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女性支援など必要ないと、叡実ならば言うだろう

『方丈記』で有名な鴨長明(かものちょうめい)が編纂した『発心集』(ほっしんしゅう)という本の中に、こんなエピソードがある。あらゆる古典のエピソードの中で、私が最も好きな話だ。

叡実(えいじつ)という立派なお坊さんがいた。あるとき天皇が重い病気になり、叡実は祈祷をしてくれと依頼された。

叡実が天皇の所に向かう途中、道端で病気のホームレスが行き倒れていた。叡実は車から降り、畳を敷いたり小屋を建てたり食べ物を与えたりと、ホームレスの世話を始めた。(小屋と言っても、今でいう段ボールハウスのようなものだろう。)

天皇の家来は驚いて急かす。

「日が暮れちゃいますよ!」

すると叡実は答える。

「私は行きません。天皇陛下なんか、私が助けなくても誰かが助けるでしょう。でもこのホームレスは私以外誰も助けてくれないんです。」

そう言って、叡実はついに天皇のところへは行かなかった。叡実は極楽浄土に生まれ変わったという。

天皇なんか私が助けなくていいと、叡実は言った。ここでいう「天皇」は、現代ならば「女性」だろう。

叡実の時代と同じく、飢えたホームレスは現代にもいる。そして、そのほとんどは男性だ。令和5年の調査では、ホームレスの約91%が男性である。(「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について」による。約5%が女性、残りは不明。)

平均寿命、自殺率、労働災害、犯罪被害……あらゆる統計が、男性の置かれている状況の過酷さを指し示している。

それにも関わらず、世間では「女性支援」の必要性が説かれ、「女性支援新法」なるものが作られ、「女性支援団体」が乱立して国民の血税が湯水の如く注がれている。叡実の時代、天皇のために祈祷をした生臭坊主たちに褒美が与えられたように。

こんな状態で「女性支援」が必要だと思う連中は、とうてい極楽浄土になど行けないだろう。


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