それでも私は、明日もクローゼットの中で生きる
私はLGBTQで言うなら、L(レズビアン、女性同性愛者)の当事者だ。
そのことに自分で気づいたのは、もうだいぶ前の10代の頃。
自分で自分が受け入れられなくて、レズビアンであることを抱えてこの国で・この町で生きて行くことが辛くて辛くて。
真剣に「あーはやく線路に飛び込まないと」と思い詰めたこともあった。
通学途中に駅のホームで、線路を覗き込んだこともある。
結果として、私は線路に飛び込むことは一度もなく、今日まで生きている。
そんな私の周囲の友人の多くは、私のそんな過去も、私がレズビアンであることも、全く知らない。
幸か不幸か、私はレズビアンであることが周囲に全くバレない。
顔立ちなのか、ファッションなのか、話し方なのか、立ち振る舞いなのか、
それ以外の何かなのか、何が原因かなんてずっとわからないままだけれど。
私は周囲からレズビアンだと疑われることなく、むしろ「彼氏がいる恋愛経験豊富な女の子」に見間違われる。
いまだに会社の人には誰にもバレていない。
学生時代の友人にも全然バレていない。
親しくさせていただいた恩師にカミングアウトした時も、「そうだったんだ!」と驚かれた。
誰も私のことに気づいていない。
それが苦しい時はたくさんある。
誰も私の存在なんて見えていないこと。
誰も私のことを「レズビアンで同性のパートナーがいる」って1ミリも想像しないこと。
「彼氏がいる」と思って話しかけられること。
「いつか結婚して夫ができる」と思われてキャリアや進路の指導をされること。
美容院で髪を切られながら恋人の話をしたら、「彼氏」ってわざわざ言い換えられること。
結婚指輪を見に行ったら、店員さんに「彼氏」のことをたくさん聞かれること。
年末調整の時に、配偶者が「いない」で提出すること。
苦しいことはたくさんある。
でも。
大事な家族を守るため。
大事な私自身を守るため。
カミングアウトせずに、クローゼットで居続ける。
これは私にとって、苦しいけれどやむを得なくて、絶対に譲れない選択。
※LGBTQ用語 クローゼット
これからもたぶん、私はクローゼットで居続ける。
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