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【展覧会の感想】アメリカ印象派展①「印象派 モネからアメリカへーウスター美術館所蔵ー」編

こんにちは。
今回も「印象派 モネからアメリカへーウスター美術館所蔵ー」についてです。

先日、【予習におすすめコンテンツ】を書きました。
今回は実際に行ってみた感想を書きたいと思います。

前回の記事は以下のものです。

公式サイトで提示されていたこの展覧会の見どころポイントは3つ。

① モネ、ルノワール、カサット
名だたる画家たちの作品が集結
② 海を越えて花開いた “アメリカ印象派”
③ 日本初公開!ウスター美術館コレクション

それでは、印象に残った作品の感想を書いていきます。


オープニング

展覧会の入り口では、ウスター美術館が世界で初めて美術館として購入した、モネの≪睡蓮≫のビジュアルと、水が流れる音と、水面の光を思わせる光が迎えてくれます。

そういえば、1月まで上野の森美術館で開かれていた「モネ 連作の情景」でも、映像・音・踏み心地を使って、睡蓮の池を歩くような感覚を味わえる展示がありました。

今の流行なのでしょうか?
アート技術も進歩しているということかもしれません。


Chapter 1 伝統への挑戦

急速に近代化する19世紀。
絵画の主題は、神話・聖書・歴史などから、身の回りの風景などに移っていきました。
印象派より少し前の、バルビゾン派などの絵画です。
アメリカでも、自国の自然を主題にする動きがあったようです。

こういった動きが、やがて印象派を生み出す土壌になっていった、という内容だったと思います。

ジュリアン・デュプレ《干し草作り》1886年、ウスター美術館

Chapter 1で私が印象的だったのは、ジュリアン・デュプレの《干し草作り》。
躍動感をすごく感じました。
気になったのは、干し草の描き方です。
下の前面に、干し草が舞っているのですが、筆で書いた……のか、絵の具を垂らしながら表現したのか……

わたし自身は、絵が描けない人間なのでわからないのですが、「どんなふうに描いたのだろう」と気になる表現でした。

女性が頭に巻いている赤いスカーフもちょっと驚きでした。
わたしが知らないだけなのかもしれませんが、バルビゾン派の絵で、明るい鮮明な色をあまり使うイメージがなかったもので。

すごく印象に残ったので、ミュージアムショップでこの作品の絵葉書を見つけた時は、買わずにいられませんでした。

Chapter 2 パリと印象派の画家たち

いよいよ印象派の画家たちの登場。
そして、パリで印象派の画家たちと交流し、印象派の影響を受けたアメリカ人画家たちの作品が紹介されています。

クロード・モネ《税関吏の小屋・荒れた海》1882年、日本テレビ放送網(株)

お?
ついこの前「モネ 連作の情景」で観た《ヴァランジュヴィルの漁師小屋》とモチーフと一緒なのでは?

モネは同じ場所で、日々、季節や天候や時間によって変化していく景色を描いていました。

今回、自分の記憶に残っている《ヴァランジュヴィルの漁師小屋》と比べてみて、波が高い天気だったのかな、なんて思いながら見ていました。

あ、この景色知っている!
と、美術館巡りというか、美術館通いしている自分の中に、少しずつ蓄積されているものがあると感じて、嬉しくなりました。

チャイルド・ハッサム《花摘み、フランス式庭園にて》1888年、ウスター美術館

この展覧会のメインビジュアルを飾る2枚の作品のうちの1つ。
とても楽しみにしていた絵です。

緑色の草木に、ピンクや赤の花々が映える庭ですね。
左側から木漏れ日が差し込み、右側の草や、花や、道の表情に変化を与えています。

風が吹いたら木々が揺れ、木漏れ日もちらちらと揺れるんだろうな……なんて想像しながら見ていると楽しくなります。

女性の髪の毛にも木漏れ日があたっていますが、細かい点?粒?で表現されていました。
「ここは点で表現するんだ…」と意外というか、面白いなあと思いました。

散々HPなどで見ていた作品ですが、実物を見ないとわからなかった部分でした。

クロード・モネ《睡蓮》1908年、ウスター美術館

こちらの絵も展覧会のメインビジュアル。
日本初公開の作品で、楽しみにしていた作品です。

以下は前回の【予習におすすめコンテンツ】でご紹介した記事です。
この記事のおかげで、モネの「隠れ睡蓮」に注目することができました。

知識があると、こんな楽しみ方もできるんだなあと、初めての体験でした。

空は描かれていませんが、描かれた水面から周りの景色や天気を想像してみます。
モネの絵は、いつもそうやって楽しんでいます。

それにしても、このふんわりした描き方、筆の跡がほとんど見えないけれど、どんなふうに書くのだろう?
と、学校で美術の成績がイマイチだった私は思うのです。
(油絵の絵の具なんて触ったこともないです)

この作品は、美術館が世界で初めて購入した、モネの《睡蓮》だそうです。
購入に際しての、画廊と美術館のやりとりも一緒に展示されています。
「美術館として世界で初めて購入した」ということ自体が、貴重な事実であり、そのやりとりが大切な史料になっているのかもしれません。

Chapter 3 国際的な広がり

世界各地から来ていた画家たち。
パリで印象派に触れ、また世界各地に散らばっていきます。
印象派の影響も広がっていくわけですが、各地で独自に発展をとげていく、という展示。
印象派の影響を受けた日本人画家たちも取り上げられています。

ジョン・シンガー・サージェント《コルフ島のオレンジの木々》1909年、ウスター美術館

一目みて、「ああ、まさに地中海!!」と感じた1枚。
……まあ、地中海沿いに行ったことはないのですが。
少し強めの、明るい日差しを感じられます。
いつか行けたら、こんな雰囲気なのだろう、行ってみたいなあ…と思いました。

久米桂一郎《秋景》18951年、久米美術館

フランスの印象派の絵画とはだいぶ雰囲気が違いますね。
フランスと日本では文化的にも違う面も多いです。
描かれる場所、その場所の文化が違い、被写体が違えば、雰囲気も大きく変わるものなのかもしれません。

この絵で印象的だったのは、空。
きめ細かくて、私には写真のように見えました。
「いったいどうやって描くのだろう?何で描くのだろう?」
絵を描くのが苦手だった私は、そんなふうにまた思いました。

続きはまた後日

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
今回はここまでにしたいと思います。

印象に残っている作品を少しずつ思い出し、画像で確認し、感想を書いていると、そのうちにまた別の感想なども出てきてしまって………。
大変長くなってしまいました。

展覧会の後半部分は、次回書きたいと思います。

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展覧会自体は東京都美術館での会期は終了済ですが、巡回する展覧会ですから、お近くの方はぜひ。

郡山展
2024/4/20~ 6/23:郡山市立美術館

八王子展
2024/7/6~ 9/29:東京富士美術館

大阪展
2024/10/12~ 2025/1/5


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