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映画『逃亡者』 結末の私的安堵 (1077文字)

 この『逃亡者』は、かつて放送されたテレビシリーズが元になっているそうですが、警察から逃げる主人公というだけでシリーズ化するためには、制作者は多数の物語を考案しなければならなかったでしょう。また、逃亡者が医師であることは、行く先々で重宝がられるという利点があり、シナリオ作家達はこの設定をありがたいと思ったことでしょう。

 それはそうと、映画の話に入ります。

 この映画を観て驚いたことがいくつかあります。
 ① 連邦保安官補であるジェラードがジーパンで執務をしていること。
 連邦保安官補というのは、市警察とは別の組織のようですが、それにしてもかなり砕けた感じです。
 ②拳銃を2丁所持していること。
 逃亡者であるキンブルをダムに追い詰めたときに2丁目を取り出す描写がありました。映画の警察ものを見ていると、2丁目の拳銃は私物が多いようですが、この映画で見る限りマジックテープのついたホルスターといい、支給されている拳銃のように見えました。
 ③聖パトリックの祝日にシカゴの川が緑色に染められていたこと。
 パトリックはアイルランドにキリスト教(カトリック)を広めた人で聖人となっています。聖パトリックの祝日はそのパトリックの命日ですがアイルランドだけでなく「アメリカでもこんなに盛大に祝われるんだ。」と思いました。それにしても、どうやって川全体を緑色にしたのでしょう。
 ④連邦保安官補が容疑者を確保した場合、その容疑者を市警察に引き渡さないということ。
 この映画で見る限り、アメリカには捜査機関が複数あって各々が独立に存在するようです。
 情報共有を図ることはあるのでしょうが、基本的には手柄争いしそうな関係に見えます。アメリカに住む人々は、警察バッチとFBIの身分証の他にもいろいろな捜査機関を証するものを確認する必要があるのですね。

 この映画では、外国(アメリカからみた外国)の要素がいくつかあります。
 キンブルが隠れ家にしているアパートの家主はポーランド系のようで、英語でない言葉(多分ポーランド語)を叫んでいるシーンがあります。
 また、前述の聖パトリックの祝日もそうで、この映画を観なければ恐らく私はアメリカでも祝われていたことを知らなかったでしょう。

 それにしても、この映画の真犯人のものの考え方は短期的でいけ好かない感じです。
 新薬の問題はいずれ露見し、大規模な薬害問題として責任を追求されたでしょう。
 そう考えると、ジェラードがキンブルの無実を信じたことよりも、真犯人を逮捕し薬害の拡散を防いだことの方に安堵しました。

#創作大賞2024 #エッセイ部門 #逃亡者 #連邦保安官補





















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