見出し画像

それでも、私は書き続けることを選んだ───2023年を振り返る

去年の12月。私は、2023年を振り返る記事を書いていた。ここ数年ほど、毎年の恒例行事のように一年を振り返る記事をnoteで公開している。しかし、書き始めて少しのところで、いちど書くのを止めてしまった。なぜなら、2023年は個人的に暗い出来事が多かったからだ。一年を振り返る記事を書くときは、その一年の自分としっかり向き合うことになる。それをしないと、文章にできない。そうやって、書いていくうちに落ち込んでしまったのだ。

いったい、2023年になにがあったのか。簡単にいうと、2023年は上半期に持病の症状が予想以上に悪化し、病気に振り回され続ける一年だった。また、持病が悪化したせいで文章が書きにくくなり、書くことについて悩み続ける一年でもあった。

そうして、落ち込むのは嫌だからと少し放置していたところ、気がついたら年が明けていた。だが、やはり毎年恒例のことはやりたいものである。これをやらないと本当の意味で年越しした感じになれない。さあ、2023年について、語っていこう。



文章を書くのが困難になった去年の二月

では、去年の二月の話からしよう。去年の二月といえば、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から一年になる頃。そのころ、母がインフルエンザで倒れた。

じつは、私は持病の線維筋痛症と慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)で寝たきり生活をしている。なので、ふだんは母が私の介護をする。そんな母がインフルエンザで数日寝込んだ。急遽、離れて暮らす妹に私の介護などを助けてもらい、私も微力ながら出来ることをやった。そうして、なんとか乗り越えることができたものの、母のためにといつもより無理して動いたせいで頑張りすぎたのか、それがキッカケとなって症状が悪くなり、寝たきり度合いがレベルアップした。

また、それ以降、常に脳が異常なほど疲弊する状態、前よりもさらに強化されたブレインフォグから抜け出せなくなった。それから、文章を書くのがものすごく難しくなり、大変になった。

さて、脳が異常に疲弊した状態・ブレインフォグとも呼ばれている症状はどういうものなのか。たとえば、インフルエンザで高熱になったとき、頭痛がして妙に頭が重く感じて朦朧した状況になると思う。そんな状況下だと、記憶するのも大変だし、何か複雑なことを考えようとするのもつらいし、ふと浮かんだことを忘れないようにメモするのもキツい。それらを無理矢理しようとすると、さらに頭が痛くなる。私のブレインフォグ、つねに脳が異常に疲弊した状態とはそのような感じだと思ってくれると想像しやすい。

じつは、この脳が異常に疲弊した状態は、2022年の8月後半以降から起きている。けれども、2023年の二月に激変した。なんだ、これ。今回のは異常だ。いままでの朦朧度合いが微熱だったとしたら、急遽高熱に上がったぐらいの状況変化が起きたのだ。そのせいか、文章を書きたいと思ってもなかなか形にするのが困難となってしまった。

まず、メールが来てもすぐに返信を打つことができなくて困ってしまった。ふだんなら、Twitterなどの140字ほどの文章ならば簡単に書けるのに、瞬時に文章が降りてこない。ひどい時は140字の文章を書くのに一時間もかかる。しかも、文章を書いたあとは高確率でぐったり寝込んでしまう。なので、朦朧度合いが強くて文章が書けないときは諦めることにした。この朦朧度合いは一日の中で強弱があり、朦朧度合いが弱いときにメールや文章などをまとめて書くことにした。脳にぼやんと浮かんだものを言語化したり、何か物事をしっかり考えようとすればするほど、苦しむ身体。いまもこの記事の文章をそうしたときに書いている。この常に朦朧した状況でどのように文章を書くべきか模索して、なんとか形にする方法を見つけて書き続けたのが2023年の私だった。



車いすに乗るだけで痛くなる去年の夏

2023年の夏。福島第一原子力発電所にたまる処理水の海への放出の問題が何かと話題になっていた頃。そのときの私は食欲がなくなり、体力が落ちて寝てばかりだった。あの異常なほど暑かった夏のせいなのかわからない。けれども、それ以降は食事がまともにとれず、栄養剤の点滴や栄養補助食品などを使って、栄養を摂取するようになった。そして、夏が終わる頃には、車いすに乗るだけで身体が痛くなるようになった。

ある日、電車が遅延した。ティルト式の車いすで電車が動くのをかれこれ一時間待つことになった。だがそれ以来、車いすに数分間乗るだけで、車いすのヘッドや背もたれが当たる上半身の頭・首・肩・背中などに線維筋痛症の激痛が来るようになった。私の身体は一度でも強い痛みのダメージを受けると、似たような痛みが線維筋痛症の痛みとして出てくるときがたまにある。あのとき、遅延で待たされたときの身体の痛みが再現されるかのように、数週間以上経っても車いすに乗るだけで激痛を感じるようになった。これでは、あまりにも身体が痛すぎて車いすに乗れない。何かしら対策をとらないと、外に出掛けることができない。

なので、母に車いすのヘッドなどを改造してもらい、車いすと私の上半身のあいだに薄めのクッションを入れてもらった。

左が後ろから車いすのヘッドを撮った写真。
右が改造した車いすを前から撮った写真。赤い柄のやつがクッション。

そしたら、痛みが和らいで前と同じように乗ることができた。対策ができてほっとしたものの、前よりも痛みが強くなった。もう、この車いすを改造しないとまともに乗れないほど症状がひどくなったのか思うと、余計に悲しくなった。これも2023年の出来事だった。



そして、書くことと真剣に向き合った去年の秋以降

 2023年夏までは病気に振り回されたものの、秋以降は徐々に体調の波が落ち着くようになった。ジャニーズ事務所の問題で賑わっていた秋頃。少し余裕が出てきた。そこでやっと、去年の二月に起きた「常に脳が異常なほど疲弊する状態・強化されたブレインフォグの文章が書きづらい状態」に対して、真剣に向き合うこととなった。

去年の二月にそうした状況になってから、とにかくふと浮かんだ言葉を出来る限りメモをするようになった。言葉が浮かぶタイミングが少ないのならば、ふと言葉が浮かんだときにメモすればいい。そうして、メモ帳アプリに書きまくる。そこから、使えそうなやつを箇条書きにして、なんとかまとまった文章を作る。この方法で、メールからnote記事までをあらゆる文章を書いていた。しかし、その書き方では簡単な文章なら書けるものの、しっかり計画を立てて書くような、引用や参考文献などが必要で複雑な文章などが書けない。それだと、複雑な文章が書けないため、文章を書く内容がかなり制限される。なんとかして、いまの症状でも複雑な文章を書けるようにするために、新たな文章の書き方を見つけなくては。

けれど、どうしたらいいかわからない。この問題を解決する方法なんて、おそらくどこにもない。秋頃の私は、病気が良くならない限り、無理なのではないかと絶望的になっていた。それでも、書き続けることが大切だと信じて頑張っていた。なんとか、現状を打破したい。朦朧とした状態で新たな文章の書き方を考え続ける。そこで、ヒントを得ようと、動画プラットフォームシラスにて配信されているさやわかさんのカルチャーお白洲の理論編のアーカイブ動画をじっくり見直すことにした。

私は創作でつらくなったときや困ったときに、さやわかさんのカルチャーお白洲を観る。さやわかさんは物語評論家でライターでもあり、ゲンロンのひらめき☆マンガ教室で主任講師もしている。そんなさやわかさんのカルチャーお白洲では、最新のカルチャーから創作で必要なノウハウや知識・理論や歴史まで教えてくれる。なので、私はカルチャーお白州を創作の参考書のようにして、過去に配信された動画を定期的に観ているのだ。

もしかしたら、今回の「つねに脳が異常なほど疲弊しててブレインフォグのような文章が書きにくい状態でも、複雑な文章を書けるようにする」という難題に関しても、なにか現状を抜け出すためのヒントがあるかもしれない。そうして、何日間かにわたってカルチャーお白洲のアーカイブを見直し続けた結果、自分の心の奥深くで抱えていた問題に気づいた。

すると、その気づきから、いまの書き方での問題点がクリアになり、改善策が浮かんでくる。こうすれば、いいのかもしれない。そして、ついに先月、しっかり計画と練ることも可能な新たな文章の書き方を作り出して、note記事を書いた。この記事も、新たな方法で書いている。じっさいには何ヶ月か経たないと上手くいったかどうかわからないが、この方法なら常に脳が異常なほど疲弊する状態・強化されたブレインフォグでも、あまり負担をかけずに複雑な文章を書き続けることができそうだ。

とくに、恋愛やアセクシュアルの記事を書くときはちゃんと目標を設定し、計画を立てて書かないと難しい。この新たな方法で初めて書いた記事が、年内最後に公開した年末のアセクシュアルの記事だった。やっと一歩踏み出せた気がして、ものすごく嬉しかった。



さいごに───それでも、私は書き続けることを選んだ

2023年はとにかく病気に振り回されて悩む一年だった。一年でこんなに病気が悪くなると思っていなかった。病気が悪化すると、強制的に変化を要求される。そのたびにどうするべきか考えて、粛々とできることをやっていった。どんなに病気に振り回されて嫌になり落ち込んでも、諦めずにやり続けた。人間は、そもそも不安定で変わり続ける生き物。泣いたって喚いたって、目の前のいまの私の身に起きた現実に対して受け身のままでは、解決しない。だから、臨機応変に対応していく。その度にどうするか考えて、これだと思うものを信じて選択していく。病気はわかりやすく、常に変化と選択を求める。そして、そのときは、突然向こうから勝手にやってくる。そうして、いままで病気に散々振り回されながらも、病気と共に生きている。

でも、なぜそこまでして書くのか。こんなにも線維筋痛症などの病気が悪化しても、寝たきりになっても、無理して書き続けるのか。患者なのに病気を治すことを放棄しているのではないか。そのように思うひともいるかもしれない。しかし、私にとって何よりも書くことがものすごく大切なのだ。もちろん、いくら私の病気が治療法がない病気とは言え、症状を良くすることも重要なことだ。だが、症状を良くすることだけの人生にしたくない。病気はあくまでも私の一部であり、病気が私のすべてではない。これは、人生をどうやって生きるかの問題。私はそこで、のしりことしての活動を重視することにした。人生においてどれを選択するか、なにを犠牲にするか、どれを大切にするか。病気はどう生きるかを問い続ける。

このまま、何もせずに寝たきり生活で人生を終わらせたくない。こうして言葉にしていくことで、ほんのわずかでも何かを変えられるキッカケになれるならば。のしりことしての活動が、私にとっての生きがいなのだ。

きっとまた、今年も病気に振り回されると思う。もしかしたら、去年と同様に今年も、いまよりもさらに文章が書きにくくなるかもしれない。とくに、この記事を書いている冬は調子が悪くなりやすい。それでも、私は書いて生きる。これからも書き続けていく。

2024年もよろしくお願いします。





いつも応援してくださる皆様へ

いつも応援ありがとうございます。記事の感想やサポートをいただけたり、すごく嬉しいです。また、良い意味でのいいねや拡散など、ものすごく励みになります。

と、なんか素っ気ない文章ですみません。
いつもいつもありがとうと思っているのに、感謝の気持ちが定型分のようになってしまう。むむむ。

今年もなにかと色々とあると思いますが、引き続き応援よろしくお願いします。

のしりこ





===以下、お知らせなど===


▷▷公式LINEの通知を使ってnote記事などの更新のお知らせを受け取れます。友だち追加はこちら

▷のしりこ 公式サイト
https://ricrck.com

▷Twitter
https://twitter.com/ricrck

▷Podcast『のしりこの旅のあいまに』
https://lit.link/ricrck



この記事が参加している募集

振り返りnote

【サポート募集中!】 普段は難病のせいで全く働けず、殆ど寝たきり状態のなかで活動しております。もしよかったら、サポートしてくださると心がウキウキでキュンキュンです。猫のトラも喜びます。SNSなどでサポートをいただいたことは触れますが、名前などは出しません。よろしくお願いします!