転職ほやほや夫婦がマンションを買った話⑮

前稿では、マンションに少しづつ興味が出てきて、購入にも前向きになりつつあった妻の鶴の一声で、埼玉の物件から選ぶことが決まったところまで書きました。

同じ日に2件も同じエリアの物件に内見を入れました。
もうこのうちの、どちらか気に入った方に決めよう、と話し合った上で当日を迎えました。
ほんのり曇った日でした。
まずは築年数が少し古い方から内見です。
外壁のパステルカラーから始まって、共用部の床タイルや壁の柄など、やや時代を感じさせるところもありますが、極端な古臭さは感じられません。
以前内見したところと同様、逆梁アウトフレームなのもあってか、共用廊下の手すりも腰くらいの高さまでコンクリートがきていて、高層階であるにもかかわらずあまり怖くありません。
部屋に入ると、こちらもやはり時代は感じさせますが、柱がないのでとにかく広く感じます。
また、南向きなので曇っていても日当たりはバッチリです。
リビングイン部屋は和室になっていて、個人的にはそこも好感できました。
キッチン、トイレはやはりひと昔前、という雰囲気がありますので、この部屋にするならこのあたりはリフォームかな、等と思いながら営業さんにリフォームにかかるお金を質問したりしながら、内見を終えました。

個人的に少し気になったのは、共用部ですれ違った人たちに、年配者が多かったことです。
住むなら、やはり同年代の人が多い方が過ごしやすそうだなと思いました。
加えて、子育てをしないなら引越しも容易、かつ安い時期に買っていて、もう残債も半分くらいにはなっている、と考えると、売る時にあまり欲張らずに売ってしまい、実際の価値と比較して成約価格が低くなっていき、資産価値が落ちやすい可能性もあるのかな?と思いました。

続いて新しい方の内見です。
まず、エントランスからして2階の高さまでぶち抜いていて、開放感があります。
入るとコンシェルジュカウンターがあり、いささか申し訳なさすらあります。
また、共用部はやはりこちらの方が新しいこともあり、明らかにモダン、今風です。
ゴミ置き場もきれいですし、共用設備も最低限ながら必要十分と言った感じです。
営業さんが気を利かせてくださり、向きが違う低層階の部屋の鍵も持ってきてくださったので、まずはそちらの部屋からです。
部屋の中もやはり新しいだけあって綺麗ですし、今風です。
ディスポーザーもついています。
トイレを見ると、当たり前のようにタンクレスですし、個室の中に手洗い場まであって至れり尽くせりです。
ただ、こちらは南向きとはいえ低層階ということもあり、先ほど感じたような日当たりの良さは感じられませんでした。

続いて高層階の部屋の内見です。
向きからして少し暗いかな?と予想していましたが、意外なことに先ほどの低層階よりも明るいです。
バルコニーからの眺望も、永久眺望は保証されませんが、今のところ抜け感もあります。
採光を遮るくらいの大きな建物が建ちそうな感じもありません。
二人で一通り見て、私は「もうここじゃないか?」と感じました。
一方、妻はまだ決め切るには少し自信がないらしく、何度も何度も部屋中のあちらこちらを見て回っていましたが、最終的には納得したようです。
「ここでいい?」
私がそう質問すると、ゆっくり頷きました。
「じゃあ、買付証明を書こうと思います」
私は営業さんにそう伝えました。
ついにマンションを買える!
このときはそう思っていた、のでした…
(つづく)


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