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シンガポールでの不妊治療のつれづれ #PCOS #体外受精

現在シンガポールに在住している1児(8歳)の母の私(31歳)。数年前から第二子の不妊治療を始めています。

不妊治療にフォーカスした記事を書こう書こうと思いながら、治療は毎周期希望と絶望の連続で常に気持ちが変わってしまい、なかなか言葉が定まらず。

この夏「高度不妊治療」とも言われる体外受精にステップアップし、第一関門である「採卵」を3日前に終えたいま、とりあえず見切り発車で書いてみます〜


これまでの軌跡


第一子を23歳で出産して早8年(!)、第一子が3歳になったくらいから二人目を考え始め、自己流でトライするも2年ほど経ってもなかなか授からず。友人と話す中で「二人目不妊」「AMH(卵巣予備能)」といったワードを知り、検査だけでもしてもらおうとクリニックの門を叩く。

ひととおり検査をしたものの当時は「若干排卵しづらそうだが、これといった問題はなし」といった所見で、その後もタイミング指導で半年ほどクリニックに通う。しかし仕事との調整が上手く行かず通院日程が組めなくなったのと、シンガポールへの引っ越しが決まり途中で辞める。2020年8月にシンガポールへ。

シンガポールに来てからは、仕事のペースもだいぶ落としていて時間もあったので「今度こそ!」と思い、2020年10月頃から日系の婦人科に通いはじめる。そこでも一通り検査をした後、主にタイミング指導を受ける。服薬や自己注射も始まる。

別の心配事や体調不良、一時帰国などでお休みしてた周期もありつつも、1年半でタイミング法を6回以上繰り返すが、なかなか結果が出ず。

そんな中、日本で不妊治療が保険適用になったことも後押しし、2022年7月からは日系病院から紹介してもらったローカル婦人科に転院。いまは人工授精(AIH)をスキップして体外受精(IVF)にチャレンジ中です。

英語に自信ないので毎回通院のたびに四苦八苦だけど、シンガポールでは日系の病院で行ってもらえるのはタイミング指導までなので、ステップアップをしたい場合、ローカル院(英語)への転院はやむなし。

先生が優しいので、意外とボロクソ英語でもなんとかなっています(たぶん)。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とは

日本では結局不妊の原因がよくわからなかったものの、シンガポール来てから改めて検査をすることで、私の不妊の原因は主に3つが考えられるということがあることがわかった。

①PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)
②子宮内膜ポリープ
③子宮内膜症

これらのうち②と③は2021年7月の下記手術で解決することができた。(※と思ってたのに、またポリープができていたことが発覚…まぁポリープは比較的簡単に取れるぽいので、移植までの間にがんばるとする)

しかし、厄介なのが①のPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)。

PCOSとは、卵巣内に小さな卵胞がたくさんとどまり、卵胞が発育するのに時間がかかってなかなか排卵しない疾患。

エコーでみると、卵巣内に小さな卵胞が所狭しと並んでいることから「ネックレスサイン」とも呼ばれる。
※参考:https://doctorsfile.jp/medication/408/

約10人に1人の割合で見られるとも言われて、そんなに珍しいものでもないそう。

実際PCOSは「放っておくと死ぬ」みたいなものではなく、主な症状としては「排卵しづらい」「生理周期がバラバラ」といった感じなので妊娠を希望するまではなかなかわからないし、わかっても「まぁそうか」といった感じ。妊娠希望じゃない場合はピルで整えるのが主な対処法のよう。

しかし、妊活上ではなかなかネックになるのがこのPCOSなのです、、、

何より卵胞がマジで育ちにくく時間がかかるうえに、なかなか排卵しない。妊活ではチャンスを高めるためにも、できるだけ排卵の機会を多くしたい=生理周期は短いほど排卵チャンスは増えるのに、放っておくと生理に40日も50日もかかる!!!涙

実際私も学生の頃から生理周期が本当にバラバラで、基本的には長く(35日〜40日。50日かかることも)、そうかと思えば20日足らずで来たりと(今思うと排卵してない無排卵出血だったのかも?)、全然安定してなかった。

この事実を知ったとき、第一子が自然に生まれてくれたのは本当に奇跡だな〜と改めて感じた次第です。。。

不妊治療で感じたこと

そんなこんなで自己流妊活を約2年、クリニックでの不妊治療を足掛け3年ほど続けてる私が不妊治療通じて感じたのは以下の3点👇

1:とにかく予定が立てづらい
2:気分と体調が安定しない
3:「なるようになる」「なるようにしかならない」を学ぶ

1:とにかく予定が立てづらい

この「予定が立てづらい」は不妊治療最大のペインだと個人的に思っている。

「では次は2週間後の●時に来てください〜」と言われるような通院と違い、基本的に不妊治療は「生理●日目に来てください」で通院日が決まる。

生理が毎月ぴったりに来る人であればまだ予定が立てやすいかもしれないが、思うに不妊治療に通う方は私のように「生理期間がバラバラ…」という人が多いと思うので、通院日が本当に読めない。

通い続けていればなんとなく通院のパターンをつかめる…というのも多少あるが、それでも卵胞の発育によって「うーんやっぱり明日も来てください」みたいのも多々あり、同じ治療法でも先月と今月で通院リズムが違うこともある。

これはもう本当に毎回「私(身体)と仕事、どっちが大事なの?」を突きつけられている感じで辛い。「そんなこと考えさせてごめんな」でお茶を濁してる場合ではない。1、2回なら仕事の予定をリスケできても、どうしても穴を開けられない仕事もある。でも生理は、卵胞の発育はそれを待ってくれない。そして仕事を優先したらしたで、月に1回しか無い排卵のタイミングを逃してしまい、1ヶ月分歳をとってしまうという厳しい現実。

今の私は自由業かつ仕事量も少ないので、基本的には身体を優先させていただいているが、それでもやはりプライベートで入れてた予定と重なってしまうことも多々。リスケをするたび申し訳ない気持ちになり、「またリスケになりそうだし、最初から予定は入れないでおくか…」と引きこもりに偏ると、人と会うことが楽しみな自分にとっては、ストレスにつながる。

余談:今回は採卵の日程が第一子の運動会(3年ぶり!)と被りそうになって、本当に冷や汗をかいた…

2:気分と体調が安定しない

▲排卵誘発のための自己注射、ゴナール様。針は細いのでそこまで痛くはないが、自分で注射してる!という感覚が重くのしかかる

不妊治療において処方される薬は、主にホルモンバランスを調整するための薬。そう、50mプールにスプーン一杯のホルモンを入れただけでも多大な影響を与えるともいわれる、女性の心と身体を支配するあのホルモン。

そうした薬を日々服用することで「頭痛」「眠気」「胸が張る」といった体調の悪さはもちろん、「だるい」「しんどい」「帰りたい」といった精神的な副作用をももたらされる。

そうした直接的な要素に加えて、「今月もまただめだったかー」という結果への一喜一憂、「あまり卵胞育ってないですねー」という自分の身体への辛辣なフィードバック(もちろん事実を伝えてもらわないと困るのだけれど!)、上述のようになかなか予定が定まらないので人と会いづらいことからのストレスなども相まって、本当に気分と体調が安定しません。

あとは注射の時間も⚫︎時、と決まっていたため間違えられないプレッシャーや、外出予定が入ってたら忘れずに持っていかなければならないプレッシャーなどもある。特に採卵前のトリガー注射は「5分のズレも許されない」と看護師さんに凄まれて、ヒヤヒヤした。

3:「なるようになる」「なるようにしかならない」を学ぶ

これまでビジネスの世界で、必須だと叩き込まれてきた

・逆算思考
・成功をイメージする
・圧倒的当事者意識

といったもろもろ。これらの考え方に、私はもちろんお世話になり、そのおかげで成功体験も積めたし、だからこそ大切なものだとずっと思っていた。

しかし不妊治療においては、ビジネスで良しとされるものが必ずしも通用しない。どころか、それらを持ちすぎることで結果が違ったときに激しく落胆したり、自分のせいと責めてしまう、ということを学んだ。

「●歳になるまでに絶対第二子を!そのためには●歳の●月までに妊娠して…」という逆算思考や、「来年のお正月には赤ちゃんが一緒で〜」といった成功の具体的イメージ、「結果はすべて自分の行動次第!」といった圧倒的な当事者意識。これらは持てば持つほど、具体的であればあるほど、結果が伴わなかった時に苦しくなる。

こういった考え方が必要な場面ももちろんあるし、人によってはこういった家族計画でうまくいく人ももちろんいると思うけど!

とにかく自分の場合は、妊娠出産にこれらを持ち込むと首を締めるだけだと学びました…

でもそれってネガティブな意味合いだけじゃなくて、「なるようにしかならない世界もあるなぁ」と深く実感したことで、肩の力が抜けて逆にいろんなことに気軽にチャレンジできるようになった気もする〜〜🥴

ある意味「すべては自分の行動次第!」という考え方は傲慢とも言えて、そうじゃない世界もあるんだと視野が広がった。

現状と今後

そんなこんなで、3日前の9月20日に人生初の採卵を行ってきました。体外受精においては第一関門であり、また身体の負担的には一番大きい関門でもある(と思う)のでドキドキしてたけど、麻酔のおかげで痛さは全く感じず。(終わったあと鎮痛剤飲むまではズキズキしたけど)

採卵周期は特に通院が多かったし(2〜3日に一回)、毎回採血だし、自己注射2本くらい毎日しないといけないしその副作用はひどいし、服薬の時間厳守のプレッシャーあるしで大変だったけど、とりあえず一山は超えれて安心。

ここからまた服薬して移植周期入って、その後に妊娠判定、さらに妊娠継続できるか…と超えるべき山はたくさんあって、つくづく妊娠出産の奇跡を感じますが、「なるようになる」をモットーに健康に気をつけるいい機会としてやってこうと思います。抗酸化作用は何事にも大事!

本当に正直なところ、22歳で妊娠して23歳で出産したときは、第二子で体外受精に挑戦するとは全く思いもよらなかったけど😂(最初にクリニックの門を叩いたときも「まぁ病院行けばすぐ結果出るっしょ」と思ってた…甘かった…)
いろいろ新たな体験を経て、人生の幅が広がっているのは紛れもない事実。ありがたいといえばありがたいね!(金銭的にはありがたくないけど)

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長々と書きましたが、不妊治療に本腰入れた(?)のがコロナ禍というのもあって、あまりリアルな情報収集ができておらずもっぱらTwitterの妊活垢見てる感じなので、シンガポールはもちろん国内外で不妊治療を経験された方や、興味ある方(という言い方もちょっとあれだけど…!)とオフラインでもオンラインでもいろいろ話せたらうれしいです〜🤞

(2023年9月追記)
その後、無事治療が成功し2023年8月に出産しました。
シンガポールでの不妊治療(後編)〜産前産後、出産レポ等関連記事はこちらのマガジンにまとめています👇


ご覧いただきありがとうございます!調子の良い不器用な人間が、自分の言葉で生きることだけは続けようと書き綴っています。素直さだけが取り柄なので単刀直入に、サポートいただければすっごく嬉しいです!