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ノスタルジック京都:拉致問題が他人事と思えないのは...

北朝鮮の拉致問題が遅々として進まないことにもどかしさを覚えます。2002 年に5人の拉致被害者が帰国されて以降、被害者は一人も帰国していません。そんな中で思い出すのが大学時代の友人のことです。

京都の大学に通っていた友人と私はたびたび一緒に旅行しました。友人は実家を離れ大学の近くで下宿をしていました。時は1970年代、「アンノン族」の時代です。おしゃれでチャーミングな彼女はキャンパスでも目立っており、時折り雑誌の読者モデルに取り上げられていました。キャンパスでも写真を撮られることがあり、プロフィールとともに写真を雑誌に掲載されていました。いっしょに旅行した時も「写真を撮らせてください」と頼まれることがありました。(もちろん頼まれるのは私ではなく彼女です)今なら警戒しますが当時はそんな時代ではありません。彼女も撮影を気軽に受け入れていたようです。

そんな彼女が夏休みに実家に帰省したとき地元の警察から連絡がありました。密入国で捕まった北朝鮮国籍の男が所持していた手帳に日本人のリストがあり、その中に友人の名前もあったというのです。実家の住所と電話番号も書いてあったそうです。

にわかには信じられないことですし、現在だったらまず警察の連絡そのものを疑うでしょう。警察と言まれてもそのまま信じてはいけないのが今の時代です。当時でも彼女と家族は最初は信じませんでしたが、真偽を確かめるため揃って警察に行きました。そして手帳の話が事実であることを知ります。リストには他にも多数の日本人の名前が書かれていたそうです。

京都に戻ってからもしばらくは用心して生活していましたが、次第にそのことも忘れていったそうです。結局、彼女は事件に巻き込まれることなく無事に大学卒業し、卒業後は地元に戻り就職しました。

拉致事件が多頻したのはちょうどその頃です。横田めぐみさんが拉致されたのもちょうどその頃です。友人と私は日本海側の町を旅行することもありました。被害者の中には大学生だった人もいます。誰もが被害に遭っていたかもしれないと改めて思います。拉致問題が他人事ではないと強く感じます。



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