また一人辞めていった建築現場監督

 また一人、非常に優秀な現場監督が「辞めます」と挨拶の電話をくれました。
「で、どうするの?」と聞いたら「もう建築は辞めます」
 考えてみると、この半世紀、私が付き合ってきた現場監督は、すべていなくなりました。
 但し新築を担当してもらった監督です。
 病気で亡くなったり、病気でその後どうなったか? あるいは辞めて、どこへ行ったか? みなその先を知りません。ただみんな、給料は安いし現場はつらいし、建築には戻らないと言ってました。
 比較的近い人は、奥さんが亡くなって、子供二人を育てながら、会社でその日の会計の整理をしていたら、8時頃、「暴風警報」で、台風がモロに東京に上陸するらしいというTVを見て、一人現場に行って、雨の中シートを縛りに行ったと後で聞きました。「子供はどうしたの?」と聞けませんでした。ただただ、感謝を伝えるしかできませんでした。完成して引き渡して2週間後、一杯労おうかと電話をしたら、会社が倒産して、会社は勿論、本人にも電話は通じませんでした。
 昔の監督は、十年修行(経験)を積んでから一人前の監督になりますが、私の後半は、ほとんど素人同然の監督がいっぱいいました。現場でも使い走りで、大工や職人からイジメられている始末。
 今住宅は坪単価200万円だそうですね。
 多分その価格ではこれまでのように、経験もない監督を入れて凌いでいる工務店ではないでしょうかね。
 とにかく私は建てていないので、知りません。
 しかし、もし以前のままの状態なら、ますます優秀な現場監督は少なくなるでしょうね。

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