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玉の輿に乗るはずが【超ショートショート】

『やった、玉の輿の縁談が来た!
 今のうちに、便利だったアイツは切っておこうっと』

と男に別れを告げた。

スマホもブロック、これできれいさっぱり。

それから毎日、アイツから「捨てないで」とすがる手紙が来る。

部屋の中に放り出して置いたが、なにしろ毎日便箋9枚が届くから、どんどん溜まっていく。

紙ゴミの日に捨てようかと思ったが、わたしの名前が書いてあるし内容もマズい。


結婚式の前日、「面倒だけど、これもいい女の証明みたいなもんか」と、鼻歌まじりにまとめてシュレッダーにかけた。

その夜、細切れのカサカサが45リットルの透明ビニール袋から這い出して、眠っていたわたしを取り囲み、蟻地獄みたいにズブズブと飲み込んだ。

落下したその先で、歓声が響く。

#超短編小説


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