隣の席のひと
ボランティア募集のチラシを置かせてもらえるだろうかと、学習支援をしている教室の近くのカフェに寄った。
そのカフェは初めてで、外観から中がどうなっているのかよくわからなかったが、想像よりも広く、ゆったりとテーブルや椅子が配置されていた。休日の午後に訪ねたが、先客は3組、2組はおひとり様で1組は二人連れ、私と入れ替わりで2人が出ていった。友達と来てもおしゃべりが弾みそうだし、一人でゆっくり本を読めそうな席もある。
ボランティアは大学生や若手の社会人を中心に募集しているので、そのような年代の方が来るだろうか、チラシが置けるようなスペースはあるかな、とキョロキョロしながら注文した飲み物が来るのを待っていた。午後の日差しが差し込んで、観葉植物がいくつもあって、近所にあったら本を持って通いたい。
隣の席の女性が辞書らしきものを読んでいたので、迷った末に声を掛けてみた。
「ここはよく来るんですか」
「ご近所の方ですか」
「ボランティアメンバーを募集していて。チラシ、どんな場所に置いたらいいと思いますか」
私は、平均程度に人見知りだと思うが、その方は声を掛けても大丈夫な気がした。少し話して分かったことは、小学生の子どもがいること、隣町に住んでいること、この店には初めて来たこと、子どもの学習支援に興味があること。
私の所属しているNPOのことも知っていて、もう少し若かったらねぇ、生活に合うボランティアが見つかれば、そういうこともしたいんだけど、と言ってくれた。募集チラシを置けそうな場所も一緒に考えてくれた。何の勉強をしているんですか、と聞いたら、家族の体調管理にも役立つし、薬学の勉強をしているのだという。
偶然に隣り合った方が、親切にも一緒にメンバー募集の方法をいろいろ考えてくれて嬉しかった。「話しかけてくれてありがとう」とも言ってくれた。こちらこそです。
年度末・年度始めは、ボランティアの手が足りなくなることが多い。広く、ボランティアをする仲間が増えるといいなと思う。