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本に愛される人になりたい(52) スティーヴン・キング著「書くことについて」

 物語を公に、つまりデジタル出版をし始めて5年弱が経過しました。noteのあちらこちらで書いていますが、2018年春ごろ、自分が作りたい・観たい映画のロング・シノプシスが溜まりに溜まっていました。背中を押してくれたのは某週刊誌の元編集長のO氏でした。第一作となった「春は菜の花」の原稿を読んでもらい居酒屋で語らっていたところ…「雷太さん。雷太さんのは、小説というより、物語だから、『物語』れば良いのでは?あと、出版社に持ち込んで書籍化することよりも、まずはデジタル出版して広く読んでもらってはどうだろう」と背中を押してもらいました。この「春は菜の花」を原作として映画化したのが『Kay』(監督:鯨岡弘織)で、その後新型コロナがあり、なかなか映画プロデューサーとしてはあまり動いてはいませんが、お陰様で物語執筆の方は20作品を超えました。
 読み終わってもらい、一つの映画を見終わったような感じになればと願い書き続けていますが、プロの小説家としてではなく、あくまで映画や演劇を想定していることもあり、小説作法的なものはほとんど勉強をしたことはありませんでした。
 もちろん、子供の頃から古今東西の小説を読むのが好きだったので、読者としては数多くの小説に触れてはきましたが、読むことと書くことはまったく異なるので、良い小説の書き方のような本はないものかと、本屋さんへ行くことがあれば、ふらふらと書棚を眺めていました。ただ、数多くの小説作法本の内容がしっくりこないのが実感でした。
 スティーヴン・キング著「書くことについて」に出会ったのはたまたまでした。2010年にアメリカで発行されていたのですが、何故だか出会うこともなく10年ほど経っていました。
 さて、本書を購入し読み進めていくと、なるほど!とか、そうだよな!とか、私が漠然と抱いていた「書くこと」の要素を彼ははっきりと提示してくれ、ページをくり直しては彼の言葉を何度も咀嚼しています。
 「…ストーリーというのは地中に埋もれた化石のように探しあてるべきだ…」というのもその一つです。
 格言とか技術論ではない、彼が自分の手で学び取ってきた言葉は、いまの私の執筆を支えてくれています。中嶋雷太

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