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【読書会感想】西の魔女が死んだ

 にしじまさんの読書会(オンライン読書会vol.41『現実と物語どう違うのか?』|西嶋 利彦 (note.com))で、「現実と物語」をテーマにどんな本を用意しようかと家の中を探したところ、やっぱこの本、となりました。

梨木香歩『西の魔女が死んだ』

 前回参加した会で『僕は、そして僕たちはどう生きるか』を紹介した影響はありますが(『僕は~』に登場する子が『西の~』にも登場します)、「現実と物語」というテーマを「物語がどう人生に影響しているか」と解釈すると、私にとって梨木香歩著作は重要な位置を占めます。

 この本は平成6年刊行で、私が中学生か高校生の頃に初めて読んだ。その後数回は再読していて、この読書会で紹介するためにまた読み返したのだが、非常に薄っすらーとしたあらすじと印象的な場面しか覚えていなかったけれど、自分の中にこの物語が生きていると感じた。自分の中に生きているというのは、この物語によって私の一部が構成されているな、という感じ(もちろん全部ではない)。
 物語がどう人生に影響しているか、という視点から本を紹介しようと考えたとき、この本を選んだ理由の一つは、自分の中にこの物語があると感じたこと、そしてもう一つが、現実でも「不思議なことを許容して」生きているということを、今回この本を読んで気づかされたことにある。この物語で、いわゆる「不思議なこと」が起こるのだが、それが現実かファンタジーか、その区別は曖昧であり、その曖昧さは私の人生のなかにもあるように思う。私は日々の生活のなかにも、フィクションやファンタジーを見ているのではないか。

 今回の読書会も、あれもこれも読みたい本が増えてしまった。思ったことを言えたり、ほかの参加者の方の心のこもったお話が聞けて、にしじまさんの読書会は毎回楽しい。
 自分の備忘に一つだけ書き置くと、ナオミさんの、娘さんやお孫さんに対する「気づいた自分が教えてあげたい」という言葉。「教える」ということの本質を不意に指し示されて、とても心に残った。
 次回の読書会、「本質」がテーマだそうです。楽しみ!

 前回、読書会に参加した時の。結構気に入っている記事。