見出し画像

栗山野球の分岐点。ただの「弱いダメチーム」から始めようーもう一度生まれ直す、北海道日本ハムファイターズ を愛するためにー


北海道日本ハムファイターズ 栗山英樹監督になって以来の成績は、2012年リーグ優勝、2013年5位、2014年3位 2015年2位、2016年リーグ優勝日本一、2017 年5位、2018年3位、2019年5位、2020年5位…というものである。

9年間でリーグ優勝2回、日本一一回。クライマックスシリーズ出場5回。これをトータルで結果が出ているとするのかしないのか、わかりませんが。2016年の日本一以来、成績はぱっとしない以上に選手が育っていない、野球の内容が悪い、試合が面白くないーという批判は、受け入れるしかないことだと思う。

なんでこうなっちゃったのかなあ? 

いろんな人が色々なことを語っていて、それぞれにうなずける話ばかりだけど、大前提は、球団組織の問題なのだろうと想像する。

2003年、大きな決断によって東京ドームから札幌ドームへ本拠地を移転した時、オーナーは、日本ハム大社啓二社長だった。大社さんは、言うまでもなく先代の名物オーナー大社義規氏の後継。(以下、北海道移転に関するわかりやすい記事があったのでリンクしておきます。ぜひ読んでみてください。)

親会社のオーナーが、明確なビジョンを持って球団改革を推し進めていく。当初の高田繁GM抜擢も北海道の企業にイメージを浸透させていくに相応しかった。球団社長藤井さん、チーム編成統括島田さん、スカウトトップ山田さん、実力のある人たちが、一体となって組織を運営しチームは結果を出し、実績に結び付けているーただのど素人のファンにですら、そう見えていた。

やがて高田さんからの山田GMが退き、吉村GM の時代となる。大社オーナーもオーナー代行を経て球団からは距離を持つようになる。球団社長は、親会社のルールに基づき、数年で交代する。島田さんも定年でいなくなった。山田さんはスカウト顧問だったけど70歳をすぎて現場にどれほど関わっているのかはわからない。

ファイターズ が「ファイターズ らしくない」様子になっていくのは、これらいわば東京時代から「日ハム」の屋台骨を支え、第一次北海道日本ハムファイターズ を組織し、創成した人々が、いなくなっていってから…。

フロント主導のファイターズ にとって傀儡となりえる栗山英樹が使いやすいから10年目もやらせるのだとか、まことしやかな批判も目に付くけれど、吉村GMと栗山監督は、球団事情の変化と時の流れの中で、本人等の意図によるものではなく、トップに押し出され、居残ってしまった二人なのではないだろうか。

以前のように「頼れる上司」や実力者、敏腕、猛者と呼ばれる人材はいない。大社オーナー親子の神通力も愛情も遠くなった。先導車を失い迷走する二人のファイターズ …。

そういう面から見ると。今のファイターズ は、真実の意味で東京時代から続く日本ハムファイターズ から脱皮しなくてはならないー未来に続く「北海道日本ハムファイターズ 」になるための試練の時にあるのではないか。

4年連続、優勝を逃し、2年連続5位に沈んだ栗山英樹監督の評価は低い。わたしははじめから世間一般的というか表面的な栗山さんの評価には、全然全く組みしない。現役時代は、可愛い苦労人(?)で好きでしたが、キャスター時代は、感情ばっかりで話してる内容はピンとこないし、そもそも何言ってんのかわかんねーし(みんなわかってたのか?)野球解説も表面的でつまらなかった。監督になってからも熱血教師とか知性派とか言われてるけど(どこがじゃ?)としか思えず、プロ野球界では、業界本以外の本を読む人は頭がいいと思い込んでるだけじゃねえの?とか。(知性派とは吉井投手コーチの方だよな)ひどいこと言ってますけど。

まあとにかく、わたしは栗山ファンでもなんでもなかったし、今でもない。だけどそういう意味ではなく、栗山英樹を最大限に評価するのは、とにもかくにも「既存のプロ野球監督像」を破壊せしめるーパーソナリティ、その得体の知れない「野球」への愛と妄想のパワーに尽きる。

栗の樹ファームに行ったことのある人は、あの栗山さんの野球オタクぶりをどう感ずるか。映画『フィールドオブドリームス』を見て、自分で草野球場を作ってしまった人物。

吉村GMが指導者経験もない栗山さんを監督にならないかと誘ったとき。「野球を愛することだけはできるはずです」と口説き、その一言で監督就任を決断したエピソードは、本当なのかどうか確かめようもないけれど。北海道に住み、野球場を作るほど野球が好きー野球に依存しているような「純粋な人物像」をチームの顔ーシンボルとする意図を、察するとしたら。長い歴史を持つ日本プロ野球の土壌とは離れたーもう一つの野球ーを創造しようとする道が、見えないこともない。

それはあまりに逞しすぎる、わたしの妄想だとしても。

大谷翔平二刀流物語ーを完結させ、一世一代の大勝負に勝った栗山英樹と吉村GMは、新たなファイターズ 物語を創作しようと試みる。それは「守り勝つ野球」と言われる「ファイターズ らしい野球」とは違うもの。攻撃的な野球、最強2番打者、打って勝つ野球、大胆な采配ー攻撃的な守備ーショートスターター、オープナー。よりエンタテインメント化されたスペクタクルなシン・プロ野球であり、マンガのような野球であり、ここ数年は、そうやって「ファイターズ の野球」の変換を図っていこうとしていたのではないだろうか。

しかし、意図に反して低迷する栗山野球、具体的なきっかけは、去年の8月14日。東京ドームでの試合。

リンクした記事に書いたとおり。自ら「勝たせろよ」と4番に据えた清宮幸太郎に対して代打を出してしまった栗山監督。ここがはっきりと分岐点だとわたしは勝手に断定する。

それまで、例えば、何があっても4番に据え続けた中田翔。例えば、何があろうとも実行しつづけた大谷翔平二刀流。「うちはロマン主義、ロマンだけですから」と吉村GMが語ってきたとおり、栗山ファイターズ はロマンに生きていたし、ロマンを生み出してもいた。清宮幸太郎4番も同じく。

だけど、この日、東京ドームで栗山英樹は、自らその魔法の杖を捨てた。「左投手相手では確率が悪いんだから」とー勝てる確率は、幸太郎に打たせることではないとー判断し、横尾俊健を選び、そして決断は、外れた。

その間際にー栗山さんに確かに取り憑いていた野球の神様による愛の翼は、彼の背中からもぎ取られ、一人のプロ野球監督として、地べたに這いつくばることになる。なんか知らんけどうまく行き続けてきたファイターズ は、何もかもうまくいかなくなる…。

栗山さんも吉村さんも気がついてるのかどうか知りませんが。未だに自分等が「ロマン派」として存り続けていると、もしも思ってるのなら、ファイターズ は来年も弱いままだろう。ロマンもへったくれもない。今のファイターズ は、ただの「弱いダメチーム」でしかないのだから。(よって栗山さんもただの弱いダメ監督だし)

現実を見よ。ぼろぼろのへにゃへにゃのお金もない。エラーばっかしの。へたれの若い衆ばっかしの、どんなチームなのかの展望もない、行き当たりばったりの野球しかできない。それが、今目に見える、わたしたちのファイターズ 。

もしもここから、新たなファイターズ 物語が、紡がれるのだとすれば。このどうしようもなく弱くダメなチームから一念発起、みんなの友情努力勇気で勝利する!古典的少年マンガスタイルしかないだろう。

そうだよ。そもそも「日ハム」は弱かった。ずーっと弱かったんだから。まさしくも「原点に帰れ」とは、この北の大地で、もう一度、初めから。

「ファイターズ の野球」を創り出す。

覚悟はあるか。わたしたちに。

北海道日本ハムファイターズ 。わたしたちのファイターズ と呼ぶために。
















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?