鈴木京香さんは燕?

 私の大学では、年一回「年報」を出しています。仕事を全うした元教授たちの、分野を超えた文化交流の場です。他の先生方は研究報告などを書いていますが、私は研究が無いのでエッセイを投稿しています。
 来年のテーマを「鈴木京香さんが燕の巣を買い取った」にしました。これではいかにも週刊誌的で、年報の品位を落とすので、副題に「建築の保存問題を考える」と付けました。
 鈴木京香さんが吉阪隆正先生の傑作「VILLA  COUCOU」を買い取って保存することになったのは、建築界だけでなく社会的にも話題になっているので、解説しようと思ったのです。
「燕の巣」とは、たまたま受け取った「TOTO通信」(春号)の藤森さんの連載「現代住宅併走」のタイトルで、吉阪隆正先生の「VILLA  COUCOU」が取り上げられています。
 中をロクに読まないで、タイトルの「燕の巣」だけとったのですが、2,3日経って、??燕の巣とは何だ? COUCOU・クックッはカッコウと思っていたが、フランスではカッコウと燕と同じ鳥なのか? まさか・・・燕はスワロー・・・おかしい。
 分かりました!
 COUCOUはフランス語でカッコウ。この家のこれまでの住人は吉阪先生の友人で、あだ名を「カッコウ」と言ったそうです。だからカッコウの巣ヴィラ・クックッなるほど。
ということは、今度は燕の巣、すなわち鈴木京香さんのあだ名は燕かあ・・・似合ってるなあ、と納得。
TOTO通信の編集部も粋なことをするじゃあないかと感心しました。
 で、時間ができたので藤森さんの文を最後まで読んで、ビックリ仰天!
 藤森さんの文章は、なんと丹下健三と吉阪隆正の分かれ道、比較論が書かれているのです。
 そして、吉阪隆正の原点となる24歳の時に出会った「泥の家」の話になって、吉阪が書いた「泥の家」についての文が出ています。
「・・・それは燕がつくる巣のような印象で・・・(略)」これが吉阪のヴィラ・クックッをつくる源にあるのです。
 そこから今回の藤森さんの「燕の巣」というタイトルができたのでした! 
 (TOTO通信レベル高いなあ! でも凝り過ぎだよ・・・)
(今回も「年報」が出るのは秋頃ですが、抜き刷りを読んでやろうと思われる方は、住所とお名前を私のメールアドレス(kensuke3@ozzio.jp)までどうぞ。郵送します)

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