転職ほやほや夫婦がマンションを買った話⑱

前稿では、すんでの営業さんの尽力のおかげで、ついに購入するマンションを二択まで絞れたところまで書きました。

あれよあれよという間に内見の日が来てしまいました。
まずは一度買付を取り下げた物件です。
相変わらず高級ホテルのように豪華なエントランスを抜けて、エレベーターで高層階まで向かいます。
廊下を歩きながらやっぱり怖いなぁ、と思いましたが、先週よりは怖くありませんでした。
人間慣れるものだなと思いました。
部屋に入り、もう一度、一通り内部を確認します。
主寝室はもう一度寸法を測りながら、マスキングテープで家具を配置するイメージをつけていきます。
妻が納得いったところでリビングに出ると、綺麗に晴れていてかなり遠くまで見はるかすことができました。
「山が見えるのがいいね」
と妻が言いました。
当時の賃貸からも山が見えていて、妻は気に入っているようだったので、この部屋からも同じように山が見えるのは好材料だと感じました。

次は新しく候補に入れた物件です。
マンション周辺の印象として「スーパーとドラッグストア以外、思ったより何も無いな…」という感じでした。
マンションの周辺一帯は再開発地区のため、現状空き地と田畑ばかりなのです。
マンションに着くと、エントランス前に売主仲介さんがいらっしゃいました。
一緒に中に入ります。
アプローチは植栽も豊かで気持ちが良いですが、中規模物件ということもあってか、エントランスはかなり控えめに感じられてしまいました。
(比較対象が500万円以上価格差のあるマンションなので致し方ないのですが…)
売り出しに出ているのは最上階の部屋です。
エレベーターを降りると、少し遠くに駅周辺の市街地、さらに奥には都会の街並みがはっきりと見えるくらいに眺望は抜けていました。
この点は悪くないなと感じました。

部屋に着き、売主仲介さんがインターホンを鳴らします。
売主さんはお子さんがふたりいらっしゃる若いご夫婦でした。
戸建て購入のために引っ越されるということで、売却理由にも納得感がありました。
リビングにお邪魔すると、一度買付を取り下げた物件は80平米弱あったのに対し、こちらは70平米ちょっとということもあり、少し狭さは感じてしまいました。
が、角部屋ということで窓も多く、周囲には高い建物もなく、かつ今後は戸建て街として開発されていくということで、あらゆるところから永く採光が望め、眺望を楽しめるのは良い点だと感じました。

さらに色々と見せていただきました。
キッチン天板の仕様や広さ、ディスポーザーが無いこと、洗面所の広さや収納の数など、やはりさっき見てきたばかりの買付を一度取り下げた物件との、価格差なりの仕様差は随所に感じてしまいました。
もちろん当時の賃貸と比較すれば大幅にレベルアップしていますから、もはや比較対象が悪いとしかいいようがありません。
見る目が贅沢になってしまったなぁと思いました。
ただ、売主仲介さんからは駐車場に空きがある旨を説明いただき、
「ここを買ってシビックあたりを乗り回す生活もありなのかなぁ」
ともうっすら頭に浮かびました。

中を一通り見せていただき、売主さんに挨拶をして部屋を出ます。
エントランスに向かいながら、このお部屋の5年後の予想価格を肌感で弾いてみました。
そして、元々内見前につけていた予想価格とそんなに変わらないだろうなと思いました。
確かに良い物件だけれど、やはり今の売値でも高い。
5年後に残債割れしないことを考えると、今より7%くらいは安く買わないと厳しそうだ。
そう思いました。
が、指値が通ってもせいぜい3%くらいでしょう。

一方、買付を一度取り下げた物件は後発でより良いものは建たない見込みですし、どう予想価格を弾いても、リーマンショック級の不況が来ない限り残債割れはなさそうです。
そう考えると5年後のトータル支払い額だけでみれば、買付を一度取り下げた物件を買わせていただく選択肢しかありえません。
もし妻がこちらを希望したとして、数百万ほどの残債割れ分を妻の満足度のために支払って本当にいいのか?を自問しながら、売主仲介さんから共用施設の案内を受け、挨拶をしてマンションを出ました。

マンションから最寄り駅に向かう道中、振り返っても内見したマンションが見えなくなったところで、
「どっちがいい?」
と妻に問いかけました。
うん、やっぱり朝見たところだね
「家具も入りそうだし、山も見えたのがよかったね」
妻がそう答え、理由はともかくとして私は安堵しました。
やっとマンションが買える、しかもお互い納得できたところ、という達成感でいっぱいでした。
こうして私たち夫婦は、すんで史上初めて「買付を一度取り下げたマンションを買った客」になりました。
今では妻もすっかり、購入したマンションの住み心地に満足しているようです。
ドタバタにお付き合いいただいたすんでの皆さん、快く買付証明の再提出を受け入れてくださった売主仲介の営業さんと売主さん、本当にありがとうございました。
この場を借りてお礼申し上げます。
(いったんおわり)

実はこの後、住宅ローンを組む段階でも色々あったのですが、それについては別のところでお話出来ればと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?