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ビーチ・カントリー・マン・ダイアリー(19):「ウェットスーツと夏」

 海水温が25度を超えないとサーフィンをしたくないヘタレです。
 10月から5月連休明けあたりまで、浜辺でコーヒータイムを楽しみながら、「しかし、寒いのに偉いなぁ」と冷たい海水温に負けず、果敢にサーフィンを楽しむサーファーたちを応援しているだけで良いのです。ヘタレな理由の一つには、海の出入りに爽快感がなく、真冬なんかだと、心がどんよりとしてしまいます。私はきっと真なるサーファーではありませんね。
 とはいえ、5月の連休になると、日差しは初夏となり、心の奥底に眠らせていたサーファー魂が顔を覗かせます。小動物が春が来たかどうかを、巣穴から顔を出しキョロキョロと確認するような感じで、ヘタレ魂が顔を覗かせます。
 L.A.のウェスト・ハリウッド在住時は、サンタモニカのビーチまで車で1時間ほどかかり、さらにアラスカきら南下する冷たい海流のせいで、夏場でも海水温は冷たくて、サーフィンを楽しむには、50キロほどビーチ沿いを南下したハンティントン・ビーチかそれより南のビーチでないと厳しかったのを覚えています。当時は仕事ばかりでなかなか休めませんでしたが、机の上で地図を広げ、メキシコのカリフォルニア半島あたりまでドライブしてサーフィンをしたいなぁとよく夢想していたものです。
 今年はどうやら夏日があったりなかったりという5月の連休で、私のヘタレ魂が巣穴から這い出してきて、部屋の中をウロウロし始めています。先日は、25年ほど以前に手に入れたドナルド・タカヤマのロングボードにフィンを取りつけ、ニヒヒと笑みをこぼしました。そして今朝、この夏用に身につけるウェットスーツ(ジャケット)が届き、ムヒヒと破顔しながら書棚に飾りました。
 人それぞれ、夏に向けての心と体の準備があると思いますが、24節句72候という季節を愛でる私たちの現代の季節文化の楽しみ方なのでしょうね。
 そろそろテレビの報道番組では、夏日だ!大変だ!熱中症だ!と騒ぎ立て始めるころだと思います。もちろん、温暖化も含めて気象が異常になってきた現代を生きる者としては、注意を怠ってはいけませんが、とはいえ、注意を怠らないように心構えをすることと、ファナティックになることとはまったく異なりますから、初夏から梅雨へ、梅雨から夏へと変わりゆく季節感を楽しみたいと考えています。
 今夜は、おそらく、波の読み方みたいな蔵書を書棚こら取り出してニコニコしている私でしょうね。中嶋雷太

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