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【世田谷の保存樹木が伐採③】区も企業も本気でみどりを守ろうとしているのか。保存樹木制度の抜け目

保存樹木の伐採を決めたディベロッパーであるオープンハウスに対して、近隣住民の声と起案書をお送りした翌日(経緯はこちら)、お昼に早速担当者が来られました。「敷地内樹木の撤去に関する再周知」として、署名された方々を回って説明にまわっていたようです。

法的拘束力がない中で、どうやって守るのか

「昨夜送られました、起案書と署名を確認しました。『中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例』に則り、関係住民の方からのご要望があったので説明会は開催します。しかし、この条例はこれから建築される建物に関する条例ので、解体や伐採に関しては適応されません。ですので、予定通り解体工程通り、今週中には伐採する予定です。周知が足りなかったというご指摘もありましたので、今日、みなさまのところに改めて周知しました」

ディベロッパーとしては、法や条例に沿って行なっているということを強調。その中で、地域のことを考えることはなく、全てを一掃して、新しく建てることしか計画にない、ということがよく理解できました。保存・移設することが少しでも脳裏にあれば、建築計画に入るはずです

「環境保全」を重要課題としてうたっている企業

こんなにも大きな木を何の検討もなくばっさり切ることしか考えられないなんて。環境保全を大きく企業課題としてうたっておきながら、開発と保全という、相反することをどのように取り組むのか。現状、結局は現場にも落とし込めていないし、グリーンウォッシュ(実態が伴わないにもかかわらず、環境配慮を印象付けようとする企業、ウォッシュ=騙す)とも思えてしまう

抗っている間にも新緑はどんどん深くなっていく

「とにかく、あっせんと調停(紛争に発展するケースに対して、世田谷区が介入して合意へと導く制度、法的効力はない)にも応じられません」とのこと。

法的な効力もないが、唯一、公の場として戦える所にさえ出てきてもらえないなんて。ただ、切られるものを指をくわえて見ているだけしかできないのか。自分の力のなさに、辟易してもう何度も心が折れそうになりました。

やれることはすべてやる。そこからどう動くか

するとアドバイスいただいている弁護士さんに「斡旋を申し出ても、相手方が出てきてくれて手続きが始められるかどうかは別問題。出てこないから出さない、のではなく、申し立てたことは相手方に伝わるので、出すことに意味があるのです。やれることは全部やりましょう」と鼓舞されました。

なるほど!そういうことか。街づくり課としては紛争を事前に防ぐことが大切だから、なにかと相談に乗ってもらいながらも、なだめられてきた感はあったので、とにかく手札である申出書を入手して提出することに(その後も書き方とかいろいろ言われて、簡単には受理してもらえないのですが…)。

区民の税金もつかわれている保存樹木制度

そもそも保存樹木制度自体が、区民の税金をつかって所有者に対して支援しているにも関わらず、登録解除が所有者だけの意思で簡単にできてしまうのもおかしい。せめて、関係ある近隣住民に対して、登録・解除の際は事前の周知を義務化するなど制度の改訂は必要だと思います。でなければ、木は守られていきません。

世田谷区が言うには、「保存樹木の登録解除のハードルを出来るだけ下げておかないと、保存したい人が増えていきません。ですから、登録解除も所有者の権限で行ってます」でも、せっかく保存登録された樹木を守れなくなった人がいたなら、そこはなんとか行政や町でまもっていかなくてはならないのでは?

世田谷区には「みどりの基本計画」がある

世田谷区が掲げているみどりの基本計画の冒頭にはこのようにあります。

「先人から受け継いだ豊かなみどりを次の世代に引き継ぎ、より豊かなみどりが将来にわたって実感できる街づくりを、区民、事業者、行政が同じ意識のもとに、知恵を出し合い、力を合わせて、取り組みを加速させ、実践していくものです」(「世田谷みどり33」より)

行政も、民間も、私たちも。どこまで本気でみどりを守る気があるのか。そこを考えるタイミングに来ているのではないのでしょうか。
そしてあと、私にできることはなにか。担当者を自宅の3階に来てもらい、ここからみえるやきを目の前に(まさに悲痛の叫びとなってしまいましたが)、想いを届けました。(次に続きます)

半分ぐらいは切られてしまい無惨な姿に。。。涙


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