
元々予定していた提言の内容はこちらになります。

お話ししたこと

私が提案した内容を中心に、質問に答えながら意見をいただくという形で進められました。
現在の義務教育では包括的性教育という名前は出てこないものの、近しいビジョンを持つ内容は道徳・理科・保健・公民などにところどころ登場します。しかし、これでは統一感を持って学ぶことが難しく、日常生活に役立つまでとのギャップが大きくなってしまっています。
区長自身が、性教育の大切さを大人になってから実感したこと。
ヨーロッパにいたとき、息子のサッカーを観に行くと周りの母親たちの中で、日本では教えてくれなかった避妊の選択肢について自然に話し合っていたこと。
実体験を交えて、行政としても危機感を持っているとのコメントをいただきました。

教育を変えていくこと

教育現場では、その場で教える先生に任されている部分がとても大きいのだとわかりました。例えば、公民の授業で平等権について学ぶものの、実際の状況とのギャップや世界との比較まで深めて考える機会を作ることは必須ではありません。それぞれの先生の裁量が大きいならば、新たにカリキュラムを作ることはすぐに解決につながるわけではなく、むしろ混乱を招きかねないです。教育は人から人へ伝えるものであるからこそ、教える人がどんな学びをしてきたかによって、その影響が生徒にも伝わっていくのではないかと思いました。つまり、暗記中心学習の中で学んできた人が、突然に探求型学習へ切り替えていくのはとても難しいです。だからこそ、教育に関わる方には、自分が教えていることがゆくゆくは生徒の考え方の基準となっていくということを理解した上で、責任を持って考えていってほしいと思います。

声を届ける機会について

まず、こどもの声を届ける機会があるということがわかり、とても嬉しかったです。区長はもちろん、教育委員会の保育園・幼稚園・小学校・中学校それぞれの担当の方総勢7人に集まっていただき、真剣に話を聞いてくださいました。
しかし、それまでのハードルはとても高かったです。区長への意見コーナーに投稿をしてから、3ヶ月後に担当者からの返信、その3ヶ月後に実際の場が設けられました。日々の生活がある中で、半年間もあったらどんどん考えること、興味の対象もどんどん変わっていきます。私たちが声をあげるのは『いま』困っている人、悲しんでいる人がいるから。目の前で困ったことがあった時にすぐに声を聞いて改善に繋げられるような仕組みがあれば良いと思います。

私の希望

学校は完全な場所でなくて良いと思います。安全が確保され、決められたプログラムを進んでいくだけならば、自分で考えることができなくなってしまいます。それよりも、80%くらいの完成度で、さらに高みを目指すために生徒たち自身で考え、形にしてみる機会を当たり前に取り入れてほしいです。受験指導からモンスターペアレントの対応まで、先生の負担が大きすぎる問題に対して、許容範囲を広げることで解決につながるのではないでしょうか。学校はの役割は生徒が自分で選べるような選択肢を紹介することだと思います。包括的性教育に関しては、困った時に相談できる場所や正しい知識を取りに行ける環境を学校に作るのではなく、外部の力を伝えてもらえたら、生徒にとってもありがたいです。もちろん、民間の団体や取り組みを学校が主体となって推薦することは難しいですが、だからと言って厚労省や保健所だけを紹介されても受け入れにくいと感じます。そこの壁を乗り越えられたら、今よりもスムーズに、苦しい思いをする人を減らせるのではないでしょうか。

今後変わりそうなこと

私がお願いしたかったことの一つが
『小学校低学年の体育や水泳の着替え』
です。現状では多くの学校で、男女混合で着替えなくてはならず、気にしている子もおり、自分を大切にするという観点からあまり良くないと考えていました。
実際にはカーテンの設置など、費用の問題で時間がかかるかもしれないですが、変更に向けて動き出してくれるとのお返事をいただきました。
杉並区は今、こどもの権利条約(仮)というものを新たに制定することを目指しており、その内容の一部に包括的性教育で伝えたい『自分も相手もありのままに大切にする』ことを盛り込んでくださりそうです。

この経験をどう活かしたいか

新しい提案を伝えるために、具体例を出すだけでなく、自分の言葉で説明する経験になりました。今私が提案しているということは、『今までにもあったかもしれないが、変わらなかった』ということでもあるので、なぜそのような状況で続いてきたのか相手の立場になって考えることができました。自分自身とそのアイデアを提案することは、取り入れてもらおうとすることであり、『今の状況をわざわざ変える』決断をしてもらうことです。だからこそ、自分だけが困っているから変えたいではなく、解決した先を見据えることが大切だと思いました。さらに問題が見つかった時にすぐに対応できるような配慮、現状に慣れている人が馴染めるような配慮などです。この考え方は大きな社会問題だけでなく日常的な課題に取り組む際にも大切にしたいことだと思います。どうしてもこれに変えなければならないではなく、新しい意見を受け入れてその場その場で試行錯誤できたら良いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?