転職ほやほや夫婦がマンションを買った話⑯

前稿では、ついに内見した部屋の買付証明を書くことに決めた話について書きました。

内見したマンションを出ると、私たち夫婦とすんでの営業さんで近所のカフェに入りました。
適当に飲み物を注文すると、席に座ります。
買付証明そのものはそこまで形式張った書類ではありません。
記入事項はどこの仲介業者が扱っているどこのマンションを、いくらいくらの価格で買いたい、という旨と名前、住所、印鑑くらいのものです。
営業さんに書き方を教わりながら緊張しつつも記入すると、その写真を撮って売主仲介さんに連絡してくださいました。
ついにマンションを買えるのか、と思うとほっとしました。

住んでいた賃貸の部屋に戻る道中、近所のサイゼリヤで順番待ちをしていると、営業さんからの電話が鳴りました。
結局その日に他に買付を出した人はいなかったので、そのまま購入手続きに進めるが、売主さんが急いでいるので、来週の土曜日には契約してほしいとのことでした。
また安心するとともに、かなり急なスケジューリングでちょっと心がざわついてしまいました。
心の奥底で「本当にあそこを買っても良いんだよね…?」という不安が湧いてきましたが、もう一度冷静に考え直し、今の出物であそこ以上の物件はない、と確信できました。

一方の妻はというと、不安ばかりが強まっていきます。
「本当にあそこで良かったのかな?」
「ローン、ちゃんと返せるかな?」
などなど、色々気になってしまうようです。
それらの質問を一通り打ち返すと、賃貸に戻りました。
いつも通り鍵を開けて部屋に荷物を置き、洗面所に向かいました。
手を洗っていると、妻が不安そうな顔で私のところにやってきました。
「どうしたの?」
「やっぱりあのマンション、私の部屋は今より狭いと思う」
「でも柱が食ってるとはいえ、今の部屋より畳数は多いよ」
「畳数は多いかもしれないけど、幅が狭いよ」
「家具が入らないんじゃないかな…」

妻が心配そうにそう言うので、現居の部屋の幅を測ってみました。
さらに購入しようとしている物件の間取り図から、妻の部屋の幅を算出(※)します。
値を比較したところ、確かに200mmほど狭くはなってしまいます。
(※お風呂のサイズが規格で決まっているので、これを使うと正確な図面がなくても、ざっくりした部屋の寸法を求めることができます。ご参考まで…)
さらに家具配置をパワポで検討していくと、確かに現状入れている家具が収まるかどうか、少し怪しいところがあります。
「家具は絶対に今のを持っていきたいの?」
妻に質問すると、当たり前じゃん!と即答されました。
「実家を出るからずっと使えるようにと思って、色々悩んで選んで良いのを買ったのに、持っていかないなんてありえないよ!」
「私はマンションのためにお気に入りの家具を捨てられるほど、マンションが欲しいわけではないよ!」
妻の思いは堅そうです。
私は頭を抱えてしまいました。

「じゃあどうするの?家具が入ることが確定するまで、一旦話を進めるのはやめてもらう?」
私が質問すると、妻はうなずきました。
「うん、そうしてほしい」
参ったことになってしまいました。
が、ここを無理やり押し通すのも今後に響きそうです。
仕方なく、私は営業さんに電話をかけることにしました。
(つづく)

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