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世界一欲しいクルマが近くにあった話

2023年の秋になろうかと言う時期、同居している母親が地元に帰ると言う。
5人家族なので5人乗れる4ドアのクルマが必須だった我が家から1人減り、4人家族になるという事である。

これまで乗っていたのは2022年式ホンダ シビック e:hev(FL4)、とても新しく、素晴らしいクルマだ。
5人乗りという要件を満たし、e:hevのおかげでリッター17kmの高燃費、スタイルも良く、内装も十分。
スポーツハイブリッドの要素を十分に兼ね備えた何一つ文句のつけどころがないクルマである。

しかもこの頃、雨の日も風の日も自転車を使って下の子を保育園に送迎していた奥さんがとうとう耐えきれなくなりホンダN-BOXを自分で購入した。
我が家は設計段階からメインの駐車スペースの他に軽自動車を停められる寸法を自宅前に確保しておいたのだ。(これは以前から噂されていたスズキカプチーノの新型が出るのを期待していたためである、出ないけど)

この話は以前から奥さんに相談されていたけど、本当に買うとは思ってなかった、が、購入したとなれば我が家にクルマが2台、つまりセカンドカーがやってきたと言うことになる。
つまり自分が選択できるクルマの幅が無限に増えたと言うことである。

来年(2024年)からは5人乗りに拘る必要がなくなり、セカンドカーがやってきた。
なんだかソワソワし始める自分、カーセンサーを検索する時間が増えていく、Youtubeでクルマ関係の動画を視聴して下調べのような事をする時間も増えていく。
現実的に買えそうな価格帯として、特に的を絞っていたのはトヨタGR86/スバルBRZ、FRレイアウト、もちろんMT、ちょっと前にモデルチェンジして2.4Lエンジンになって大層良くなったという(Youtube調べ、運転した事はない)
もしGR86にするとなるとボディカラーをどうするかとまだ買えると決まったわけでもないのに悩み、86の10周年記念の時に販売されたオレンジ色のボディカラーがあると知り、割と近場の中古車店にそれがあったので家族全員を連れて見に行ったりもしたが、GR86は後席が狭すぎて不評だった(そりゃそうだ)。

そして同時にBMWの事も検索し始め、F87 M2の事ももちろん調べていた。
BMW認定中古車検索でM2や他の候補だったG42 220iなんかも近所のBMW新車販売店にこれも家族全員を引き連れて見に行ったりもしてみた。
これは2ドアクーペだけど後席が広くて好評、しかしこれが買える時期は中古相場がもう少しこなれてからになってしまうので今すぐ買うのは難しい、実現できても数年後だろう。
そして220iを選択するということは2L 4気筒 184馬力のエンジンを選ぶということになるので、初めてのBMWなのにシルキーシックスを体験できない事、元々欲しかったM2が3L 6気筒 370馬力のハイパフォーマンスカーなので、どうしてもそれと比較して考えてしまうと物足りない気がしてならない事、それでも2Lなので税金は安いだろうとか燃費もいいだろうとか、何か自分を納得させる材料を探していたようにも思う。
仮にそれが2年後くらい(シビックe:hevの初回車検が来る時期)として、その時にM2に乗ったらどうなるか、2016年デビューのクルマなのでまもなく10年落ちになってしまうのだ。そこが引っかかって仕方がない。
G42 220iなら2023年型のナビモニターがデカいタイプを探すつもりでいたのでまだまだ全然新しい、ならばこちらを選ぶべきだろうと自分の中での「納得」を求めていたんだろうと思う。
G87 M2は到底買えるような価格帯のクルマではない、しかもデザインが若干アメリカン的なマッスルカーのような佇まいになってしまった。
個人的な嗜好の観点で言うと、これはあまり好きではないと今でも思っている。

そんな日々を一か月くらいは過ごしていただろうか。
その時である、日課のようにカーセンサーを検索していたところ、F87 M2が近所の中古輸入車店にあるではないか。

これだけ欲しいと言い続けてきたクルマだったけど実際に走っているのは人生で2回くらいしか見た事がない、つまりそれだけ買った人も少ないという事なのだろうけど、これはと居ても立っても居られなくなり、仕事の帰りに見に行ってみる事にした。この時点でソワソワ感はMAXである。
これは本当に怪しい行動なのでやめた方がいいと思うが、営業時間外の夜に中古車屋の前まで行ってみると、掲載されていたM2が置いてあった。
バイクを停めてちょっと近づいてみる。
流石に夜なので監視カメラなどで見られて「怪しい奴が来た!泥棒か!」と思われたくないので極力遠巻きに見ていると、ほぼ写真や動画でしか見たことがないと言っていいレベルの憧れのクルマが目の前にある事に心底ソワソワした、いい歳したおじさんでも好きなクルマの前ではショーウインドーに飾られているギターかトランペットでも眺めている少年になってしまうのだ。

その日は眺める以上にできる事はないので、あんまり長居してもこれまた怪しいので帰る事にした。

その夜のYoutubeの履歴にはF87 M2の動画がずらっと並ぶ事になるのは想像に難くない事であった。

というところで世界一欲しいクルマが身近にあった話でした。
次の話はこのクルマを明るい時間に見に行った話になると思います。
それではいつかまた、ごきげんよう。



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