見出し画像

レシピから自由になる為のレシピ。その4 「レシピ本を読み解く。」

明けましておめでとうございます!
年末の30日に書いた「レシピから自由になる為のレシピ、その3、料理は慣れ。」がnote編集部のお気に入りマガジンに掲載されました!皆様に知っていただく機会を与えてくれた事を感謝いたします。今年もどうぞ宜しくお願い致します。

レシピの行間に学ぶ。

今回は七ヶ条から少し離れて、料理本をどう読み解くかをお伝えしてみようと思います。料理がわかってくるとレシピは参考やアイデアをもらう程度の物に変わります。そのレシピを咀嚼して自分の料理に落としこめるという訳です。実際どのようにレシピを参考にして、どのように作るのか、そもそも文字にできるのか不安もありますが(笑)チャレンジしてみたいと思います。

今回は落合務さんの『ラ・ベットラのシークレットレシピ』を参考に紐解いてみましょう。

落合務さんは日本のイタリアンのシェフの第一人者。予約の取れないレストラン『ラ・ベットラ』のオーナーシェフです。とってもいい本で、ボクは本当に勉強になりました。中古で198円くらいで売られているのですね。これは迷わず買いです。

この本のすごい所は最初に『レシピの行間に隠されたうまさの秘密』と題して、オーソドックスなイタリア料理の大事なポイントを優しく丁寧に教えてくださっている所です。冒頭の文章はこんな風です

前略
そのおいしさを具体的に一つあげるとしたら、オーソドックスな味をしっかり仕上げることだ。例えばスパゲティボンゴレ。「ラ・ベットラ」でボンゴレを食べた魚河岸の貝を扱う人がその味に感激。自宅で再現しようとした。もちろん仕事柄、旬のとびきり上等なあさりを使って。
「でもダメなんだよなぁ、ボンゴレなんて簡単でしょ?けど、どうしてもあの味は出せないんだよ」

中略

なぜだろう。
実は数行でおわってしまうレシピの行間に、うまさの秘密がいっぱい隠されているのだ。知ってるつもりでやり過ごしていたことが大切なポイントであったりするのだ。
そんなレシピの行間に隠されたうまさの秘密、それがこの章のテーマ。「ラ・ベットラ」の手の内を、落合シェフが明かしてくれます。

つまり、レシピは参考にしかならないと。シンプルなレシピはその行間に書ききれない大切なコツのようなものが詰まっているという事です。この章では、ペペロンチーノやオリーブオイルの使い方、ボンゴレや煮込み料理の乳化、出汁や旨味、パスタの塩加減と茹であげるタイミングなど、コツやポイントが書かれていきます。

では、実際に行間に隠れている大切な事って何?そして、料理を知っている人はどうやって読み解いているのかという所にズームアップして解像度をあげていきましょう。

レシピの行間を読め。

せっかくなので「ラ・ベットラ」シークレットレシピの中からパスタと肉料理のふたつを取り出してみたいと思います。パスタ料理の中からはスパゲッティ・カプレーゼ。肉料理の中からは豚ロースグリルのバルサミコソースをピックアップします。

スパゲティ・カプレーゼ

材料1人分
スパゲッティーニ  80g
トマトソース    100cc
モッツァレラ    50g
バジル       5〜6枚
パルメザンチーズ  大さじ1
塩         適宜

1 スパゲッティを茹ではじめる。
 フライパンでトマトソースを温める。
 熱いソースにスパゲッティ、細かくちぎったモッツァレラ、刻んだバジルを加え、手早く和える。チーズが冷たいのでチーズを溶かす感じでちょっと火を入れ、仕上げにパルメザンチーズ をざっと混ぜる。

なかなかにシンプルなレシピですね。。この本は最初にパスタのコツやポイントをガッツリやっているので、その後のレシピはとてもシンプルなものも多いです。

材料編。

では材料から行きましょう。
まずスパゲッティーニ80gとあります。スパゲッティーニは1.5~1.6mmくらいのパスタでオイル系やトマトソースのややあっさりしたパスタに合います。80gはだいたいパスタのレシピではよく使われる量ですが、家庭では少ないかと思われます。もちろん人によりますが100〜120gくらいが良いかなと思います。レストラン(お店)では80gくらいで出す所が多いですが、それは他の料理もオーダーすることが多いから。パスタだけでお腹いっぱいにしては、ねぇ。商売ですから。。


次にトマトソースとありますが、これは事前に本の序盤でトマトソースに触れている為。とはいえ、

簡単です。EVオリーヴオイルでにんにくを軽く
炒め、潰したトマトの水煮缶を入れ、2/3くらいに煮詰めて軽く塩で味を整えるだけ。

としか書いていない。もう少し解像度をあげると・・・

EV(エクストラヴァージン)とありますが、ピュアオリーヴオイルで十分です。値段が全然違いますから。大さじ1程度。EVは仕上げで使った方が効果的です。火を入れてしまうと香りも飛んでしまいますから。

「ニンニクを軽く炒め」
炒める場合はニンニクをみじん切りにするといいでしょう。フライパンにオイルを入れ冷たい状態でニンニクも入れます。それから火にかける。ニンニクが泡立ちはじめるまでは中火、泡立ちはじめたら火を弱くして軽く色付くまで炒めてください。

「潰したトマトの水煮缶を入れ」
トマト水煮缶をボールに入れて手で潰します。約200g市販の缶の半分の量です。

「2/3程度に煮詰めて」
トマトを入れるとフライパンの温度が一気に下がりますからやや火加減を強めます。煮詰めるのはトマトの旨味を凝縮するためと、トロミをつけてパスタにからみやすくする為。逆にさらりと仕上げたければ煮詰めを早めに切り上げればいいんです。ただし旨味もサラリとしてしまう為、味が少しボヤけてしまう事もあります。

「軽く塩で味を整える」
ここで軽くと言っているのは、後にパスタと合わせるときに、もう一度味見してバランスをとる事ができるので、ここでバチっと味を決める必要がない為かと思われます。一度入れた塩は取り除くことは出来ないのでしょっぱくなり過ぎないように気をつけましょう。

さぁ、これだけの短いレシピの中にも美味しさの秘密がたくさん隠れています。まさに料理は知恵ですね。文章にすると長いですが、経験を積み重ねて行くと瞬時に体が動くものです。トマトソースだけでもたくさんの作り方があります。日本でいえば味噌汁のように家庭によって違うでしょうし、お店によっても違うでしょう。でもこの簡単トマトソースで十分美味しくトマトパスタを作れるので、これは覚えておいて損はないですよ。

さて戻ります。パスタの量が増えたのに合わせてモッツァレラ・バジル・パルメザンも少し増やしましょう。でも計ることはないです。なんとなく「こんぐらいかな」と勘を働かせていきましょう。

作り方編。

では、作り方にいきます。

1 スパゲッティを茹ではじめる。
多分にはしょられてますね。まるでもう解ってるよね?と言っているよう。パスタを茹でるにはお湯に塩を入れないといけません。塩加減はお澄ましより少し濃いくらい。これはこの本から学んだことです。これで美味しく作ってきたので間違いありません。レシピから自由になる為に毎度味見してこの塩加減を体得してしまいましょう。肉料理でもパスタでもこの下味がないとボケた味になってしまいます。
お湯はたっぷり目に、パスタをバラしながら入れたらくっつかないようにトングなどでかき混ぜます。火加減はお湯の中でゆらゆらとパスタが漂っているくらいです。沸騰したままだとパスタの表面のざらつきがなくなって、ソースがうまく絡まなくなってしまうという理由です。ここまでが「茹ではじめる」の中にある隠れた情報です。

2 フライパンでトマトソースを温める。
ここは先ほどのトマトソースのところで話したソースを温めるだけです。パスタが茹で上がるタイミングに熱々になっている事が肝心です。そして、もう一つ。パスタを入れる前か、茹でている間にモッツァレラやバジルの用意をしておきましょう。

3 熱いソースにスパゲッティ、細かくちぎったモッツァレラ、刻んだバジルを加え、手早く和える。
「熱いソースに」ここ重要です。パスタをソースに和えるときには火を入れません。「炒める」とは違うんです。アツアツのソースにアツアツのパスタを入れて手早く和える。パスタを作る一連の流れの中で、ここの工程は一番緊張感のある大事な工程です。麺が伸びてしまうし、冷めてしまうからですね。
「スパゲッティ、細かくちぎったモッツァレラ、刻んだバジルを加え、手早く和える。」
パスタの茹で加減は書いてませんが、どうでしょう?よくアルデンテと言いますが、歯ごたえが程よく残っている状態ですね。でもこれは好みです。例えばお年を召して歯が弱くなった方や、まだ小さなお子さんには柔らかく茹でたいし、例えば博多ラーメンのお店に行ったりすると麺の茹で加減を聞かれる事もありますよね?(バリカタとか)。アルデンテでなくてはならないという事はありません、あくまで提案です。この「レシピから自由になる為のレシピ」は、こうでなくてはいけない的な事柄からの脱出の提案でもありますからね。とはいえボクも歯ごたえ派なのですが。パスタを買うと茹で時間の表示があります。ソースに絡める時間も含めてその表示時間で済むように考えればいいと思います。ので、1〜1.5分ほど前に湯から上げてソースに入れるといいですよ。そして事前に用意したモッツァレラとバジルを入れます。モッツァレラチーズは特徴的として、火を入れてすぐは柔らかく溶けて美味しいですが、時間が経つとかたくなってしまうという理由でこのタイミングで入れるのがベスト。バジルも香りを際立たせるためにはここがグッドタイミングです。フライパンとトングまたは菜箸を同時にガシャガシャと回しながら手早く和えましょう。

チーズが冷たいのでチーズを溶かす感じでちょっと火を入れ、仕上げにパルメザンチーズ をざっと混ぜる。
この文の前に「基本ここで火は当てませんが、チーズが冷たいので...」と目では確認できませんが書いてあります。モッツァレラチーズが十分とろけていれば必要ないかもしれません。が、冷たいモッツァレラが入るとフライパンの中の温度全体が下がるので、少し火を当てないとお皿に盛って食べる頃には少し冷めているかもしれません。仕上げにパルメザンを入れるのは、このパスタはとてもシンプルなトマトソースと、あっさり優しいモッツァレラのパスタなので、パルメザンチーズ を仕上げにいれて、少しコクと旨味をプラスしバランスをとる為かと思われます。以上

行間にある隠れた美味しいコツを、ボクがわかる範囲で書き出してみました。最後に一応自分で作るときの流れを書いておきますね。

1. パスタを茹でるためのお湯を沸かす。

2. 沸かしている間にパスタの軽量、ニンニク、モッツァレラのカット、バジルの用意をする。

3. お湯が沸いたらパスタを入れ茹でている間にトマトソースを作る。

4. 茹で上がったら手早く和えて味を整えお皿に盛る。食べる

この流れで無駄がないと思います。多分20〜30分くらいで食べ始めることが出来ます。

如何だったでしょうか。行間に隠れた美味しさの秘密、コツ。少しでもお役に立てたら嬉しいです。お肉編はまた次回にします。どうぞよろしくお願いします。

ボクのYouTubeチャンネルのパスタ動画です。↓↓↓
よかったら覗いてみてくださいませ!!

この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?