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外からは見えない活動のご紹介⑤逃げられないにも理由がある

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「もし被害に遭ったら、すぐに逃げればいい」という考えや、「逃げないのは、一緒にいる方が楽だからでは?」と思われている人も多いかもしれません。しかし、実際には「逃げないのではなく、逃げられないのかもしれない」ということがあります。被害者は主に女性であることが多いので、ここでは加害者を男性と仮定して話を進めます。

被害者や加害者、そして一般の人々に共通する誤解があります。

まず、「男を見る目がなかった」という誤解です。加害者は外見上は非常に良い人が多く、交際中にその二面性を見抜くのは難しいです。加害者は特別な人物ではなく、外では礼儀正しく、常識的な人間として社会に溶け込んでいることがほとんどです。彼らの本性は家庭という閉じられた場所で現れます。彼らの魅力的な外見によって、離婚調停の調停員や被害者側の弁護士さえも騙すことができる強者も存在します。

次に、「被害者にも悪いところがあるから」という誤解です。被害者も同様に「私にも至らないところがあるから」と口にします。妻、母、女性として、自分が能力不足だとされ、「怒らせるお前が悪い」「なぜできないのか」と非難され続けた被害者は、自分にも原因があると考えるようになります。

さらに、「よく話し合えばいいのに」という誤解です。話し合いはコミュニケーションの一形態です。コミュニケーションはキャッチボールに例えることができます。勝負をしているわけではないので、相手が取りやすいボールを投げ、相手もまた取りやすいボールを投げる、自分の意見を伝えつつ相手の意見も尊重する、「自分はこう思うけれど、あなたはどう思う?」というやり取りが話し合いです。しかし、DV加害者は常に自分だけが正しいと考え、自分の意見を押し通すことしか考えません。そのため、どんなに取りやすいボールを投げても、相手は受け入れず、逆に攻撃したり、自分だけがボールを投げつけたりします。話し合いは成立しません。これが「勝ち負け」の状況であり、加害者は常に勝ち続けるのです。被害者は何度も何度も話し合いを試みますが、話し合いにはなりません。そして結局は「従う」しか選択肢がなくなります。

被害者は、心理的に制約された状況に置かれています。
DVの特徴として、暴力が行われた後に加害者が優しくなる期間があると言われており、これが繰り返されることで被害者は抜け出しにくくなります。被害者は、加害者が優しくなる時期に「変わってくれるかもしれない」と期待し、DVのサイクルから脱することが難しくなります。これにより、被害者は学習性無力感と呼ばれる状態に陥ります。自身の行動が結果をもたらさないことを繰り返し経験することで、被害者は無力感を感じるようになります。健全な思考力を失った被害者は、逃げることへの恐怖感や経済的な不安、子供の転校や進学に伴う不安などから、自分が我慢すれば家庭を維持できると考えるようになります。

妻や母は家族のために全力を尽くすべき存在であり、夫が家族の中で大黒柱とされ、妻は夫のケアをするという考え方や、夫が妻に暴力を振るうのはある程度は仕方がないという社会的な通念、また、男女の経済的な格差により、妻の収入が少ないという問題など、個人的な問題として片付けられない構造的な課題が大いに関与していることが言えます。

DVは社会問題の1つです。

心身ボロボロになる前に、相談できる環境が欲しいですね。



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