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ワードローブの森の中から(52)「ハワイ的な感じの服装」

 これまで何十回も訪ねたオアフ島で、最初はTシャツばかりだったのが、気づけば半袖開襟シャツを着ることが多くなっていました。島内を取材も兼ねて車で移動することが多くなったり、それなりのレストランに行くこともあります。そして、訪ねた風景が作り出してくれる心情にピタリと合った服装があると思ったのもあります。
 話は大きく変わりますが、京都の寺町三条にある老舗のバーでは、Tシャツお断りの表示があり、お店のご主人は、バーはTシャツ一枚で来るところではないとはっきりとした美意識をお持ちなようです。学生時代に背伸びしてそのバーに通いましたが、誰もがそれなりの服装で、静かに語らっておられたのを覚えています。その時は、小難しいご主人だなぁとしか思ってはいませんでしたが、後々、場所(心象風景)が服装を選ぶことを理解し始めました。
 オアフ島では、私は私なりの心象風景があり、その場その場で私の心情にとり心地良いものを選ぶようになりました。一人で、勝手に決めているわけですが…。
 やがて、気づけば、日本でも、オアフ島的な、ハワイ的な場所では、そうした服装になっている私がいます。たとえば、写真は東京の青山にあるハワイ的なカフェの中庭なのですが、ここでは私なりのハワイ的な服装で楽しんでいます。これが浴衣やジャケットでかっちり固めた服装だと、不釣り合いというか、気持ちがインバランスになるはずです。
 梅雨の中休みの晴れ間に、燦々と輝く太陽光を浴びながら、ハワイ的な服装でいると、気持ちはオアフ島のノースショアの海岸広場あたりにいるようです。
 こうして、基調は場所が服装を選ぶと語りつつ、紫陽花が綺麗な日々がだらだらと続くと私は季節に抗いたくなり、一人で太陽の光が燦々と輝く夏日を思い浮かべ、今朝もハワイ的な服装を選びます。
 逆目を敢えて楽しむ反抗的な私もたまにいます。心象風景は身勝手にハワイ的な感じなのです。TPOを、自分なりの心象風景に委ねるのも楽しいものです。場所によっては入店禁止になるかもしれませんが。中嶋雷太

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