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連載:城東の奇跡~大激戦!東京15区選挙レポート 第17節:歓喜

 4月28日午後7時。酒井なつみ事務所には既にたくさんの報道陣が詰めかけていた。事務所の1階にはテレビ局、新聞の各社がギュウギュウ詰め。
 私は2年前の参議院選の際に開票見守り会に四ツ谷の事務所に行ったが、その時には報道陣は殆どおらず、陣営の関係者がちらほら出入りするような感じだった。夜半に大勢が決し、事務所で候補者松尾明弘さんの無念の敗戦の弁を聴いた。本当に悔しく悲しかったが、2か月半をともに過ごした候補者と最後結果を分かち合えて本当に良かった。
 対して、この日はあまりにも取材班がせわしなく、私も目が点になるほどだった。そして、来たるべき運命の時に胸が否が応にも高まる。

 他の支持者の方とともにマスコミが密集した事務所の中へ通され、世間話をしながら結果を待つ。中には、証紙貼りの際に同じテーブルにいらした方や、街宣で何度もお会いした方もいらしたし、江東市民連合の方、共産党の小堤さんら関係者もいらした。そして長妻都連会長や手塚幹事長ら立憲都連の関係者も続々と会場に入ってくる。

 テレビはNHKを映し出していた。前番組が終わり、合間の番組予告時間に入る。事務所の緊張感もいよいよピークに達していた。
 8:00という時刻の表示とともに衆議院補欠選挙の臨時ニュースが始まる。その瞬間、皆が固唾をのんで画面に見入る。

 衆院3補選いずれも立民候補が当選確実
 自民 擁立見送りの選挙区含め議席失う

 テロップに続いて、各選挙区の当確候補の顔と名前が映し出され、真ん中には「確 酒井菜摘 立民・新 元江東区議会議員」と表示されている。

 事務所は歓声に包まれた。私も思わず拳を突き上げた。酒井なつみさんが、勝ったのだ。勝ったのだ。しかも、ゼロ打ちだ。8時に当確が出たのだ。その場にいた塩村あやか参議院議員は感激のあまり涙していた。

 酒井さんが来るまでの間、テレビに映し出された他の陣営の様子に事務所は拍手を送っていた。今回の戦友たちである。
 島根1区で当確となった亀井亜紀子さん。自民党候補との一騎打ちを制して、2年半ぶりの国政返り咲きだ。島根1区で非自民が議席を得るのは1996年選挙以来初めてのことだ。
 長崎3区で当確となった山田勝彦さん。維新候補との一騎打ちをダブルスコアで制しての当選。2021年に比例九州で初当選し、今回選挙区で改めて議席を得た。山田さんが映し出された瞬間、私は山田さんのモットーである「もう変えんば」を合いの手として入れた。長妻さんが「もう変えんば」とボソッとつぶやくと、手塚さんが、「山田さんは年内に解散があると(初当選から)3年で3期生になるんですよ。小学生じゃねえんだから(笑)」と場を沸かせた。

 酒井なつみさんがついに到着し、万雷の拍手と歓声で迎えられる。皆笑顔だ。ついに、この時がやって来た。

 ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい!
 
 高らかな万歳三唱に続いて、長妻都連会長、宇都宮弁護士の挨拶、そして酒井なつみさんの挨拶となった。

「私たちは、利権やお金で動く政治ではなくて、国民の声を受け止めて動くまっとうな政治を訴えました。この12日間の選挙戦、一生忘れませんし、まっとうな政治、実現していきます。」

 酒井さんの力強い決意。強く優しい酒井さんなら、大丈夫。江東区の未来はきっと明るい。

 長妻さんの挨拶の中で、酒井なつみさんが実はこの1年で3回目の選挙戦だったことについて触れられた。体力も気力も限界まで、やりきった。そして、ついに、報われたのだ。私は自分のことのようにうれしかった。

 酒井なつみさんの当選を、皆が喜んでいた。酒井さんに、支持者の方、江東市民連合の方から花束が贈られ、ミッフィーのだるまも贈られた。そして、今回の勝利の立役者、共産党の小堤さんも本当にうれしそうだ。様々な党派がひとつにまとまり、酒井さんを国会へ送り出した。立憲民主党、社民党、共産党、諸派の皆様、江東市民連合やフェミブリッジの皆様、その他関係者ボランティアの方々、皆が「チーム酒井」となって、この8時ゼロ打ちの大勝利はもたらされたのだ。

 NHKの当日出口調査によれば、酒井なつみさんは3割以上の票を得ている。期日前投票でも4分の1以上の票を集めており、次点以下には10ポイント以上の差をつけての勝利は確実だ。やはり、私が観測した電話かけ、街宣の反応やビラの受け取り、ポスターの光景は間違ってはいなかったのだ(出口調査などの分析は別に1節を設けて詳しく行う)。

 その夜は、当選報告とメディア対応のあと、お開きとなり、私は政治家や支持者、スタッフの皆様とお話して喜びを分かち合った。同じく城東地区の支部長をしている方も、酒井さんに続かんと意気込んでいた。やはり勝つということは仲間にも大きな刺激になる。共産党の小堤さんと西部区議ともお話できた。「江東の共闘」が功を奏したのだ。最後に写真もお願いして、文字通りの「野党共闘」のショットが実現した。とてもうれしかった。
 酒井なつみさんとも直接お話でき、「こどもまんなか酒井なつみ、がいよいよ(国政で)始まりますね。」とお話すると、酒井さんもにこやかにうなずいておられた。写真も撮っていただけて、最高のショットになった。新衆議院議員の酒井さんのもとには、早速「こんなことを実現してほしい」と要望する方もおり、酒井さんも「しかと受け止めました」と真剣な表情。当選したその瞬間から、仕事が始まっていた。

 一方その頃、今回の選挙戦最大の功労者は江東区の開票所で立会人を務めていた。忘れてはならない、高野はやと江東区議(立憲民主党)である。
 


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