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【本】意味がわかって読めるように

 新井紀子『AIに負けない子どもを育てる』

 新井紀子氏によるN高の講義をYouTubeで見て、とても面白かったので読んでみた。
 
「おわりに」に2011年東日本大震災の時の学校ホームページや災害時のネット状況について言及されていて、こういった問題に初めて気づかされた。いま、能登の学校ではどんな状況なのだろう。ネット環境が、子どもや学校の先生、その地区の方々の生活を守ることにフル活用されていて欲しいと思う。その方面でも、困難な状況に立ち向かっている方がいらっしゃるのだろう。いまこの時も。

 YouTubeで新井氏を知ったことから、終始紙面から新井氏の声が聞こえてくるようで、読んでいてとても楽しかった。本書から、地に足をつけながら背伸びして手を伸ばしている新井さんが思い浮かんで、私も頑張ろうと鼓舞された。目の前のことから頑張ろうと思う気持ちなんか、そんなの木っ端微塵になる速さで各方面状況は悪くなってるように思うけど、少し元気が出た。
 リーディングスキルテストも体験してみた。結果を自分なりに分析すると、浅知恵の深読みタイプとみた。(そんなタイプが本書に記載されている訳ではない)

 学習支援の教室では、学習に困難を抱えている子も多い。私は特に、小学校中学年から中学生の子どもの、算数・数学に寄り添っているときに情熱を感じるので、新井氏の「意味が分かって読める」ための教育のあり方の、小学校中学年と高学年の部分はよく読んだ。今後も振り返って読み直すと思う。

 私は子どもから好きなものの話を聞くのが好きで、それは子どもがイキイキ話すからというのもあるし、自分が好きなものの話をすることが好きだということもあるけれど、子どもが私に説明しようと考えている時間を大事にしたいからというのも大きい。多くの子が「保護者でも先生でもない大人」の私に分かってもらおうと、結構考えて説明してくれる。
 先日、小学生の女の子に、何故それが面白いと思うのか理由を聞いたら、「バヒューって来て」「ドュシャってなって」とオリジナルな擬音語と手振り盛りだくさんで説明してくれた。私がフンフンと聞いていると、最後に少し照れた顔で「私、何て言っていいか分からないからドヒャーとか言っちゃうの」と言った。そうか、私に伝わったか心配だったんだね、よく伝わったよ、いちばんぴったりの言葉、これからも探していこうね。

 学習支援の場では、子どもの読解力を伸ばす一助となればいいなあと願いながら、日々の生活で私自身の読解力も上げていけたらと思う。大人になっても読解力は向上するし、リーディングスキルテストが満点でなかった私は、何故間違えたかを考えることだって出来る。