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レシピから自由になる為のレシピ。その11「切る」後編。

なにかと忙しい時代です。料理なんてする時間ないという声もあるでしょう。コンビニ弁当もあるし、冷凍食品もあるし、レトルト、カップラーメンでお腹を満たすこともできます。料理しようたって、時間がない中でクックパッドで時短レシピ、レンチン、簡単レシピを検索するのは当たり前だと思います。

そんな日々の中で、こんなに面倒なボクのnoteを読んでくれてありがとうございます。感謝しています。ボク自身、料理をはじめて5〜6年はレシピを頼りに料理をしてました。でも納得できなかったんです。上手くできたり、できなかったり。なんで上手くできなかったのか解らずに、レシピのせいにしてました。
アレ?と思ったのは、料理屋に入ってからです。レシピがなかったんです。同じ料理でも先輩によって言うこと違うし、そりゃもう大混乱でした。混乱したままエネルギーを失い、そのお店からは逃げ出すことになるのですが。。

でも料理はレシピじゃないんだなという事だけはハッキリわかりました。ちょいと痛い目に遭いましたが、レシピから自由になって料理を楽しみ始めたのはその頃からです。料理は楽しいということを、ボクのように痛い目に遭わず、この「レシピから自由になる為のレシピ」で、なんとかお伝えする事はできないだろうかと考えています。

当時、そんな風に考えてくれるやさしい先輩が1人でもいたらなぁ(笑)


隠し包丁。

前回、おでんの大根は大きく切ってあるけど、あれはお箸で簡単に切れるのが前提になっていますという話をしました。和食は基本的に一口大以下の大きさに切るのですが、あんな風に大きく切って煮る場合、大根に十字に切れ込みを入れたりします。これは火の通りを早めたり、味を染み込みやすくしたりする為です。

他にも魚を焼いたり煮たりするときに、側面に切り込みが入ってるのを見たことがあると思います。魚は火を入れた時に、身より皮のほうが縮みます。火の通りを均一にする為や、味を染みやすくする為以外にも、皮が破れたり、反り返るのを防ぐという理由もあるのです。

「隠し包丁」という言葉もなんかカッコいいですよね。


繊維に沿うか、断つか。


野菜でも、お肉でも、魚でも繊維があります。繊維が走っている方向に沿うのか、断つのかで食感に違いが出てきます。例えば同じ牛肉でも、チンジャオロースなんかだと繊維に沿って切るけど、ステーキは繊維を断つように切ります。チンジャオロースのように細く細かく切るとき、繊維を断つと歯応えがなくなってしまうし、炒めている間にバラバラと挽肉のようになってしまうかもしれません。ステーキはある程度厚みがあるので、繊維に沿って切ると硬く感じてしまうという訳です。

野菜でも同じです。歯応えを残したいときは繊維に沿って切って、柔らかくしたいときは断ちます。例えばスープの具にするんでも、繊維に沿って切るとスープ側に旨味(出汁)が出にくくて、断つと旨味がスープのほうに出やすかったりもしますし、柔らかく仕上がります。

お刺身は基本的には繊維を断つように切ることが多いと思いますけど、例えばアジのたたきなんて、繊維沿って切ると、コリコリして美味しいんですよ。一度お試しあれ!


切らないという選択。

切るというのは、組織を壊すことでもあります。その壊れたところからどうしても旨味は逃げるんです。お肉でも大きな塊で焼いて、休ましてから切った方が旨味も逃げず美味しく食べることができます。
野菜も切って茹でたりすると水に旨味や香りが逃げます。例えば、時間はかかりますが、人参をそのまま茹でてから切って食べると、とても美味しいです。カブをホイルに包んで、焚き火に入れて焼き芋のように焼いて食べると、驚くくらい旨い。
他にもハーブなんて刃物で切らずにちぎった方が香りがよかったり、ニンニクは潰して香りを出したりすることもあります。

つまり、どうしたら美味しいかと探索していくと、切らないという選択も見えてくるんです。


キャベツの千切りを薄く切るコツ。

さてさて、「切る」について書き始めたら割と長くなってしまいました。ここまで読んでいただいてありがとうございます。前回の記事でコメントをいただきました(まさやんさん、ありがとうございます!)。
「素人でも均等に切れるコツを教えて!」という内容でした。一番は怖い先輩が目を光らせる中で、毎日切るというのがコツだと思うのですが(苦笑)、一つだけ思いついたので写真を用いながらお伝えします。

キャベツの千切りって薄ーく均等に切るの難しいんです。なぜかと言うと、キャベツって大きいので半分にしても、まな板から高さがありますよね?高いと切るのが難しいんです。だったら低くすればいい。数枚剥がして重ねてから切ると薄く均等に切りやすいですよ

玉ねぎも薄く均一にスライスするのは意外と難しいです。ここで写真を交えて説明してみようと思います。

これはカレーを作るために切っているところ。今回のカレーでは玉ねぎがトロけて欲しいので、繊維を断つ方向でなおかつ薄く切っています。まな板から高さがあると切りにくいので、

このように半分にして、まな板からの距離を近くしてあげればとても切りやすくなります。ちなみに玉ねぎの原型がなくなる事を目指した料理にしか使えないですよ、念のため。

こんな風に切りづらい原因を排除してあげればいいのかなと思います。少しお役に立てたでしょうか?コメントで反応頂けると嬉しいです。どうぞ宜しくお願いします!

コメントで質問いただければ、微力ながら知っている限りの事は、お答えしたいと思います。どうぞお気軽にコメントください!


刃物は歯なのだ。

以前に書いたnoteです。切り物をしている時は噛んだときの食感を想像をしながら切っていることに気づいたという話。
結局はこれに尽きると思います。食べるときの事を想像しながら切る。それができるようになれば「切る」ことは理解したことになるでしょう。
そんなこと料理人だからできるんだろ?って思うかもしれません。その通りだと思います。でも、ボクはなにかの縁でたまたま料理に莫大な時間を費やして来たにすぎません。皆さんが毎日、貴重な時間を使ってやっている仕事の感覚を簡単に得ることはボクには出来ないです。

どっちがいい悪いということではなく、だったらシェアしたいなとボクは考えます。シェアし合えたり、チカラを合わせたり出来たら一番いいなと思うんです。
だから教えてほしいです。だから伝えたいと考えます。うまく伝えられるようになりたい。今はまだ途上中です。とにかく書いてみています。

面白いもので、切ることについて書いていたら切り方を意識しはじめて、丁寧に切るようになってきました。書くことは自分を見つめ直すことでもあるんですね。

次は「焼く」について書いてみます。

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