第2章 RIAA-DSD基本編4

RIAA-DSD Q&A

Q0 RIAA-DSDって何?

A0 DSDの高周波ノイズをカットするために、録音時にRIAAカーブで持ち上げて、再生時にRIAAカーブで持ち下げる方式である。これによって、1kHzで20dB(10倍)、20kHzで40dB(100倍)、80kHzで52dB(400倍)ノイズシェーバーのノイズを減らせる。80kHzの60dBのノイズも112dBまで減らせる。更に減らしたければバランス接続やパラ接続をやれば良い!あとマルチビットデルタシグマも不要になる。現在のマルチビットデルタシグマ対応チップはADCで6bit(PCM-4222)DACで7bit(AK-4499EX)あるが、20kHzで6.5bitの改善があるので不要である!

もし、RIAA-DSDでやらない場合、2.8Mで89.6MHz、2.8Mのバランス接続時で126MHz、5.6MHzで179.2MHz、5.6Mのバランス接続時で252MHz必要になる。ルビジウムクロック以上の高周波対応のクロックを使わざるを得ないため、クロックだけでも最低限50万円以上かかる。あと記録媒体も放送局仕様のビデオレコーダーでも使わない限りつくるのは非現実的である。

それに対し、RIAA-DSDは5.6Mのバランス接続モードでも22.4Mbpsのため、ブルーレイで十分である!BD-Rは1つ50円で売っているため、財布にも優しい。更に100年持つのもあるため当面はBD-Rで保存したほうがいいのではないか?

Q1 なぜ高域を持ち上げて記録する必要があるのか?

A1 1ビットDSDはノイズシェーバーをかけないと、可聴帯域のS/Nが稼げないので、高域ほどノイズが増える仕様である。特に80kHzのノイズ60dBをなんとかしなければならない!かと言ってマルチビットデルタシグマでやると互換性と最大と最小入力レベルが決まってしまい使いたくない。そこでどうしても1ビットDSDでやる必要があるので高域ほど1オクターブ(6dB/oct)持ち上げてやらざるを得ないのである。これによって高域ほどノイズが減る(1kHz:20dB、20kHz:40dB、80kHz:52dB)ので聴感上のダイナミックレンジを大幅に増やせる。(80kHzで112dB!)更にノイズを減らすにはバランス接続とパラ接続とを組み合わせてやればいい。そうすることによりダイナミックレンジ120dBは可能になる!

Q2 なぜサンプリング周波数2.8MHzと5.6MHzしか採用しないのか?11.2MHzもあってよいのではないか?

A2 2.8MHzと5.6MHzは11.2896MHzという極めて位相ノイズの少ないOCXOが使える。それに対し11.2MHzは最低でも22.5792MHzを使うため、位相ノイズが11.2896MHzより3倍ほど跳ね上がる。実際には、22.4MHzも対応させるため4倍の45.1944MHzを使う機会が多く、これだと11.2896MHzの10倍も位相ノイズが多くなる!または10MHzのOCXOでPLLとDDSの演算による方法もあるが、OCXO直結と比べて大幅に劣化してしまう。特にアタック感が違ってくる!S/Nは非常に良いんですけどね!

Q3 PCMではやらないのか(RIAA-CD・RIAA-PCM[ハイレゾ対応])

A3 やる意味がない!DSDのようにビット数が1ビットと極端に少なくサンプリング周波数が極端に高くデジタルフィルターが使えないものの方が効果絶大である!

私が10代後半のバブル時代のときある出版社がすでにRIAA-CDの試作をしていたことを知っていた。私もオーディオフェアーのその出版社のブースで試聴したことがあるが、うるさくてわからなかった。ただRIAAカーブを使っているためか、非常にCDらしからぬ滑らかでアナログ的な音であることが印象に残っている。

バブル時代のプロの間では20ビット録音(ソニー・ビクター・デンオンなど)が流行っていたが、RIAAカーブを採用することにより、16ビットCDは22ビットまで拡張することができたため 、20ビット録音は不要だったかもしれない。ただ当時はCDがあまりにも普及しちゃったため、互換性無視のRIAA-CDが出る余地は全くなかったのである。さらにデジタルフィルターでノイズをカットするという手法が、当時すでに主流であったため、RIAAカーブでノイズを抑えるっていうことはやっても無駄であったのである。DSD みたいにデジタルフィルターが使えない場合は効果絶大なのであるが、CDではすでにPCMという方法で記録再生しているため 、デジタルフィルターというやり方でノイズを除去するのが主流になって、それは今も続いている。現在は AD コンバーターとDA コンバーターとも DSDが主流であるが、DSDを一旦PCM に変換してデジタルフィルターをかけて再生しているのが主流である。

最終的な結論としては、PCMのようにビット数が多くてサンプリング周波数が少ないものより、DSDみたいにビット数が1ビットと極端に少なくて サンプリング周波数がべらぼうに多く、デジタルフィルターが使えないものほど効果絶大であるということがわかったため、PCMではやる必要がないということである。それでも諦めたくなければ、現在のマルチビットADコンバーターは20ビットまでなので、RIAAを搭載することにより、26ビットまで拡張するというメリットはあるが、20ビットの AD コンバーター も測定機用と極めて少ないため、 DSD の方でやった方が効果的である。さらに1ビットの DSD はうまくやれば自分らでディスクリートで組み立てることも可能である!将来的には PCM との互換性を無視して DSD 専用の AD コンバーターをつくることにより最高峰の音質が得られるであろう!

Q4 高域ほど持ち上げるため高域のダイナミックレンジは減るのでは?

A4 高域は微小レベルほど感度が上がるので、ノイズに埋もれてしまうと、音場等の微妙なニュアンスの再現ができなくなってしまう。市販のDSDがか弱い音が出るのは、ノイズ対策をせずに50kHzで3dBのノイズカットをしているだけだからである。

初期の1ビットレコーダーであるdbx700は、サンプリング周波数はたった644kHz(DSD14.5相当で現在の最高峰のPCMレコーダー768kHz・32bitより少ない!)であったが、こんなか弱い音は出なかった!おそらくノイズリダクションを併用して40dBのノイズを80dBに拡張して抑え込んでいるのだろう!先人たちはわかっていたのだ!

したがって 高域は音場再現のためノイズが埋もれることはないようにするために、何が何でも少しの情報でもいいから、ノイズに埋もれることなく記録しなくてはいけないのだ。高レベルの録音は必要ない。


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