好きなものからできている~好きなもの100選~

今回はRitaさんとのコラボ企画「好きなもの100選」をお届けします。
Ritaは大人になってからできた友だち。
こういう趣味の合うひとと、中学校か高校で「別のクラスなのにたまに漫画の貸し借りをしたり、部活のあとに一緒に帰ったりするような友だち」として出会っていたらさぞかし楽しかっただろうと思います。

Rita版はこちら!

さて、好きなもの100選ですが、そんな友人に紹介すると思って書いてみました。
100個も挙げると、自分が何からできているかを白日の下に曝すようでちょっと気恥ずかしいですが、誰かの好きなものが一つでも増えることを祈って大公開!

1.フランク・シナトラの"I've Got You Under My Skin"
壮年期のレコーディングは声量に優り、溌剌とした生気に満ち溢れていますが、晩年の録音にはとげのとれたキリマンジャロコーヒーのようなまろやかさと深みがあります。素人評論家の私が断然いいと思うのは後者です。

2.トルストイの『アンナ・カレーニナ』

3.T・S・エリオットの「水死」

フェニキアびとフレバスは死んで二週間、
鷗の鳴声も深海の波のうねりも
利得も損失もみんな忘れてしまった。
海底の潮の流れが
ささやきながらその骨を拾った。浮きつ沈みつ
齢と若さのさまざまの段階を通り過ぎ
やがて渦巻にまき込まれた。
ユダヤ人よ異教徒よ
舵をとり風上に眼をやる君よ、
フレバスの身の上を思いたまえ、彼もむかしは君と同じ五尺の美男であったことを。

T・S・エリオット「荒地」『荒地/文化の定義のための覚書』(中公文庫)より

4.代々木上原のカエサリオン

5.夏目漱石の『坊っちゃん』
日本近代文学の最高傑作ではないでしょうか。有名すぎるが故に見過ごされてきた感が否めません。

6.黒澤明の「椿三十郎」

7.北村薫の〈時と人〉三部作(『スキップ』『ターン』『リセット』)

8.函館本線、銭函駅~小樽築港駅間の車窓から
札幌と小樽をつなぐ函館本線は銭函駅と小樽築港駅の間でしばらく海岸沿いを走る。線路と海が極端に近いので、海の上を走っているかのような錯覚に陥り、そのたびに「千と千尋の神隠し」で千尋とカオナシが乗るあの列車のことを思い出す。

9.岩井俊二の「Love Letter」
Ritaから教えてもらったNetflixの「First Love 初恋」を観たら、かつて観た「Love Letter」の記憶が強烈に蘇ってきた。
両方とも小樽が舞台で、マルセル・プルーストが出てきます。

10.矢野眞和
「文系の学びは役に立たない」という乱暴な議論を見かけるたびに矢野眞和の論文を一本でも読んでから言ってもらいたいものだと思う。

11.エーリッヒ・ケストナー全作品

12.内田樹の『私家版・ユダヤ文化論』

13.お福(京都)のうどん
地元のひとに教えてもらった京都のうどん屋。名店には見えない外観、不当に低い食べログの点数。でも私が保証します、味は絶品です。

14.保科正之
後述の『風雲児たち』で好きになった歴史上の偉人。

15.アマデウス

16.岡田利規の『わたしたちに許された特別な時間の終わり』

17.山村修全作品
「狐」の名前で健筆を振るった匿名書評家。ひょっとしたら、この世で一番本の趣味が合うひとかもしれない。

18.西岡常一の『木のいのち木のこころ』

19.高橋源一郎の「飛ぶ教室」

20.ニューヨークのセントラルパークでバナナを食べながら飲んだコーヒー

21.ゼルダの伝説 Breath of the Wild
宮脇咲良のゲーム実況を見てハマってしまった。これはもう宮崎駿の長編アニメとか村上春樹の長編小説とか、それぐらいの価値を認めて然るべき一個の作品だと思う(宮脇咲良かわいい)。

23.ジョルジュ・ドンの「ボレロ」
映画「愛と哀しみのボレロ」でモーリス・ベジャールが振り付けた「ボレロ」をジョルジュ・ドンが踊る。フレッド・アステアを除けば、映画史上最高のダンスシーンではないだろうか。

24.フェデリコ・フェリーニの「ジンジャーとフレッド」

25.シベリア鉄道
乗ったこともなければ、乗ろうとしたこともないのですが、数年前の年の瀬にニコ動でシベリア鉄道の車窓からの眺めを数日間流し続けるという狂った企画があって私は近所のスーパーで買ったシベリアとコーヒーを片手にロシア旅行を楽しんだのでした。あれはよかった。

26.最上徳内
後述の『風雲児たち』で好きになった歴史上の偉人。

27.フレッド・アステアとエレノア・パウエルの"Begin the Beguine"

28.和田誠の『お楽しみはこれからだ』

29.松田道雄の『育児の百科』

30.「柔肌の熱き血潮に触れもみで悲しからずや道を説く君」(与謝野晶子)

31.E・M・フォースターの『眺めのいい部屋』

32.村上義紀の『みんな私の先生だった 』

33.ワーゲンフェルトのテーブルランプ

34.サンタマリアノヴェッラのローズウォーター

35.表参道の蔦珈琲店(閉店)

36.魯迅の「藤野先生」

だが彼の写真だけはいまもなおわたしの北京の寓居の東側の壁に、机に向かって掛けてある。夜、仕事に倦み疲れて、なまけごころがおこってくると、いつも、顔を上げて、灯火のなかに、彼の黒い、痩せた、いまにも抑揚のひどい口調で話しだしそうな顔を眺めると、わたしにはたちまち良心がおこり、勇気が加えられるのである。そこで煙草に火をつけ、ふたたび「正人君子」の連中に深く憎まれる文字を書きつづけるのである。

魯迅「藤野先生」『阿Q正伝・藤野先生』(講談社文芸文庫)より

37.カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』

38.茨木のり子の「わたしが一番きれいだったとき」

39.表参道のバーラジオ

40.高橋源一郎の『さようなら、ギャングたち』

41.高橋源一郎の『ぼくらの民主主義なんだぜ』
現代日本の「政治」について語った言葉の中で最上のものではないだろうか。

人は間違える(おれもしょっちゅう間違える)。組織や社会も間違える。国もまた間違える。それがすべての出発点であるように、おれは思う。それがどのような「正義」であれ、「おれは間違っていない」というやつは疑った方がいい。「愛国者」であると自称する連中は「国の正しさ」に敏感だ(だから、「正しくない」といわれると攻撃する)。だが、正しくなければ愛せないのだろうか。ソンタグにとって、祖国アメリカは、「正しさ」と 「不正」の入り交じった存在だった。その、矛盾する、等身大のアメリカをこそ彼女は愛した。
自称「愛国者」たちは、「愛国」がわかっていないのではない。「愛」が何なのかわかっていないのだ、とおれは思う。こんなこといってると、おれも、間違いなく「反日」と認定され ちまうな。いやになっちゃうぜ。

高橋源一郎「〈個人的な意見〉「愛国」の「作法」について」
『ぼくらの民主主義なんだぜ』(朝日新書)より

42.デデンネ

43.鹿野政直の「鳥島は入っているか」

44.ファーバーカステルのボールペン

45.川上未映子の『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』

46.グランピエのネパール製フェルトスリッパ

47.「ラ・ラ・ランド」

48.武田百合子の『富士日記』

49.柿の葉すし本舗たなか(奈良)の柿の葉すし

50.古本屋
生活圏内のブックオフはすべて把握している自信がある。

51.信州そば

52.祖母が握った梅おにぎり

53.外苑前のごはんやパロル

54.素美庵(岡山)の備前焼
店主、綾敬一郎さんの備前焼に対する情熱にほだされて。

55.千駄木のみじゃげど
みじゃげどが閉店する直前にみじゃげどのご夫婦と酒を酌み交わしたことがある。
弘前料理をつまみながら、畳であぐらをかいて(火鉢か何かを前にして)弘前の地酒(あれはじょっぱりだったか)を飲む。それはそれは幸せな時間だった。

56.小野田園の狭山茶

57.海風にあたりながら横浜スタジアム周辺でするそぞろ歩き

58.川越の小川菊

59.高橋留美子の『めぞん一刻』

60.高野文子の『黄色い本』

61.滝澤民夫の『増野悦興研究』

62.鶴見俊輔全仕事

63.神宮球場で夜風にあたりながら飲むビール

64.ウディ・アレン全仕事

65.矢作俊彦の『あ・じゃぱん!』

66.東山田の湯島寿司

67.ラ・マンチャの男

68.走ること
多摩川沿いが特にいい。神宮外苑も走ったら気持ちがいいだろうな。

69.松本平から望む八ヶ岳連峰

70.小坂菜緒

71.生田絵梨花

72.村上RADIO

73.ジェームズ・アイヴォリーの「日の名残り」

74.アンティークショップ・蚤の市

75.みなもと太郎の『風雲児たち』
『風雲児たち』が日本史の教科書になったら、全員日本史が好きになると思う。

76.吉田秋生の『海街diary』『詩歌川百景』

77.蒲田行進曲

78.江戸屋の櫛
毛量が減ってきてから櫛が手放せなくなり、旅先にも必ず携帯するように。

79.いだてん
オリンピックが政治イシューとなってしまったおかげで不当な扱いを受け続けてきた名作中の名作。
特に忘れがたいのは日本中の期待を一身に背負ってノイローゼになった水泳の前畑秀子の夢枕に立った亡き両親が秀子の手を取って「がんばれ」と言うところ。何回見ても泣いてしまう。

80.ダウントン・アビー

81.真田丸

82.ピエール・エルメのマカロン

83.ユニクロU

84.東池袋大勝軒のあつもり
つけ麺発祥の地。

85.道後温泉
男風呂には「坊っちゃん泳ぐべからず」という立札がある。

86.水曜どうでしょう

87.指原の乱
福田雄一が指原莉乃を「水曜どうでしょう」の大泉洋に見立てて撮ったのが「指原の乱」ではないかというのが私の説。

88.「王様と私」の"Shall we dance?"

89.箱根山の桜
高田馬場は戸山公園の一角に小さな山があり、箱根山という名前がついている。箱根山の周りには桜の木が生えていて桜の見頃に山に登ると眼下に桜の海が広がる。

90.内村鑑三の『後世への最大遺物』

91.和久傳の鯛ちらし
新幹線に乗るときは柿の葉すし。でも、京都から新幹線に乗るときは、決まって和久傳の鯛ちらし。

92.横浜本牧の三渓園

93.ニューヨークの21クラブ(閉店)

94.ダイアン・キートン

95.素晴らしき哉、人生!

96.太宰治『津軽』

さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。

97.京都の元禄(閉店)
パリのリッツで飲んだカクテルを再現したという「ラヴィアンローズ」(薔薇色の人生)が美味しかった。

98.ルドルフとイッパイアッテナ

99.クライスラービル
ニューヨークに建つアール・デコ様式のビル。

100.新富町の魚竹


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?