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レシピから自由になる為のレシピ。その7「塩と火は入れすぎると戻せない。」

塩使いは魔法使い。

塩って不思議な存在です。霊的な印象すらあります。お葬式から帰ってきたら塩を肩にかけたりしますもんね。玄関に盛り塩とか、無礼な客を追い出して「塩を撒いとけ!!」とかね。
そういうチカラもあるんでしょうが、料理していて感じるんですよ。塩って魔法の杖だって。素材から水分をひき出したり、その割に魚の水分を保たせたり。(え?真逆ですけど?ってなりません?)食材を腐らなくしたり(悪魔的!)、汁ものを味見しながら味付けしていって、味が決まった時に急に美味しさがボンって目の前に現れるあの感じ。完全に魔法ですよ。だいたい塩をすると美味しくなるっていう事からして不思議。

塩加減は本当に大事。そこまできっちり調理して積み上げてきても、最後の塩加減で台無しにすることも可能なほどに。

塩と火は入れすぎると戻せない。 塩編

料理をやる上での鉄則。ここは本当に毎度ビビります。以前お店をやっていた時も塩加減と火の入れ具合だけは毎日ビビってました。鍛錬と微調整の日々。例えば汁物、スープ、煮込み、カレー、パスタなんかは味見で調味できますが、魚や肉に塩をして焼く、または焼いてソースをかけて提供する料理はやっぱりビビる。でも塩に関しては、それくらいの心持ちで丁度いいとも思います。ま、毎日やってると感覚は研ぎ澄まされて来ますが。お客さんの反応をいつでもみてました。しょっぱ過ぎやしないか。塩が薄くはないか。外食するともう一塩足らないんだよなという事もよくあります。バッグに塩常備してます、ボク。その塩一振りで劇的に美味しくなったりしますから。

お店の一発勝負とちがって、家庭ではそんなに緊張感をもって塩加減に挑まなくてもいいじゃないでしょうか。だって足りなければ食べてる時に食卓で足せばいいだけですから。だから、薄めかも?くらいで仕上げといて、あとは食べたときにそれぞれかけて食べればいいと思います。なんせしょっぱくなってしまうと戻せないので、この方法なら気楽だし、失敗知らずだし、例えば家族に作った食事なら子どもにとっても味付けを学ぶ機会になるんじゃないかと。実際わが家でもコレを良しとしていて、息子も自分にあった味付けを日々学んでいます。

最後にもう一度。入れ過ぎたら戻せませんよ。大いにビビってください。

旨味と塩のオイシイ関係。

以前こんな事がありました。まかないでパスタを作ったら少ししょっぱかったんです。でもパルミジャーノチーズが合いそうなパスタだったので、チーズの塩分が足されて、もっとしょっぱくなっちゃうけどまぁいいかと、かけてみたんです。するとしょっぱくなるどころかマルっと塩気もおさまって、とても美味しいバランスになったんですね。これは旨味が足りなかったんです。旨味は塩の角を落として、塩は旨味を引き立てるので、パルミジャーノが持ってる旨味でバランスが取れたんです。例えば醤油と同じ塩分濃度の食塩水と、醤油を比べると食塩水の方が塩辛く感じます。なぜかと言うと、醤油は発酵によって旨味成分が強くなっているからなんです。
水気のある料理は、この旨味と塩のバランスがとても大事です。パスタ、カレーや煮込みで味気ないのは、大抵どちらかが足りません。味気ないからといって、塩ばかり足しても美味しくはならないんです。旨味(出汁)が足りないのか、塩気が足りないのか見極めましょう。豚汁なんてお肉も野菜もたっぷりだから出汁は使わないのです。けんちん汁なんかはお肉を使わないので鰹出汁で作ります。

旨味をたくさん持っているのは動物性のものですね。乾物(鰹節、煮干し、ビーフジャーキーetc)または骨付きのお肉、魚はとても多く旨味を持っています。
植物性のものでは、玉ねぎ、にんじん、セロリ、トマト、ニンニク、きのこ、干し椎茸など。それと油分も旨味を持っています。オリーヴオイル、ごま油なんかは旨味も強いです。これらを考えて、やってみて、学んで、上手く組み合わせて料理を楽しみましょう。

火入れ編。

お肉を焼いていて火が入っているのかわからない。よく聞く声です。確かに分かりづらいですよね。料理人のように毎日毎日ガス台の前に立って焼いてればわかって来ますが、家庭でたまに大きめのお肉を焼いてもわからなくて当然です。
料理人は焼いているお肉を指で押して、その弾力で確かめたりしています。生のお肉を押してもはね返りはありませんよね?焼けてくると弾力が出てきます。これは経験を積まないと分かりません。あとは竹串を数秒刺して抜き、その竹串を下唇の下のほうに当てて確かめたりもします。これも何度か経験しないと分からないか。でもみんな最初は分からなくて失敗して怒鳴られて、怒られて、ときにはフライパンが飛んで来たりして身につけたんですよ(笑)一応やってみてください。判断材料にはなるし、10回もやってたら少しわかってくるはずです。

他にも解決方法はあります。例えば鶏肉なら、胸肉は火が入りすぎるとパサパサになってしまいますが、モモ肉は多少火が入りすぎても、あまりパサついたりしません
唐揚げとかも分からないですよね?分からなかったら一個切ってみればいいですよ。だいたい同じタイミングで入れた唐揚げの中から一番大きめの物を切って確かめて火が入っていれば、それより小さいのは火が入っています。厚切りのお肉も火が入っているのか怖かったら、切ってお皿に盛り付けるようにすれば、切ったときに確かめられます。入ってなければもう一度フライパンに戻せばいいんです。
他のお肉でも(魚でも)、一箇所めくってみたりして確かめる方法もありますよ。確かにそこから肉汁や旨味が出てしまったりしますけど、何もレストランでお客様に出す訳でもないんですから大丈夫です。やってみて、食べてみてを繰り返していたら火の入れ具合も自然とわかってきます。

焼き締めても美味しいんです。

例えば焼肉に行って、お腹いっぱいになって来て放っておかれてカリカリに焼かれたお肉とか。ホットプレートで隅の方に追いやられて焼きしめられたエノキなんてすっごい美味しかったりするんですよ。ゴゲてなければ。
これは水分がスッカリ抜けきって旨味だけが残ってる状態(言わばジャーキー)。しかもカリカリクリスピーな食感と香ばしさとで美味しさ倍増してるんです!ちょこっと塩して食べてみてください!はやく!美味しいから!
つまり火入れの場合、ジューシーであることだけが美味しい条件ではないんですね。知っていて、狙って料理できれば、それはもう料理名人ということなんです。

それに、家庭料理はバラつきがあっていいと思うんですよね。この間美味しかったのに今日はイマイチとか、今回は焼きすぎた、今日はジューシーとか。疲れ切ってたり、いい日だったり、落ち込んでいたり、天気が良かったり雨が降ってたり、寒かったり、暑かったり。その日その日で微妙な変化があって、味の感じ方も、味付けの感覚もバラバラなのは当たり前だと思います。家庭料理はそのほうがドラマチックでいいと思います。

※最後までお読みいただきありがとうございます!

この「レシピから自由になる為のレシピ」では、できるだけ皆さまが気楽に身構えずに、しかし料理が身につくようにと書いているのですが、何せ文章に関してはドのつく素人でございますので、もし何か「ココこんな風にしてみたら読みやすいかも」や、「コレってどうゆうこと?」など、料理に関する質問や書き方の提案などありましたら、どしどしコメントして頂けると嬉しいです!自分が解る範囲でお応えできたらいいなと思います。どうぞよろしくお願いします!!

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